遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

キム・ソンス監督『アシュラ』

2017-03-30 12:05:33 | 映画を見てきた

ファン・ジョンミン、チョン・ウソンら出演!映画『アシュラ』予告編

2017/3/29

・悪い元警察官の男ドギョンが、悪い市長と悪い検察との間で板ばさみになる話。

・ノワール版「井戸の茶碗」。善人と悪人が逆転している。

・主人公は「人間は嫌い」「勝つほうの味方につく」という主人公らしくない性格。

・汚いことをする言い訳が重病の妻がいること。そこでお客さんの共感を作ってギリギリ主人公になっている。

・もちろん、その妻はもっと悪い人たちに利用される。

・性別が違うとは言え、市長の名前がパクってそのまんますぎる。

・この市長がとにかく悪い。悪いけどかわいい。

・メガネが似合う悪役でトップクラス。

・政治家として才能がある感じも悪い。

・下半身丸出しで平然としているところもいい。

・情緒が強すぎて笑いにくい韓国映画でも、あそこまでやってくれるとさすがに笑える。

・特にホテルのスタッフと思われる紳士の「はかせます?やめときます?」というような動き。

・わざとやってるんじゃないかというくらい、プロレスのヒールっぽい動きをしている。

・なので、パクよりもトランプっぽい。

・二つの巨悪が完全決着していて、グレーになっていないところは新鮮。

・検察の紅一点の見せ場がありそうでない。

・検察の人たちは、ドギョンに期待しすぎ。無茶振りされる彼がかわいそう。顔ボロボロ。

・銃よりゴロツキの斧が怖い。あの斧はホラー映画の悪役が持つヤツだ。

・結末は予想どおりでそれしかないと思う。

・即死ではない銃の撃たれ方として最悪な感じ。

・思えば、結末に至るための前置きは、かなり丁寧にやっていると思う。

・顔を紙で何度も撫ぜるの、ほんとにイライラする。

・みんながみんな殺しあってるんだけど、男同士が悪ふざけしてイチャイチャしているだけのようにも見えるので、意外と後味は悪くない。

・悪人同士が殺し合いする話としては、わりと定席どおりの展開で、見た目の凄惨さとは裏腹に基本に忠実なエンタメ作品だった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時間堂『衝突と分裂、あるいは融合(福岡版)』

