少し前の話ですが…
昨年最後の東洋はり医学会渋谷支部例会の実技は奏玲治療室岩下先生と一緒の班で勉強させてもらいました。
その中で興味深い話が一つ…
岩下先生より「治療はフィクションである」と先達が言っていたと…
治療は「現実」ですが、治療方針は鍼灸師の数だけ、いや医師も含め、その患者さんの治療に携わる人の数だけ違います。登り方は違うけれど「治す」という目標は皆同じですよね。
四診より得た情報から身体の状態を探り、物語を作っていく作業、論拠が確固たれば、それを踏まえて物語を紡ぎ出す事で、必ずや治癒への道が開ける。このようなストーリーの作成はとても大切だと思っていたのですが、偉大な先達もしなやかにその作業をしていたのですね。チョットだけ自信が持てました。
「日本鍼灸へのまなざし」 松田博公 著
出版者・出版年月 ヒューマンワールド・2010年6月
~~~~ 抜粋 ~~~~
井上鍼灸学の核心をフィクションという概念に凝縮できるのではないかと、私は考えている。先生の言うフィクションとは、嘘や虚構ではない。事実や仮説を含む物語でありながら、それを適用すれば思い通りの治療結果が出る構造的な思考とでも呼ぶべきものである。脈状診も六部定位診も、経脈・経穴・五臓六腑もすべてフィクションであり、証もまたフィクションなのである。つまり、それらはなんら事実ではない。例えば私たちは次のように考えてはいないだろうか。
「名人達が一人の患者を脈診し、脾虚や肝虚・腎虚とばらつきがあるのはおかしい。」
「流派ごとに証立ての内容が異なるなんて変だ。」
「正経十二本を前提に、経脈の科学的証明ができるはずだ。」
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岩下先生からのこの本の紹介メールがパソコン整理中に出てきて、いろいろ考えてた次第です。
そんな事やってるからなかなかはかどらないのですね
う~ん(・_・;)
ありがとうございました
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