<タウリルトのカスパ>
モロッコ訪問記(23):第7日目(5):ワルザザードへ
(アルパインツアー)
2009年6月7日(土)~18日(火)
第7日目:2009年6月13日(土) (つづき)
<ワルザザード市街略図>
<ティフォルテカスパ>
■アイドベンハットゥを出発
アイドベンハットゥの見学を終えた私たちは,再び専用車に乗って,クサル村の駐車場を15時38分に出発する.直ぐにクサル村の郊外に出る.すると前方には見渡す限りの荒涼とした赤色の大地が広がっている.私たちの専用車は,おおむね南東の方向を目指して,交通量が極端に少ない舗装道路をばく進する.
やがて,専用車は緩やかな登り坂に差し掛かる.
登り坂が終わると,広大な平原に出る.やがて,緑豊かなオアシスの中に入る.専用車はオアシスの高台にある大きな建物を目指して,坂道を登っていく.
16時08分,専用車はティフォルテカスパ(Tifoultoute Kasbah)の駐車場に到着する.
私は現地ガイドのアブダラさんに,
「ここは何というところですか・・・?」
と質問する.アブダラさんが何回も,
「ティフォルテカスパだよ」
と答えてくれるが,日本語しか聞いたことのない私には,アラビヤ語の微妙な子音が,良く聞き取れない.何回も,何回も聞き直す.
「チフォテカスパですか?」
「違うよ,ティフォルテカスパだよ」
「ええ~っ・・・チファ何?」
ついに私はしびれを切らして,ノートに地名を書いて貰う.
私たちはチティフォルテカスパの駐車場に専用車を止めて下車する.
<コウノトリの巣があるティフォルテカスパ>
※絵の上の英字がアブダラさんが書いたもの
■ティフォルテカスパを見学
専用車を降りて,巨大な建物の前に立つ.
建築のことは良く分からないので,何という形式の建物か分からないが,一階部分には大きなアーチ状の柱が並び,屋上には凸状の形をした手すりのようなものが並んでいる.建物は日干し煉瓦で作られているので,地面と全く同じ色をしている.
建物の一番高いところには,コウノトリの大きな巣が作られている.巣の中では,羽が白くて頭が黒い大きな鳥が動いている.
アブダラさんの説明によると,ここはグラウイ(Glaui)という一家の要塞として作られたという.また,この建物は,映画「アラビヤのロレンス」のロケーションにも使われたことがあるらしい.帰国したら,早速,この映画のCDを探そうと思う.
アブダラさんの説明によると,このカスパは,現在,ホテルになっているとのこと.ただ,宿泊料は結構高いようである.
建物の中に入る.入口から直ぐにだだっ広い広間がある.全体として薄暗い.
<ティフォルテカスパの入口>
■コウノトリの巣
壁沿いの階段を登って,屋上に出る.全体に埃っぽいのは,やむを得ない.あまり掃除が行き届いていないような印象を受ける.
直ぐ近くの高いところにコウノトリの巣がある.凸部と凸部の間を利用して巧みに巣を作っている.木の根のようなものを,湯飲みを伏せたような形にうずたかく積み上げている.巣の中はどうなっているのか分からないが,巣の縁に1羽のコウノトリが留まっている.
<コウノトリの巣>
■素晴らしい展望
屋上から下を見下ろすと,オアシス一帯が良く見える.オアシスの手前には,日干し煉瓦で作った家屋が立ち並んでいる.私たちは凸部の間から首を出して,外の景色を見下ろす.
私は景色を見下ろしながら,帰国したら,是非,映画「アラビヤのローレンス」を見ようと心に決める.
<屋上からの展望>
■甘いお茶
屋上からの風景を堪能した後,私たちは1階の大広間に戻る.大広間の中央に置いてあるテーブルに座って,甘いお茶をご馳走になる.
16時31分,専用車に戻る.
<ワルザザードを目指して>
■ワルザザード川を渡る
16時31分,私たちの専用車は,ティフォルテカスパの駐車場を出発する.
