インフルエンザ感染予防にはストレス回避と整腸がよいとは…
こういった自然な治癒の臨床を積むことこそ大切なんだと思います。
◇NK細胞、活性化 インフルエンザ感染防止に効果
風邪やインフルエンザに負けない免疫力を維持するにはどうすればよいか。こんなテーマで8月上旬、東京都内でセミナーが開かれた。奥村康・順天堂大医学部特任教授(免疫学)と井上文夫・有田共立病院(佐賀県有田町)院長が講演した。ストレスを避けて、腸を元気にする。これが肝心のようだ。【小島正美】
「長生きしたいなら、気持ちをおおらかに持ち、くよくよしないことです」
奥村教授は、悩みを引きずらないことが大事だと強調した。
ストレスの目安は、自分の腸が元気かどうかを見ればわかるという。腸と脳は神経でつながっており、腸はストレスに敏感に反応する。強い不安やあせり、緊張を感じると自律神経を介して、腸に伝わり、腹痛、下痢、便秘などが生じる。「腸は第二の脳」といわれるほどだ。
ストレスが長く続くと腸内細菌のバランスも崩れ、善玉細菌が減って悪玉細菌が優勢になる。中国の故事で子猿を失った母猿の気持ちを「断腸の思い」と形容したように、人は深い悲しみや極度の緊張に追い込まれると頭だけでなく、腸も反応する。
また、皮膚は内臓の鏡といわれるほど腸の状態を反映する。その意味で便秘は大敵だ。
では、腸を元気にするにはどうすればよいか。
まずはストレスをできるだけ避ける。何かをやって失敗したとき、その原因を自分のせいにして、もんもんと悩むタイプは長生きできないという。「何事も楽天的に構え、失敗しても他人のせいにするくらいの不良っぽさがよい」
笑うと免疫力が上がるので、1日に1回は大笑いしよう。
もうひとつは、善玉細菌を増やして腸内細菌のバランスをよくする乳酸菌を取ることだ。悪玉細菌が優勢だと腸内で腐敗物質が増え、肌荒れやくすみの原因にもなる。
免疫力を上げるうえでもうひとつ鍵を握るのがNK(ナチュラルキラー)細胞だ。不審な侵入者を退治するリンパ球のひとつだ。ウイルスに感染した細胞やがん化した細胞を見つけては撃退する。人の体内では毎日、5000個前後の細胞ががん化するといわれるが、そのがん化した細胞を撃退するのがNK細胞だ。腸に元気がないとNK細胞の働きも低くなる。
大笑いすることでNK細胞が活性化されることは人の試験で確かめられている。納豆などの発酵食品やキノコを食べても、NK細胞の活性が上がる。
逆に、NK細胞の活性を下げる要因を知っておくことも必要だ。高齢が最大の要因だが、これは避けられない。
NK細胞の働きは夜11時を過ぎると下がりやすくなり、免疫力もダウンする。その意味で昼夜逆転の生活は免疫にはマイナスだ。徹夜、夜更かし、長距離運転など交代勤務による生活リズムの乱れもマイナス要因だ。
学校の入試や社内の昇進試験など緊張を強いるストレスもNK細胞の活性を下げる。活性が下がると風邪をひきやすくなるので、入試時期には特に注意が必要だ。
スポーツは一見よいように見えるが、激しい運動はかえってNK活性を下げるから気をつけたほうがよさそうだ。
奥村教授は「あまりにもまじめだと早死にする恐れもある。何事もほどほどにして、多少いいかげんに生きていくのがよい」と呼びかけた。
一方、井上院長はR-1乳酸菌を含むヨーグルト飲料の摂取がインフルエンザの感染防止になる調査結果を発表した。
昨年9月~今年3月半ば、有田町の全小中学生約1900人に毎日、同飲料(約110ミリリットル)を飲んでもらった。その結果、インフルエンザの感染率は小学生で0・64%、中学生で0・31%だった。周辺の伊万里市、武雄市、嬉野市の3市と佐賀県全体の平均と比べたところ、どれよりも低かった(表参照)。
R-1乳酸菌はマウスの実験でNK細胞の活性を高めることが分かっている。井上院長は「予想以上に感染率が低く、驚いた。腸内細菌を殺したマウスはインフルエンザにかかりやすいことから考えて、ヨーグルト飲料が腸内細菌のバランス調節を通じて免疫機能を高め、感染を防止した可能性が考えられる」と話した。
奥村教授は「これほど大規模な集団での長期試験は珍しい。今度の結果は、私たちが行ってきた動物実験や基礎的な論文の内容に合っており、研究として意義深い」と語った。続けて、「東日本大震災で被災された方たちのストレスは強く、免疫の低下が心配だ。そうした面でもR-1乳酸菌の働きが期待できるのでは」と話した。
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◇有田町と周辺地域のインフルエンザ感染率(有田共立病院まとめ)
小学生 中学生
有田町 0.64% 0.31%
伊万里市 9.74% 1.66%
武雄市 10.48% 7.06%
嬉野市 1.90% 1.31%
佐賀県平均 4.37% 2.57%
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◇腸を元気にする奥村式健康法◇
(1)悩みがあれば、だれかに打ち明ける
(2)体を動かすと気がまぎれる。歩く、頭のマッサージ、雑巾がけなど全身を動かす
(3)冷え性は大敵。ヨーグルトを電子レンジで温めて食べたり、おへそにホットシャワーをあてたりする
(4)自分でおなかを動かしたり、腸をマッサージしたりする
(5)1日に1回は爆笑する
(6)早起きして日光を浴びる
(7)何事もほどほどにし、くよくよしない
(8)夜更かしをしない
(9)ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆やキノコなどをよく食べる
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