ちょっとだけ真面目な話で恐縮ですが…
「はだしのゲン」で小さい頃を思いだしました
の続きといえば続きです。
そういえば「はだしのゲン」の問題点を反日教育とかいった政治的な観点から問題視している人がおられますが、私はそのあたりはどうでもいいかな…。人が表現するものに偏向してないものなんてありませんから。
過去の歴史をみても、現在の各国の紛争をみても、戦争はどの国にも等しく起こりうるものだということは想像に難くありません。
それを踏まえて戦争をしない、させないようにするには、戦争について色んな側面から考える必要があるのではないでしょうか?
ですからただただ「かわいそう」とか「つらい」とか「戦争は嫌い!」いった気持ちにさせてしまう可能性のある教育が、果たして子どもにとって良いのか悪いのか…?
戦争をさせないために、国としてきっぱり言う事も必要ですし、迎合することも大切かもしれません。
交渉では主張することもあれば、折れることもあるでしょう。
相手を立てることも必要ですし、強硬手段も大切な時があるかと思います。
時には肉を切らせて骨を断つ…という事もあるはずです。
交渉はクリーンで真っ向勝負、ロビー活動だなんてもっての他…
正攻法じゃなきゃぁダメ!
だなんて思って活動してたら「実」なんて取れませんから…
原発の問題でも、話が正面からすぎるのではないかと…
そして個人や団体をここまで攻撃するか……と、普通の人(と思しき人)が牙を剥きはじめる。
これは反原発の人も原発賛成の人も一緒。
これが国同士だと…と思うと、やはり性善説で対処できるだなんてどうしても思えません
近親者を拉致される、殺される…
極端かもしれませんが、そういう現実がすでに世の中では色々な場面で起きているんです。
宮崎駿監督が引退の記者会見の中でユーゴについて触れておられましたね。
「89年にソ連が崩壊して、その後日本のバブルも弾けて、僕は戦争が起きないと思っていたユーゴスラビアが内戦になって、歴史が動き始めました。」
ナチス制圧下の旧ユーゴスラビアを描いたマンガ、坂口尚著「石の花」を読み、ユーゴスラビアのバックグラウンドについて勉強したくなり、丁度この本を借りていたところなんです。そしたら宮崎監督のこの発言。
「ユーゴ紛争」の中に
「かつてボスニアはムスリム人、セルビア人、クロアチア人の主要三民族が戦後50年近く、貧困に喘ぎながらも、なんとか平和に暮らし、国の役職も民族ごとに輪番制で振り分けるなど、ひところは「多民族共存のモデルケース」とさえかんがえられていた。」
そんな国が
「隣人殺しの地獄の国」
となったのです。
もちろん人種に宗教が複雑に入り混じった国ですから、日本と比べることはできませんが、そういう事実もあるんです。
日本は大丈夫!って言い切れます??
人間ってそんなもの…
となりの人を殺し始める、そのような事が現に起こったわけです。
それって意外と簡単に起きるかもしれない…と戦争についての本を読むにつけて思うわけです。
戦争を考えるとき、この本もお勧めです。
アウシュビッツに収容された著者が想像を絶するも及ばぬ苛酷な環境を生き抜き、それを綴った書物です。
過酷な状況でどのようにして精神の平衡を保つのか?
人間の尊厳とは何か?
強制収容所の過酷な実態に読み進めることがかなり辛いです。
しかし読み終えた後に「生きる」ことを強く考えさせてくれる名著です。
「~すなわち人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。~」
「人生はわれわれに毎日毎時問いを提出し、われわれはその問に、詮索や口先ではなくて、正しい行為によって応答しなければならないのである。人生というのは結局、人生の意味の問題に正しく答えること、人生が各人に課する使命を果たすこと、日々の務めを行うことに対する責任を担うことにほかならないのである。」
夜と霧 フランクル著作集1 霜山徳爾訳 P183
読むには相当の覚悟が必要です。
特に霜山徳爾訳のものは数十ページに渡る「解説」と「写真・図版」は相当ショッキングなものです。
でも、是非とも読んでもらいたい一冊です。
多感な子どもであればあるほど書物との出会いはとても大切です。
あまり早い時期から「戦争の悲惨さ」を学ばせる必要はないかと思うんです。
戦争を学ぶ前にあれですね。
「誰からも愛されてる感」
「誰をも愛してしまう感」
そういう気持ちを十分にもってもらいたい。
そういう体験をした子は、戦争を綴った漫画や書物を読んでも大丈夫なんじゃないでしょうか。
そこから得るものが自分のものになると思います。
多感な子もいれば、そうでない子もいる。
だからこそ、書物や体験を与える時期は気をつけなければいけないかなぁ…、どの子も一緒にするのはまずいのではないかなぁ…と思っている次第です。
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