2017-03-29 11:40:55 | 観劇三昧

観劇三昧:時間堂『衝突と分裂、あるいは融合(福岡版)』

2017/3/29

放射能汚染事故を起こした原子力発電所の職員、関係者たちが対立する話。

公演は2014年。原発事故から3年。

ここまで真正面に題材に向き合って、成果を挙げているのはすごいこと。

原発についてはいろんな意見があるなかで、かなり広い受け手を想定できていると思う。

原発の職員=科学者なのかはよくわからないけど、この作品内ではそうなっている。

いわゆる「理想」と「現実」は対立させがちだけど、実際にはその間の段階が山ほどあって、しかも同じ数直線上にはない。

そのなかで最適解を出して行動しなければならない。

職員も関係者も人間なので、正解は誰にもわからない。かといって、欲望に走るだけでは確実に悪くなる。

本作の結論は、何度やりなおしても未来はロクなことにならない、だからと言ってあきらめるわけにもいかないという感じ。

終わることのない撤退戦。

================メモ===============

台本・演出:黒澤世莉

公演時期:2014/11/16

札幌劇場祭TGR2014特別賞(作品賞)受賞作品

時間堂は2016年12月31日に解散

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

FROGMAN監督『鷹の爪GO~美しきエリエール消臭プラス~』

2017-03-29 02:06:09 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

「鷹の爪GO~美しきエリエール消臭プラス~」ロング予告編ムービー

2017/3/29

フラッシュアニメ「鷹の爪団」の活躍を描いた長編作品。

映画館のマナーを案内するアニメでお馴染みらしいけど、自分は見たことがなかった。

各登場人物は、表情こそ変わるものの、可動域はLEGOより狭い。

この単純な絵で1時間48分も何をやるんだろうと期待しながら見る。

世界征服を企む鷹の爪団の面々が、ロボ生命体の星に招かれ、侵略者と戦う話。

格闘ゲームのHPのように、画面上部に映画の予算ゲージが表示されていること、容赦なくねじ込まれるCM、登場人物のきまぐれでネタバレ。

メタ的なギャグは、低予算作品の定石ではあるものの、面白さの打率が高い。

最後にちょっと感動げな雰囲気になるだけで、あとはほとんどメタギャグで乗り切っている。

見た目は単純でも、この絶妙なバランス感覚は真似できそうにない。

あざといけど、吉田くんはかわいい。

※FROGMAN氏は監督、脚本、キャラクターデザイン、声を兼任。

鷹の爪GO~美しきエリエール消臭プラス~
クリエーター情報なし
メーカー情報なし
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

満月動物園『ツキノヒカリ』

2017-03-27 00:47:31 | 観劇三昧

観劇三昧:満月動物園『ツキノヒカリ』

2017/3/27

満月動物園「死神シリーズ(観覧車編)」5作品のうちの最終話。

観覧車の事故で恋人を失い、死神に付きまとわれる男が、5年ぶりに関西に戻ってくる話。

同じ事故で大切な人を亡くしたひとたちと、結構長い時間をかけて、各々の故人の思い出を語り合う。

グループセラピーのようにも見える。

おそらく、先の大震災のことも念頭にあるんだと思う。

残された人たちはどう生きればいいのか。

その問いかけを生者、死者の両面から描くやりかたは、井上ひさしの『父と暮らせば』を想起させる。

シリーズを追い続けた人たちと、終わりを惜しむような雰囲気もある。

独立した物語として楽しむような感じの作品ではないのかもしれない。

疫病神が同じ歌を二回も唄うのも、シリーズを追っている人向けのサービスなんだと思う。

河上由佳さん演じる死神はかっこよすぎる。

================メモ===============

公演時期:2015/12/18
地域:関西

作・演出:戒田竜治

キャスト:※満月動物園の公式HP参照
死神:河上由佳
澳(オキ):片岡百萬両
葛城:西原希蓉美
あすか:丹下真寿美
潮見:戎屋海老
明海:横田江美
夏海:諏訪いつみ
湊:みず
神さま(先輩):川端優紀
神さま(後輩):加藤光穂

※拙い過去シリーズ感想文

満月動物園『ツキカゲノモリ』(2014年版)

