2018/11/19
仕事で開演に5分ほど遅刻して到着。
『春よ来いマジで本当に頼むから』
常に望みが果たせない男と、順調な人生を歩む彼の友人たちを、カラオケボックスの一室で定点観測する話。
ツカミに最適な完成度の高い短編であるとともに、yhsオーディション合格者の若手たちの顔見世も兼ねている。
前に同じ演目を見たときよりも、若い人たちがみんなラップが巧くなっているような気がする。時代なのか。
時間差で出てくるタンバリンで笑ってしまう。
『P.S.I LOVE YOU』
対照的な性格の姉弟が、腹違いのベトナム人妹に振り回されながらも、少しだけお互いの気持ちを開放する話。
大きな話の起伏はなく余白の大きな話。
櫻井保一くんと田中温子さんが演じる姉弟。細かい演技がたくさんあって見ごたえがある。
大きな仕掛けはないのに姉弟の空気感だけでもちゃんと緊張感が保てていた。
もうちょっと長い尺でじっくり見てみたい。
『駆込み訴え』
太宰治の原作小説を小林エレキ君が一人で語り倒す話。
面白いんだけど、どう面白いのかを説明するのがたいへん。
スーツの男が、既製品の人形に、古めかしい言葉遣いでずっと語りかけている。序盤の違和感がすごい。
例えると、藻岩山に行くような装備で、冬の八甲田山に挑むような感じ。
「え、その装備で太宰に登るの?」という感じでスタートして「ほんとに登りきれるんだ」という驚き。
滑稽と言えば滑稽なんだけど、それより役者から漏れ出す底力のようなものを浴びる楽しさなんだと思う。
『リラのホテル』
ホテルの元オーナーが、人語で喋るリラの木との思い出を語る話。
とっちらかっている曽我さんと、あらぶっている一嶋瑠衣さんが好き。
音楽ネタの多い本公演で、結局、最後の青木玖璃子さんの歌が一番うまかったと思う。
「ストライクとボールの区別もできないけど、とにかく力強いスイングをする」ような初期の作品を四番に持ってきて、全員野球で成立させられるところに、yhsのチームとしての凄味を感じた。