レンキン

外国の写真と
それとは関係ないぼそぼそ

免許失効夜話(5)

2009年08月11日 | 免許失効夜話
多分私はその時真っ青になっていたと思う。
それまではあくまで「更新忘れ」だったのだ。
それが一年と数日(正確には四日)更新せずにぼんやりしていて
「無免許」となってしまった。
そして無くなった免許はもう一度取り直さなくてはならない。

→教習所で第一段階から。



え、すごくいやだ!びっくりするほどいやだ!


「…え、その、それはその、本当に何ともならないんですか?
 何か免除とか!」
『更新期間中外国に居た、等であれば免除なのですが』
「い、いました、外国にいました!」
咄嗟に嘘をつく。

『ではその事を証明できるパスポートなどお持ちですか?』
「う、嘘です」
三秒でばれる。


『では免許の取り直しという事で、頑張ってください』
「はい……(がっくり) 教習所で第一段階から、という事ですよね?」
『教習所へ行って頂くのが一番早いと思いますが、
 運転に自信があれば一発免許、というのがあります。
 そちらを受けてみるのも手です』


…一発免許、知ってる。
あの受からないやつね!

免許失効夜話(4)

2009年08月10日 | 免許失効夜話
勿論あのおじさんは
免許更新忘れがどういう結果をもたらすかご存知だったのだろう。
でもそれを教えちゃうと、大抵の場合ものすごく話が長くなるのと
…気の毒で自分の口からは言えないというのがあったんだろうと思われる。
「当たり前だけど、ちゃんとするまで車乗っちゃダメだよ!」
帰り際、おじさんがそう付け加える。
その「ちゃんとするまで」に色々が込められていたが
私は気付かずに、はーいと返事をして
勿論車を運転して帰るつもりでいた。
忘れちゃっただけだもん、ねえ。
車が無いと生活出来ないもの。


駐車場に到着して、車に乗り込んで、それから携帯で
平針の免許更新忘れ相談窓口に電話をした。
女性の警察官が出る。お役所的なところが大分取れた警察だが
それでも平針の職員は相変わらず超超事務的だ。
「免許の更新忘れちゃったんですが」
『そうですか、更新期限はいつになってますか?』
「平成20年の4月●日です」
『ああ、そうしましたら一年経ってますので、取り直しになりますね。』

「……え?」

『取り直しになりますね。』

「え、と、取り直しって、え?」

『最初から、免許を、取り直しです』

「    」

『もしもし?』



さあ、絶望的な会話はここらからだ。

免許失効夜話(3)

2009年08月08日 | 免許失効夜話
…いやいやいや。

そんなバカな。
私は行員が難しい顔をしたまま返した免許を
奪うようにして受け取り、その表書きを見た。
普段意識してなかったけど
有効期限って見落としようがないくらいすごくでっかく書いてある。
太字で。
そこに平成20年●月●日と書かれているのを見届け
そして今年は平成21年であったなあと思いながら
私は仕方なく免許証を財布にしまい
代わりの身分証明書として保険証を差し出した。
行員は「写真つきの身分証明書ではありませんので
いくつかの手続きが出来なくなりますがご了承下さい」と言い
私はそれにも仕方なく頷いた。


ここまではそう、私は「写真つき身分証明書の期限が切れた」
くらいに思っていた。
急いで更新に行かなきゃな、いつもの交番でいいのかな
もしかしたら平針(愛知県運転免許試験場・その所在地から通称平針)
に行かなきゃいけないかもしれないなあ…。遠いなあ。
手続きを進める行員の額辺りを眺めながら
私は面倒な事になったなあと考えていた。


銀行からいつもの交番までは歩いて15分くらい、
更新が済むまでは車も乗り控え(控え、程度なのだ)なきゃいかんと思ったので
駐車場に車を置き、徒歩で向かう。
気さくな警察官おじさんに更新忘れを告げると
おじさんはちょっと気の毒そうな顔をして
「ああ、そうしたらね、ここに電話してみて」と
『更新忘れの場合』というプリントをくれた。
よくある事っぽい対応だ。
お礼を言いながらプリントを見てみると、そこには
「更新期限翌日から半年未満」「半年以上から一年未満」
の場合にはどうするか、が書いてあって
私の「一年以上」の場合は書いていない。
少し嫌な予感がした。

おじさんにそのことを告げると
私の顔を見て、大いに気の毒そうな顔をして
「ああ、そうしたらね…やっぱりここに電話してみて」
と、プリント下段の同じ電話番号を指差した。
そして「残念だねえ!」と力強く言った。