コンピューターに凌駕される人間

　エネルギーの話題と少し話がそれますが、コンピューターが人間の知的とされていたさまざまな分野に進出してきて、凌駕され始めています。春にプロの将棋棋士がコンピューターに苦戦したことは話題になりましたが、そろばんは計算機に凌駕されてしまい、経済の分野でも株式のコンピューターによる自動売買が話題になっています。
　そこで聞かれるのは、男子１００Ｍ走のボルトもバイクにも自動車にもチーターにも勝てないのはわかっているが、人類最速を決めるスポーツの魅力が失われていないという指摘。頭脳スポーツでも「１９９８年にチェスで人間がコンピューターにかなわなくなっても、チェスの人気はすたれていないし、そろばん名人も将棋の名人も尊さが失われることはない」という人間ドラマに面白さがあるという人間賛歌の論。この論は、何か言い訳がましい気がしていた。
　ところが、多くの人を熱狂する人類最速を決める男子１００Ｍ走でも、こんな、茶化したテレビ番組が放送されていたことを知る。犬を全力で走らせてみて、ウサイン・ボルトの世界記録１００Ｍ９．５８秒とどちらが早いかというものだ。ユーチューブから削除されていなければ、見てもらうのが一番だが、確かに犬の種類によっては、ボルトより早いようだ。
　人が部分的とはいえ、コンピューターにかなわなくなることは、悲しく、寂しい。しかし、受け入れていくしかないだろう。また、人類が種の期限を迎えるまで自爆せずに生き延びることを「是」とするならば、１００％自然エネルギー自給計画は単なる日本国のエゴではなく、人類共通の課題になる。
　

原発反対「アッキー」の良識ー安倍首相は「家庭内野党」とどう向き合う

　安倍晋三首相の夫人である「アッキー」こと安倍昭恵さんが国会内で原発反対をぶち上げたという。日刊ゲンダイが報じるように、安倍晋三氏の夫人も原発に反対しているということをアピールして、原発反対の市民のガス抜きを狙っている政治的な目的があるかもしれない。とはいえ、アッキーの原発反対という気持ちは本音だろう。
　はっきり言って、原発開発はエネルギー問題というのは建前で、原子力爆弾を作りだす技術を保持するための隠れ蓑以外の何物でもない。途上国が原発を欲しがるのは、日本から自国に技術移転してもらい、自国で原爆を作る技術を保持したいためだ。そうした安全保障のツールとして核開発をするのはある意味しょうがないかもしれない。しかし、そのために福島のように市民を犠牲にする必要はないといえるだろう。

夕刊フジ電子版
アッキー、仰天の反原発講演！　「私は家庭内野党」夫婦のねじれ激白2013.06.07

日刊ゲンダイ電子版
昭恵夫人「私は原発反対」講演に冷めた目

特許権が企業所属、科学者・発明者の奴隷化決定ー技術者版イチローの夢絶望

　安倍政権は、経団連の言いなりになって特許権の企業所属を法制化しようとしている。理系、技術者、科学者などは「怒」の意見を表明し、次期参議院選挙では自民党へは絶対に投票しないという人が増えそうだ。そもそも発明やものづくりなど、社会に付加価値を生み出すことができる可能性がある分野に理系の学生が進まずに、金融など文系分野にいくのはなぜか。間違いなくカネである。規制業種や金融など人のふんどしで飯を食っている連中のほうが、報酬が高いからだ。ただでさえ、理系の報酬面でのインセンティブが低いのに、最後の砦ともいえる、千三つで発明した暁にもらえる名声と報酬のうち、報酬の可能性や夢すら技術者から取り上げようとしている。まさに技術者奴隷化の法案である。
　青色発光ダイオードを発明し、日亜化学を何千億も売り上げる会社にした技術者の中村修二氏は、米国に渡り、発明時の報酬のあまりの少なさに「スレーブ（奴隷）修二」と呼ばれたという。中村氏が日亜をやめた後に発明報酬をめぐる裁判をしたことから、他の会社でも優れた発明をした技術者が相次ぎ会社を訴えた。これを嫌がる経団連企業の経営者が、技術者の奴隷化を進めようとしていて、技術や科学を全く知らない安倍首相がハイハイと聞いている構図だ。
　だいたい、中村修二氏が日亜と和解した額は８億４０００万円に過ぎず、功績に比べると大した額ではない。昔の大手銀では、副頭取くらいまでいけば、退職金を合わせて生涯賃金は１０億円は超えていた。銀行の副頭取は、発明を通して社会を豊かにしたわけではなく、社内で上の人に気に入られただけだ。これでは技術者になってジャパニーズドリームを夢見る若者はゼロになるだろう。野球を志す少年の裾野が広いのは、もちろん、野球そのものの魅力もあるが、米大リーグで１００億円の契約をもぎ取ったイチローのようなヒーローがいることは間違いない。
　経団連企業の経営者も今一度、国家１００年の計を考えて、特許権の会社帰属という科学者奴隷化法案の愚を見つめ直したほうがいい。
　それにしても安倍信三氏は選挙の天才だ。参議院選挙の迫る絶妙のタイミングで、「原発海外輸出外交、特許権の企業帰属、新味のない３本の矢で株暴落・円高進行」の３つを見事にやってのけた。参議院選は３度目の正直ではなく、「２度あることは３度ある」になりそうだ。