専用車は,すぐにオアシスを抜けて,草木が殆どない荒涼とした台地に入り込む.そして,暫くの間,荒々しい風景が続く.
10時45分,専用車は集落に入る.道路の両側に,煉瓦造りの家が建ち並んでいる.さらに4~5分走ると集落を抜けて,また原野に出る.先へ進むに連れて,段々と緑が増え始める.
10時50分,かなり大きな川を渡る.ワルザザード川(Oued Ouarzazatte)のようである.
■タウリルトのカスパ
やがて,ワルザザードの郊外に入る.道路の周辺に立ち並ぶ家屋の数が増えてくる.道路幅が広がり,商店が建ち並び始める.街の雰囲気が段々と活気を帯びてくる.
16時52分,町中のバスターミナルのようなところで,専用車は停まる.下車する.
ここから賑やかなムハマド5世通りを東へ歩く.なだらかな上り勾配の道である.辺りは賑やかな商店街である.坂道を登り切る頃,進行方向右手にいきなり大きな建物群が見え始める.タウリルトのカスパ(Kasvah de Taouririrt)である.
ガイドのアブダラさんの説明によるとタウリルトのカスパは,マラケシュの司令官だったグラウイの家だったところだという.
建物群の外観は,先ほど訪れたアイドベンハットゥに良く似ている.
<タウリルトのカスパ>
<オテルフィント>
■オテルフィントに到着
アブダラさんの後を追って,建物の間の道を,あちこち曲がりながら進む.
そして,17時04分に,今日の宿泊場所であるオテルフィント(Hotel Fint)に到着する.
アブダラさんがチェックインの手続きをしている間,ロビーで待つ.私は今夜も名古屋のSさんと同室である.258号室が私たちの部屋である.
<オテルフィントの私たちの部屋>
■落ち着いた部屋
なかなか豪華で大きなホテルである.ロビーから中庭に出る.大きなプールがある.プールサイドを通り抜けると,いくつかの部屋が集合する棟が並んで建っている.
私たちの部屋は,プールサイドを進んだ突き当たりにある棟の2階である.
高床になっている地下をくぐり抜けると,外階段がある.その階段を登ると部屋の入口になる.中にはいると,それほど広くはないが,なかなか趣のある部屋に,シングルベッドが2台置いてある.突き当たりに小さなテラスがついている.テラスに出ると,先ほど通ったプールが見下ろせる.
プールでは,白人のアベックがベタベタしながら泳いでいる.
備え付けのテレビを点けてみる.当然のことながら日本語の放送はない.フランス語とアラビヤ語(かな?)の放送だけである.ホテルには英語の新聞すらないので,このところ,世の中で何が起きているのか全く分からない.
■お湯が出ない
何はともあれ,旅の埃を洗い流したい.バスタブにお湯を張ろうと思う・・が,お湯はほんのチョロチョロとしか出ない.
考えてみれば,ここでは水はとても貴重である.水に恵まれた日本や欧米のホテルと同じに考えること自体が滑稽である.お湯をバスタブに張って入ろうとすること自体が非常識なのかもしれない.
私は納得して冷たいシャワーを使って,身体についている汗や埃を洗い流す.そして,久々にゆっくりと髭を剃る.
次いで,今日着ていたシャツ類の洗濯を,一気に済ませてしまう.
「ああ,サッパリした.」
■プールサイドのレストラン
19時25分,プールサイドのレストランに行く.夕食である.
少々飽きが来ているが,定番のモロッコ料理である.メニューは,下の写真の通りである.ここでも私が日本から持参した昆布出汁の醤油が大活躍する.
■駄洒落を聞きながら・・
ウンザリするほど大阪の人の駄洒落を聞きながら食事をする.駄洒落を聞きながら,大阪の方々と,私を含めて関東の人間との間には,笑いの種に微妙なずれがあることを知る.
何れにしても,20時30分頃,夕食を終える.
パック旅行に参加していて贅沢をいうのも気が引けるが,そろそろ1人だけで,ゆっくり気ままに食事がしたいなと思い始める.
21時頃,就寝.
こうして,旅の7日目は終わった.
