Etre et avoir (ぼくの好きな先生)
フランスの中南部オーベルニュ地方が舞台で、
10数人の生徒と一人の先生との学校生活を映したドキュメンタリーです。
この地方は、日本では特に男性に人気のミネラルをーター、Volvicの水源地。
映画を観れば一目瞭然、自然豊かな地域です。
さて、映画の1シーン目というのは、その映画の空気感を表します。
吹雪の中で牛の群れを誘導しています。
それとは対照的に、次のシーンでは、教室内にゆっくりカメが歩いています。
外の寒さ と 校内の暖かさ、さらにほのぼのとした時間が流れいてる様子が伺えます。
フランス映画は、このように対比させた演出が多いかも。この作品では”表現”。
静と動で言ったら、静ですし、
非日常よりも日常をテーマにした作品が多いです。
監督インタビューでは、「日常の些細なことが映画になる」とおっしゃっていました。
私は、日常の些細なことから感動出来ること を幸せだと思っています。
些細なこととは、景色、音、香り、触れること、そして言葉 という五感で構成される全てです。
そして、この些細なことから学ぶことが多くあります。
ニコラ・フィリベール監督の映画のテーマである『共生』という概念がこの学校では学べると思いました。
先生は喧嘩をした生徒の一人に「侮辱する言葉を言うことは簡単だ。」と諭します。
私は、言葉は人を生かしもするし、その逆もあることを中学の頃、目の当たりにしました。
ですので、この言葉は心に響きました。
私は今でも、言葉は人に捧げる為にある という感覚でいます。
海外生活で、ヒトの代表的なコミュニケーションツールである″言語″が、
分からない、思うように伝わらない。
そんな状況の中、色々な手段で伝えようとしてくれる。
私が分かるまで、何度も試行錯誤してくれる。
そんな人の温かさに何度も触れてきました。
現在は、翻訳アプリがあるので単純な意味は通じます。
しかし、会話の中で最も重要なのは、その言葉を包んでいる温度、パッションではないでしょうか。
心が通じ、理解し合う事ができ、信頼へと成長すると思います。
先生が生徒と向き合う姿勢に心打たれました。
「子供が輝くことが一番では?」
確かこのような表現だったと思いますが。
子供は親のいない所を好む場合がある。それは親にとっては悲しいことかもしれないが、子供が輝いていられることが大切でしょう?
と母親に添えた言葉。
これぞ教育者!と思いました。
自分では整理が難しく、言葉に表現出来ない感情を引き出し、納得する方向へと導いてくれる。
こんなにまで自分を理解してくれていたのか。
涙が出ました。
私の経験では無いことでしたので、このような先生がいたら…と少し寂しさすら覚えました。
実際は、私からバリアを張っていたのかもしれませんが。。
日常の断片から幸せを感じることが出来る。
私は何度もこちらに綴っていますが、、、それを大切に思っています。
自分が親になった時、この先生のように子供に接することが出来たら・・・と思いました。
育児に疲れた時に観よう。
何年後になるのでしょう(笑)