読売
従業員の発明、企業が特許保有…政府が基本方針

産経
政府が知財方針を閣議決定　特許権、企業に帰属を検討
2013.6.7 19:49

朝日
社員の発明、会社に特許権　知財戦略案に帰属先変更方針

三菱重工、米原発廃炉で賠償請求でストップ安へー原発海外輸出、日本国民に無限の賠償リスク

　週明けの２０１３年５月１０日（月）の三菱重工業（7011）の株価はストップ安まで売られる可能性がありそうだ。
　安倍晋三政権が進める海外への原発輸出は、日本国民に無限の賠償リスクを負わせることになりそう。日本企業が政権のお墨付きで輸出した原発が、ひとたび福島級の事故を起こせば、海外の政権はまず企業に賠償を請求してくるが、１企業ではとうてい負えない負担額となり、日本政府が肩代わりすることに、すなわち、日本国民の血税リスクとなる。
　ＮＨＫで福島の悲惨な状況という本当のことを伝えようとして、ＮＨＫを実質的にクビになった堀潤さんが書いている記事は読み応えがあります。

ゲンダイビジネス
2013年06月09日（日）堀潤
三菱重工製の配管欠陥で米サンオノフレ原発が廃炉へ！　問われる「原発輸出」の損害賠償リスク
取材・文：堀潤（ジャーナリスト）


産経
三菱重工に賠償請求へ　原発廃炉の米電力会社　親会社、損失負担要求
2013.6.8 12:39 ［原発］

日経
原発２基廃炉で三菱重工に賠償請求へ　米ＳＣＥ

朝日

三菱重工製配管破損で米原発廃炉　電力会社、賠償請求へ

時事通信
米加州原発、再稼働断念＝三菱重工に賠償請求－放射能漏れ

株安・円高で脱原発派にチャンス到来ー暑くなるこれからは一人一人の心がけ

　株安・円高で脱原発派にチャンスが巡ってきたので、久々に更新します。
　今日は都内はまだ涼しいですが、６月半ばからいよいよ暑くなってきます。原発の「ベース電源」（電事連）とやらは、夏のピーク時の電力を供給するために必要としています。従って、市民が工夫して、ピーク時にできるだけ冷房を使わないようになれば、原発はいらないのです。「太陽光エネルギーは日照時間が一日の半分もないから不安定」と原発推進派はいいますが、夏に太陽が燦々と降り注ぐ日は冷房もフル稼働な一方、太陽光発電もフル稼働になるはずで、夏のピーク電力供給という点では、太陽光発電は実に合理的な電源のはずです。原発推進派にとっては、こうした普通の人が考えれば、非常に合理的なことは不都合な真実なので、伏せておきたいのでしょう。
　今夏から震災後に稼働し始めたメガソーラーが動き出します。夏の電力がピークを迎えた時間帯に、メガソーラーがどれだけ発電したかといった情報を朝日新聞は調査報道してほしいです。おそらく、夏のピーク電力時に太陽光発電はフル稼働しているデータが得られるでしょう。こうした調査は、原発も推進したい経産省には期待できそうもないので。
　それにしても、去年、９万件近く集まった、脱原発のパブコメの民意はどうなってしまったのでしょうか。参院選を前に、株安、円高トレンドになってきたので、ここは脱原発派のチャンスです。