「おやすみなさい」
(つづく)
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(アルパインツアー)
2009年6月7日(土)~18日(火)
第7日目:2009年6月13日(土) (つづき)
<ワルザザード市街略図>
<ティフォルテカスパ>
■アイドベンハットゥを出発
アイドベンハットゥの見学を終えた私たちは,再び専用車に乗って,クサル村の駐車場を15時38分に出発する.直ぐにクサル村の郊外に出る.すると前方には見渡す限りの荒涼とした赤色の大地が広がっている.私たちの専用車は,おおむね南東の方向を目指して,交通量が極端に少ない舗装道路をばく進する.
やがて,専用車は緩やかな登り坂に差し掛かる.
登り坂が終わると,広大な平原に出る.やがて,緑豊かなオアシスの中に入る.専用車はオアシスの高台にある大きな建物を目指して,坂道を登っていく.
16時08分,専用車はティフォルテカスパ(Tifoultoute Kasbah)の駐車場に到着する.
私は現地ガイドのアブダラさんに,
「ここは何というところですか・・・?」
と質問する.アブダラさんが何回も,
「ティフォルテカスパだよ」
と答えてくれるが,日本語しか聞いたことのない私には,アラビヤ語の微妙な子音が,良く聞き取れない.何回も,何回も聞き直す.
「チフォテカスパですか?」
「違うよ,ティフォルテカスパだよ」
「ええ~っ・・・チファ何?」
ついに私はしびれを切らして,ノートに地名を書いて貰う.
私たちはチティフォルテカスパの駐車場に専用車を止めて下車する.
<コウノトリの巣があるティフォルテカスパ>
※絵の上の英字がアブダラさんが書いたもの
■ティフォルテカスパを見学
専用車を降りて,巨大な建物の前に立つ.
建築のことは良く分からないので,何という形式の建物か分からないが,一階部分には大きなアーチ状の柱が並び,屋上には凸状の形をした手すりのようなものが並んでいる.建物は日干し煉瓦で作られているので,地面と全く同じ色をしている.
建物の一番高いところには,コウノトリの大きな巣が作られている.巣の中では,羽が白くて頭が黒い大きな鳥が動いている.
アブダラさんの説明によると,ここはグラウイ(Glaui)という一家の要塞として作られたという.また,この建物は,映画「アラビヤのロレンス」のロケーションにも使われたことがあるらしい.帰国したら,早速,この映画のCDを探そうと思う.
アブダラさんの説明によると,このカスパは,現在,ホテルになっているとのこと.ただ,宿泊料は結構高いようである.
建物の中に入る.入口から直ぐにだだっ広い広間がある.全体として薄暗い.
<ティフォルテカスパの入口>
■コウノトリの巣
壁沿いの階段を登って,屋上に出る.全体に埃っぽいのは,やむを得ない.あまり掃除が行き届いていないような印象を受ける.
直ぐ近くの高いところにコウノトリの巣がある.凸部と凸部の間を利用して巧みに巣を作っている.木の根のようなものを,湯飲みを伏せたような形にうずたかく積み上げている.巣の中はどうなっているのか分からないが,巣の縁に1羽のコウノトリが留まっている.
<コウノトリの巣>
■素晴らしい展望
屋上から下を見下ろすと,オアシス一帯が良く見える.オアシスの手前には,日干し煉瓦で作った家屋が立ち並んでいる.私たちは凸部の間から首を出して,外の景色を見下ろす.
私は景色を見下ろしながら,帰国したら,是非,映画「アラビヤのローレンス」を見ようと心に決める.
<屋上からの展望>
■甘いお茶
屋上からの風景を堪能した後,私たちは1階の大広間に戻る.大広間の中央に置いてあるテーブルに座って,甘いお茶をご馳走になる.
16時31分,専用車に戻る.
<ワルザザードを目指して>
■ワルザザード川を渡る
16時31分,私たちの専用車は,ティフォルテカスパの駐車場を出発する.
専用車は,すぐにオアシスを抜けて,草木が殆どない荒涼とした台地に入り込む.そして,暫くの間,荒々しい風景が続く.
