本日は、日経エレクトロニクスの野澤哲生さんの記事が、これからの我が国のエネルギー問題を考えるうえでとても参考になるのでご紹介します。
記事ではまず、福島第一原発事故が起きた後のこの10年で日本の電力総需要が10%も減った事実を示します。少子高齢化で経済成長しない国になったことや、大量に電力を使う工場の海外移転、照明のLED化をはじめとする省エネ化の進行などを減った原因として推察しています。どれも定量的なデータはないようですが、我が家でも主要な照明はLEDに変えたので、合点がいきます。なお、日本全国で全ての照明がLED化すると、計算上は、それ以前に比べて照明に必要な電力量は最大で原発17基分(設備稼働率70%で約104TWh)減るそうです。(へえ〜、と思いました)
電力の総需要は右肩下りなのに、6月下旬に東京エリアで電力が逼迫した際に「だから原発再稼働が必要」という政府や一部メディアの論調は、人々に電力設備の絶対量が足りないと誤解を招くと警鐘を鳴らしています。
6月下旬の電力不足の騒動でも実際に足りなかったのは東京エリアだけで、電力の地域間や時間帯での遍在が問題だと指摘しています。時期によっては太陽光の発電を使い切れない九州や四国から大都市圏に電気を融通できるようになれば、電力のひっ迫問題は起きず、もっと早く、電力会社間の融通回線の増強を進めるべきだったとしています。
さらに、今のエネルギー政策が「電気は貯められない」を前提にしている点にも疑問を投げかけています。例え話として、冷凍庫も冷蔵庫もなしに生魚や生野菜を流通させているようなものであり、あるいはビデオデッキが出回る前のテレビ番組の視聴も同様だと指摘しています。映像データをためられる「タイムシフト」の登場で状況が一変し、ビデオデッキが行き渡った結果、テレビは必ずしもリアルタイムで視聴するものではなくなったように、各所に蓄電池が設置されれば、時間帯における電気の遍在が解消され、電気の地産地消も進むと見ています。実際、世界では蓄電システムの大量導入に向けて動き始めていて、米国なども詳細なロードマップを作成したそうです。
一方で、日本では連系線の増強工事が大幅に遅れた上に、蓄電システムについては国レベルの導入計画がいまだ具体化していないといいます。こうした理由から「これを主導すべき経済産業省の機能不全が日本の本当の課題かもしれない」と自然エネルギーのジャーナリストらしく、辛口の視点で結んでいます。
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ニュース&トレンド
太陽光発電は燃料代ゼロの究極の純国産エネルギーで、普及すればするほど、資源の安全保障対策にもなる。分散発電なので、敵からの攻撃でも、簡単に発電源を失わずに済む。
国民は原発を続ければ、地震国の日本ではまた、福島級の事故が起きると信じている。経産省も腹を括って、太陽光発電の普及に賭けるしか、2050年の二酸化炭素ゼロは実現できないと思うのですが、、、
エネルギー問題は難しいので、日頃、国民の関心は低いです。しかし、ロシアによるサハリン2の強奪、原油高による電気代高騰で、国民の関心が高まっています。
今こそ、電力問題の正しい理解と、将来に向けた対策を真剣に議論する時です。
「太陽光農地」、という区分を作り、売電収入を農家(土地所有者)、地元の農業委員会、農協などとシェアする仕組みわ、作れば、「農業よりもうかる」と一気に普及するでしょう。
もともと耕作放棄地は食料を作っていない。さらに、作物を作っていた農地から、「太陽光農地」に転用する農家も続出するかも、ですが、それで食料の自給率が下がっても、その分、エネルギーの自給率が上がるわけだから、国家100年の計としても、十分にペイしそうです。