7月末に5日連続で来られた方の症例です。
治療始めてすぐに転勤が決まり、そのまま来院できなくなりました。
主訴は頚の痛ダルさです。特に側頚部の痛だるさがどんな治療をしてもとれないという事でした。この痛だるさは中高生の時分までさかのぼると言います。集中して勉強をすることでこうなったとのことです。
後顎部~前頚部、胸鎖乳突筋、外側頚部のツッパリ感は半端無い状態で、下あごが膨らみ、七福神の恵比寿さんのように膨れていました。特に耳下の翳風穴や頬車穴辺りは瘀血所見が顕著に診られました。
その他、歯が欠けるほど歯ぎしりをするので、マウスピースを着用して寝るとのことでした。
前頚部~側頚部にかけては禁鍼穴、つまり鍼をしてはいけないツボが多く存在します。ですから、その辺へのアプローチをしない先生も多ることと思います。
実際何も考えずに鍼をすれば危険なところです。特に刺激に頼る治療では効かせる治療はできないどころか、悪化することもあるでしょう。
このような治療では、鍼を刺激する道具と捉えず、所見を虚実で弁えて補瀉を持って調整する事のできる「経絡治療の本領発揮」です。
この方法でしたら接触鍼程度でも効果がある場合が多く、自然と浅い鍼になります。
実際のところ経絡治療といえども浅いばかりではありません。必要な所見へはしっかり深刺しすることがあります。浅い鍼で十分な場合が多いから「浅鍼=経絡治療」と捉えられているだけです。
いずれにせよ所見を「コリの硬さや分布」で捉えるのではなく、陰陽虚実で捉える事が肝要で、だからこそどの部位へのアプローチも可能になり、どのような症状にも対応できるのだと思います。
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