満月動物園『ツキノウタ』

満月動物園『ツキノオト』

満月動物園『ツキシカナイ』

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナ・ホンジン監督『哭声/コクソン』

2017-03-26 00:12:34 | 映画を見てきた

3/11(土)公開 『哭声/コクソン』予告篇

2017/3/25

・韓国の山間の村コクソンに住む冴えない警官が連続変死事件を解決しようとする話。

・難解だと聞いていたので、身構えながら見る。

・ジャンルは広い意味でのホラーでいいと思うんだけど、韓国映画は総じて暴力描写は容赦ないし、生活感たっぷりなので、わざわざホラーにしなくても十分怖い。

・原因不明の皮膚病はベタだけどほんとにイヤ。

・キーマンになるのが、國村隼(姓を音読みするとコクソンになる)演じる謎の日本人。

・思ったより本気出してくるシーンは少ないんだけど、出してくると、もれなく怖い。

・國村隼さんは怖い人の演技を何通りも持っている。

・『合言葉は勇気』も『アウトレイジ』も怖かったけど、今回も違う方向の怖さ。

・韓国の田舎町なので日本人はマイノリティそのもの。

・他にも悪魔だキリスト教だと深そうなキーワードが出てくる。

・「やっぱり悪魔じゃねえか!」「あれ、違うのかな?」を行ったり来たりしながら話が進む。

・あの女が何者なのかというのも、何度か見ればわかるんだろうか。

・主人公の警察官がびっくりするくらい役に立たない。

・ホラーだからあまり有能でも困るけど、それにしても田舎者の偏見丸出しだし、失敗ばかりしている。

・怪しい奴だからって、人の家を壊すのもどうかと思う。そりゃ呪われるさ。

・娘が危機に陥ってから、やっと本気出すのかと思ったら、ずっと頼りない。

・お客さんに感情移入させすぎないように、意図的にそう見せているのかもしれない。

・役者さんはみんな体を張っている。いちばん頑張ったのは主人公の娘。

・普通のホラーとして見るぶんにはそんなに難解ではなかったと思うけど、細かく思い返すと、「あのときのあれはなんだったんだ?」がたくさん出てくる。

・個人的には「悪魔は作れるんだ」という話だと思っている。

・韓国の除霊の儀式は派手でよい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プチ鹿島『教養としてのプロレス』

2017-03-25 20:54:23 | 読書感想文

2017/3/25

人間の眼は二つあることで対象との距離を計ることができる。

同じように、世の中との適切な距離を取るためには、物事を複眼的に見ることが大切。

単に情報を受け取るだけでは偏ってしまう。

世の中を複眼的に見るためのツールとしてプロレスとBLは双璧だと思う。

本書では、昭和プロレスを愛する…というより、世の中の事象がすべて昭和プロレスに見えるという呪いをかけられた時事芸人プチ鹿島の視点を追体験することができる。

半信半疑、下から目線、胡散臭さの大切さなど、一般的な道徳観とは少しズレている、つまり日常生活では見逃しがちな大切な価値観を教えてくれる。

差別に自覚的になることもプロレスから学ぶことが出来る。

思わず、藤原義明&木村健吾VSグレコ&エルモソの動画を探して、ニンマリ見てしまった。

真の不偏不党はここにあると言っても過言ではない。

教養としてのプロレス (双葉文庫)
クリエーター情報なし
双葉社
東京ポッド許可局 ~文系芸人が行間を、裏を、未来を読む~
クリエーター情報なし
新書館
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー監督『モアナと伝説の海』

2017-03-25 01:17:04 | 映画を見てきた

『モアナと伝説の海』予告編

2017/3/24

吹き替え版で見る。

海に愛された少女が島の危機を救うべく、外海へ船を出す話。

海の色、着ている服、食べているもの、登場人物の肌の色、世界観がまるごとサモア系。

肌触りまで想像できる繊維の再現度はさすが。

ただ、そこまでリアルに作っているせいか、海や島が完全に擬人化しているのはちょっと受け止めきれなかった。

これはファンタジーなんだ、伝説なんだと言い聞かせても、やっぱりモアナは海と山(火山)をナメ過ぎではないかと思ってしまう。

モアナのかっこよさは序盤の対ココナツの化け物戦がピーク。

何かの伏線なのかと思っていた連れの動物が、最後までほとんど役に立っていないのはおもしろかった。

同時上演の短編『インナー・ワーキング』は、『インサイドヘッド』の臓器版という感じ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニットキャップシアター『ヒラカタ・ノート』

2017-03-24 09:10:27 | 観劇三昧

観劇三昧:ニットキャップシアター『ヒラカタ・ノート』

2017/3/24

架空の街「ヒラカタ」で、友達どうしの男二人、ある交通事故、女性と鳥を飼う老人、それぞれの断片を並べた話。

大阪府で初めて「非核平和宣言」をした枚方市がモデルと思われる。

確かに足音でリズムを取る表現や、飛行機が旋回するような表現が戦争を連想させる。

ただ、戦争を描いた話というよりも、戦争風の表現形式を使って個人的な何かを表現しているような印象。

または、表現したい何かというよりも、新しい表現方法を模索する作品なのかもしれない。

一人三役で痴呆のすすんだおばあさんを演じていたのが、困った感も三倍になって面白い仕掛けだった。

ところで、役者には協調性が求められる役割と、独創性が求められる役割がある。

前者は職人的、後者は芸術家的な要素が求められる。同じ役者でもかなり違う。

野球だと投手と野手くらいの差があって、考えると深まりそう。

================メモ===============

公演時期:2004/12/09
地域:関西

作・演出:ごまのはえ

出演者:
信夫:安田一平
勝頼:筒井彰浩
コスギ:窪木亨(電視游戲科学舘)