10時45分,専用車は集落に入る.道路の両側に,煉瓦造りの家が建ち並んでいる.さらに4~5分走ると集落を抜けて,また原野に出る.先へ進むに連れて,段々と緑が増え始める.
10時50分,かなり大きな川を渡る.ワルザザード川(Oued Ouarzazatte)のようである.
■タウリルトのカスパ
やがて,ワルザザードの郊外に入る.道路の周辺に立ち並ぶ家屋の数が増えてくる.道路幅が広がり,商店が建ち並び始める.街の雰囲気が段々と活気を帯びてくる.
16時52分,町中のバスターミナルのようなところで,専用車は停まる.下車する.
ここから賑やかなムハマド5世通りを東へ歩く.なだらかな上り勾配の道である.辺りは賑やかな商店街である.坂道を登り切る頃,進行方向右手にいきなり大きな建物群が見え始める.タウリルトのカスパ(Kasvah de Taouririrt)である.
ガイドのアブダラさんの説明によるとタウリルトのカスパは,マラケシュの司令官だったグラウイの家だったところだという.
建物群の外観は,先ほど訪れたアイドベンハットゥに良く似ている.
<タウリルトのカスパ>
<オテルフィント>
■オテルフィントに到着
アブダラさんの後を追って,建物の間の道を,あちこち曲がりながら進む.
そして,17時04分に,今日の宿泊場所であるオテルフィント(Hotel Fint)に到着する.
アブダラさんがチェックインの手続きをしている間,ロビーで待つ.私は今夜も名古屋のSさんと同室である.258号室が私たちの部屋である.
<オテルフィントの私たちの部屋>
■落ち着いた部屋
なかなか豪華で大きなホテルである.ロビーから中庭に出る.大きなプールがある.プールサイドを通り抜けると,いくつかの部屋が集合する棟が並んで建っている.
私たちの部屋は,プールサイドを進んだ突き当たりにある棟の2階である.
高床になっている地下をくぐり抜けると,外階段がある.その階段を登ると部屋の入口になる.中にはいると,それほど広くはないが,なかなか趣のある部屋に,シングルベッドが2台置いてある.突き当たりに小さなテラスがついている.テラスに出ると,先ほど通ったプールが見下ろせる.
プールでは,白人のアベックがベタベタしながら泳いでいる.
備え付けのテレビを点けてみる.当然のことながら日本語の放送はない.フランス語とアラビヤ語(かな?)の放送だけである.ホテルには英語の新聞すらないので,このところ,世の中で何が起きているのか全く分からない.
■お湯が出ない
何はともあれ,旅の埃を洗い流したい.バスタブにお湯を張ろうと思う・・が,お湯はほんのチョロチョロとしか出ない.
考えてみれば,ここでは水はとても貴重である.水に恵まれた日本や欧米のホテルと同じに考えること自体が滑稽である.お湯をバスタブに張って入ろうとすること自体が非常識なのかもしれない.
私は納得して冷たいシャワーを使って,身体についている汗や埃を洗い流す.そして,久々にゆっくりと髭を剃る.
次いで,今日着ていたシャツ類の洗濯を,一気に済ませてしまう.
「ああ,サッパリした.」
■プールサイドのレストラン
19時25分,プールサイドのレストランに行く.夕食である.
少々飽きが来ているが,定番のモロッコ料理である.メニューは,下の写真の通りである.ここでも私が日本から持参した昆布出汁の醤油が大活躍する.
■駄洒落を聞きながら・・
ウンザリするほど大阪の人の駄洒落を聞きながら食事をする.駄洒落を聞きながら,大阪の方々と,私を含めて関東の人間との間には,笑いの種に微妙なずれがあることを知る.
何れにしても,20時30分頃,夕食を終える.
パック旅行に参加していて贅沢をいうのも気が引けるが,そろそろ1人だけで,ゆっくり気ままに食事がしたいなと思い始める.
21時頃,就寝.
こうして,旅の7日目は終わった.
「おやすみなさい」
(つづく)
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