骨折した事もあり、1年ぶりの漫画書き下ろし制作。
ネームも終わり、現在キャラクター表作りで
ようやくペン入れ(アナログ派なので)段階。
ペンといえば、私は昔ながらの付けペン派なのだが
インクは墨汁を使っている。
製図用インクを使ったこともあるが
乾きは早いが薄いので、結局、安価で色が美しい墨汁に落ち着いている。
ただ、墨汁というのは劣化が顕著。
昔ながらの膠を使った物だと、特に腐敗が早い。
臭いも酷くなるが、最悪なのは「乾かなくなる事」だ。
描いた線がテリテリとして、時間が経っても
ちょっとこすれただけで画面を汚してしまう。
私がアシスタントとして入った大御所先生宅では
劣化防止の為に、墨汁1本開けて、小分けにして皆で使っていた。
こうすれば劣化する前に1本使い切れるからね。
とはいえ、アシを複数雇えるような先生なので、仕事量も多く、
そんな事しなくても、墨汁が劣化する前に使い切れるのだが
ただ、いつ開けたの?みたいな事もあるので。
その流れを汲み、私も小分けにしている。
劣化もそうだが、蒸発するので、
小分けにすると濃度を水で調整するのが簡単だからだ。
そもそも、付けペン用の墨汁は大きすぎて
ペンにつけるのがやりにくいというのもある。
普通のボトルタイプの方が安いし、注ぎ口も小さいので
蒸発もすすみにくいからね。
直接ペンを入れないので劣化も遅くなると思うし。
そこで、必要なのが入れ物。
有り難いのは100均コスメ用容器。
100均無かった頃は、結構お値段したけれど
今は安価で有り難いね。
私は、一作品使ったら、残っていてもそのままま放置。
(勿論、続けての作品があればその限りではないが)
次に使うときは、乾いていなければ、新しい容器を出して使う。
何故か?
乾いていなかったら、劣化を考えて使わないのは勿論だが
他にも、洗面所を汚さないというのがある。
墨汁は膠をはじめとした所謂「接着剤」が入っているので
管を汚してしまうのだ(ヘタするとつまりの原因にもなる)
だから、もし、捨てるときは、なるべくウェスで拭き取って
流さないようにしている。
ただ、私は基本的に完全に乾かすようにしている。
さて、完全に乾かす利点は何でしょう?
こちら完全に乾いた容器。
・・・
そう、このように完全に乾かすと「剥がれる」から。
接着成分が入っているという事でこのような事が出来る。
ボンドが乾いた時などで経験している人は多いと思うが
墨汁も乾くとこんな感じになるのだ。
これだと、濡れたのを拭うウェスも必要ないし
洗う必要もないからね。
そして、何と言っても、これを剥がすときの快感ったら!
墨汁にとっては、最後まで使って貰えない無念な姿かもしれないが・・・