コロス:
大木湖南
朝倉詩
石本径代*
犬飼勝哉*
澤井喜美子*
宮崎彩*
村上慎太郎(電視游戲科学舘)*
中村健司(劇団そとばこまち)*

サカナ:高原綾子
イトクズ:板橋薔薇之介

朗読:
日詰千栄*
門脇俊輔

*客演

 ※第12回OMS戯曲賞特別賞受賞作

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

浮遊許可証『Sherry,Go home-フランケンシュタインと赤い靴-』

2017-03-21 19:27:09 | 観劇三昧

観劇三昧:浮遊許可証『Sherry,Go home-フランケンシュタインと赤い靴-』

2017/3/20

置き去りにされた赤ちゃんを救出に向かう宇宙船の飛行士が、船内で密航者を見つける話。

宇宙船の中には、機械と呼べるような見た目のものがほとんどなく、散乱した紙、古びたドア、おもちゃのピアノ、上向きの電球。

どちらかというと、おしゃれな雑貨店という風情。ドア周りの電球もかわいい。

飛行士は盲目。密航者は女の子。

「穴があるからデタラメなんてドーナツやベーグルに失礼だわ」なんてセリフ。

メルヘンな装飾はシビアな設定に載っているのであまり恥ずかしくはない。

存在すること自体が否定される状況。

目の前の密航者の命を取るか、救出先の赤ちゃんの命を取るかの二択。

サンデル教授が議題に取り上げそうな問題。

ほんとうに言われているだけの問題なら、どうにでもなりそうだけど、そういうところを気にするような作品ではないんだと思う。

================メモ===============

カテゴリー:SFラブストーリー
劇団名:浮遊許可証
公演時期:2013/09/09
地域:関西
出演者:
Sun!!(ミジンコターボ)/サカイヒロト(WI'RE)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

報告:札幌オーギリングの三月興行『ファニーアズヘル』

2017-03-20 23:35:12 | 報告!

2017/3/20

札幌オーギリング『ファニーアズヘル』が終わりました。

ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

今回は一にも二にも及川選手。

大方の予想を覆し、王者楽太郎選手からベルト奪取に成功しました。

楽太郎くんは、うちの演劇に出てもらっている縁もあり応援していたのですが、今回は及川くんの勢いが勝っていました。

オーギリングという展開の読めない大河ドラマのなかで、彼がいちばん盛り上がるタイミングでしっかり王者になれたのは、とてもすごいことだと思います。

オーギリングを知らない人に説明するときに、いろんな表現の仕方があっていつも言葉に迷うのですが、今回はツイッターに「いい歳した大人が必死で大喜利バトルをするイベントです」と書きました。

プロのお笑い芸人さんはたくさんいますが、大喜利に特化してここまで必死な人たちは、日本中探してもそうそういないはずです。

及川選手が勝った瞬間、チームメイトが泣き、同期が泣き、リングアナまで泣いている。

ただの大喜利の結果でここまで感情を爆発させている人を見たことがありません。

こんな異常な空間が生まれたのは、みんな及川くんのこれまでの苦労と必死さを知っていたからだと思います。

演劇ではなかなか見られない生々しい感情が見られ、個人的にも大満足の興行でした。

 

なお、個人的な反省点もあります。

回答はまずまずだったものの、照明に足を当ててしまったり、回答の順番を間違えてしまったり、導線があやしかったりと、細かいミスが多かった。

こういうところで足を引っ張るようなことはしたくないので、あらためて気をひきしめて今後に活かしたいと思います。

 

あらためて、本日ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

次回は5月7日だそうです。またよろしくお願いいたします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする