中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ルートバーン(4):ニュージーランドへ(1) 

2011年03月14日 09時13分42秒 | ニュージーランド;ルートバーン

                             <クイーンズタウン公園>

            ルートバーン(4):ニュージーランドへ(1)
                (湘南カラビナ隊)
         2005年1月28日(金)~2月6日(日)

                 ※記事の一部にルートバーン(2)と重複箇所がある

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2005年1月27日(水),私たち8名は,成田国際空港から,
          ニュージーランドのクイーンズタウンに向けて出発した.
          機中泊の後,オークランドでトランシット,28日(木)午後,
          無事クイーンズタウンに到着した.
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ニュージーランドへ

1.旅の準備

■気ばかり焦る出発前

2005年1月26日
.水曜日.晴.寒い一日.

 出発2日前なのに,まだ,旅の準備は何もしていない.
 折角の旅だから,とにかく綺麗な山の写真を沢山撮りたい.
 今回持参するデジカメは,軽量,電池長持ち,起動時間最短を選択基準にして,カシオのエクスリムを持参するつもりである.これに,多少の現金とパスポートさえ忘れなければ,何とか旅を続けることはできるだろう.とはいえ,旅先であわてないように,準備だけはチャンとしておきたい.
 何となくぼんやりしていると,もう21時.いつからだろうか,年のせいかも知れないが,何となく早寝早起きになってしまった私は,この時間を過ぎると,もう「眠い,眠い」である.
 「もうダメ,明日準備をしよう.」
 そして出発前日,27日.平日ながら,今日は私の休日.
 まずは携行品の準備を始める.パスポート.1998年に発給を受けたパスポートを改めて開いてみる.パスポートの自分の写真を見ると,今の私より,肌がつやつやしているし,髪の毛も黒い.ちょっとの間に,私も随分と老けたなと実感する.
 2年前にミルフォードサウンド(Milford Sound)を訪れたときの資料を持ち出して,持ち物のチェックを始める.でも,つい一週間前に,山学校(注1)で登山した北八ヶ岳天狗岳の摂氏マイナス20度の経験が生々しくよみがえる.今,南半球が夏だと分かっていても,ついつい冬支度の感覚で持ち物を考えてしまう.
 前回,ミルフォードサウンドを訪れたのも,1月下旬から2月上旬であった.
 あのときの装備品は,次の通りだった.
 靴下2足.下着(すべて登山用)はシャツ1枚,パンツ1枚,ズボン下1枚.バンダナ2枚.雨具(ゴアテックス)上下1式.手袋(防水)2足.洗面具(歯ブラシ,練り歯磨き,爪切り,木綿の手拭い.タオルは乾きにくいので持たない).ひげそり1個.小形石けん1個.靴(革製のトレッキング用)1足(空港へは運動靴を履いていく).軽量スリッパ1足.水筒(1リットル)1個.テルモス(500ミリリットル)1個.ちり紙少々.薬品1式.サングラス2個.帽子(防寒1個,防水1個).つまようじ若干.乾電池10本,蓄電池6本.充電器1個.プラグ1個.フイルムカメラ1台.デジカメ一台.35ミリフィルム4本.SDカード6枚.ヘッドランプ1個.予備ランプ1個.雨用スパッツ1組.眼鏡予備1個.眼鏡落下防止紐一1本.アイマスク1個.無地ノート(B5)3冊.速記用ノート(A6)一冊.文房具ギア一個.ボールペン5本.ポリ袋(小形)10枚.高度計1個.方位磁石1個.腕時計1個.折畳みバッグ1個.折畳み傘1本.案内書1冊.パスポート.トラベラーズチェック(通貨ドル,若干の金額).現金通貨(円).これが持参した品物の全てである.なお,ストックは持参しなかった.
 このとき,登山用の下着,衣類を直接身につけていたので,これをプラスして,2組の下着をこまめに水洗いして着回ししていた.2年前と違うのは,スント(SUUNTO)製の高度計付きの時計を持っていることだけである.
 なお,持ち物の中で,ノートやボールペンが多いのは,私がボールペンでスケッチをするのが趣味だからである.前回は,気楽な1人旅.時間の合間を見つけては,スケッチを楽しんでいた.だが,今回は仲間8人での参加である.多分スケッチを楽しむわがままは許されないだろう.
 これで,持ち物全部の重量は約8キログラムである.これらの荷物を45リットル容量のリュックに入れて,すべてを機内に持ち込んだ.私は,このときのことを思い出しながら,携行品の選び出しを行った.この作業は30分ほどで終わった.

■プロフィールマップ作り
 午後,アルパインツアー社から送られてきた地図を参考にして,プロフィールマップマップ(高低図)に専念する.私は登山の度にプロフィールマップを作るのが楽しくて仕方がない.これは山学校の講師であるN田,N方両ガイドから,口酸っぱく教えられた習慣である.それ以来,プロフィールマップ作りは,私の習慣になっている.これまで,国内の山々へ登るときに,必ず該当する地域の縮尺25,000の1の地形図を入手する.そして,地形図に磁北線と直交する東西線を,4センチ間隔で書き入れる.このようにして作成した升目は4キロメートル四方の東西南北を表す正確な目印になる.次いで,登山ルートを拾い,そのルートに沿って,わくわくしながら等高線を眺める.水平距離と等高線から,登山ルートの断面図(つまり高低図)を作りあげる.これが私にとって,至福の一時なのである.プロフィールマップを作る過程で,まだ行ったことのない山の姿や形が頭の中に,沸々と湧き出てくる.これがたまらなく楽しい.僅かに等高線の間隔が変化しているのをかぎ分けて,小さな登りや下りを想定する.そして,実際に現場に行って,自分が作った高低図と実際がどれだけ合っているか,どこが違ったかを確かめる.これが登山の醍醐味の一つになっている.実際に,初めて登る山でも,事前に地形図を丹念に見ておけば,自分の行き先をかなり正確に予見することができるようになるから不思議である.
 山で行きずりに出会った方から,
 「プロフィールマップなど,パソコンを使えば簡単に作れますよ」
とご指摘を受けることがしばしばある.私も若い頃からコンピュータ分野で仕事をしてきたので,そのようなことは十分承知している.だが,パソコンを使って,自動的にプロフィールマップを作ったのでは,肝心の山の地形が自分の頭の中に,ほとんど入らない.また,地形図の読み方も本当には覚えられない.何よりも,登山前にこれから登る山のことを,あれこれと想像して,期待を深めるという至福の一時が失われることになる.だから私は,プロフィールマップを手作りすることに強く拘っている.
 ところが海外の登山では,このプロフィールマップがうまく作れない.その理由は,素人では,正確な地形図が,なかなか入手できないからである.以前,キリマンジャロ山に登ったときも,えらく粗い地図で高低図を作ったので,のっぺりとした「へ」の字のようなプロフィールマップしか作れなかった.大変物足りなかった記憶がある.カムチャッカ半島のアパチャ山は,もっと粗い地図しか入手できなかった.こんなときは登山の楽しみも半減してしまう.その点,ニュージーランドの地図は大分マシである.私は,プロフィールマップを作りながら,旅に出る前から,1人悦に入っている.ただし,本書に掲載したルートバーントレックのプロフィールマップは,正確を期するために,公刊されている資料から引用した.

2 旅は道連れ

 

ニュージーランドの自然に魅せられて

 私たちは,2005年1月18日(金)から2月5日(土)までの10日間,アルパインツアーサービス株式会社主催の「ルートバーン・トラック(Routeburn Track)とマウントクック山麓トレッキング」のパックツアーに参加した.参加者は成田空港からの10名,関西空港からの2名,合計12名である.東京組10名の内の8名が,私が通う登山学校の同級生である.

 私は,2003年春にミルフォードサウンドのトレッキングに参加したことがある(注2

).そのときにニュージーランドの自然の美しさに魅せられてしまった.そこで,当初,私1人で,このツアーに参加しようと思っていた.

 正確な日時は覚えていないが,2004年秋,今回のツアーに申し込むと,参加者はまだ2名で,催行できるかどうか微妙であるとのことであった.そこで,たまたま登山学校で一緒になった方々に,一緒にニュージーランドへ行かないかと誘ったところ,たちまちの内に8名の同行者が集まった.すぐにアルパインツアーのH山さんを通じて,8名全員の参加申込みを行った.

 

■同行者のプロフィール

 私たちのメンバーの仮名(ハンドルネーム)とプロフィールを紹介しよう(敬称略).

 まずは最年長の山欠菌(FHのこと).これは私である.まだ現役.専門は山とは全く関係のないコンピュータである.長い間,民間企業に居たが,19年前に会社を退職して現職に就いた.鎌倉市在住.

 次にフクロウ氏.男性.別名イノシシともいう.われわれの仲間では,最強のパワーと登山技術を持っている.鳥の観察が趣味である.ちょっとした場面で,秀逸な一言を発するのが得意である.彼の会話に追いついて行くには,聞き手も頭をフル回転しなければならない.私たちの仲間では一番若手である.横浜市在住.

 消防署長.女性.ある山行で,ヘルメットから雨具まで,全身真っ赤な服装で現れたので,フクロウが,早速「消防署長」というあだ名を付けた.チャキチャキの江戸っ子風だが,美しい奥さんである.山では,結構,馬力がある.横須賀市在住.

 消防署員.男性.消防署長の旦那さん.山登りは奥さんと共通の趣味である.ただ,山でのパワーは奥さんの方が少々強いかもしれない.端正な紳士.背が高いので,ある神社の鳥居に頭をぶつけて有名になった.今までだれも頭をぶつけたことがない鳥居である.つい先日まで,某一流会社の役員であった.ただ,山学校では奥さんの1年後輩である.横須賀市在住.

 バーダー.男性.野鳥観察が趣味.フクロウがバーダーというあだ名を付けた.物静かで,論理的思考が得意な紳士である.現在は悠々自適.横須賀市在住.

 仁王様.男性.1寸いい体格をしておられる.温厚なにこにこ顔の紳士である.登りは少々弱いが,下りはお手の物である.頑健な胃をお持ちなので,「美味しいですね」と言いながら,何でも美味しそうに食べる.まだ大手電機会社の現役.マオリの酋長のような風格があるので,酋長というあだ名も付いている.川崎市在住.

 ノシイカ.女性.私たちのメンバーの中では若手.現役の看護士さん.平素は,とても賑やかだが,メンバーの中に具合が悪い人が出ると,途端に厳粛な面もちの看護士さんに変身する.頼り甲斐がある.神奈川県海老名市在住.

 スケルトン.女性.楚々とした小柄で素敵な方である.まだ,現役でお仕事をしている.ほっそりとした鹿のような足で着実に山を歩かれる.疲れを知らない.筋肉痛に悩まされたことがないので,あの方には筋肉がないのだろうということで,スケルトンというあだ名が付いた.神奈川県座間市在住.

 以上が私たちのメンバーである.私たち以外に,成田からは女性2人,関西空港からは夫婦1組,合計12名が,このツアーに参加した.

 この本では,私たち8名の行動を主体にして記述しているので,私たち以外の方々のことは,殆ど触れていない.

本書では,旅の全行程を,なるべく詳しく紹介したいと思っている.

(注)
1.クラブツーリズム(株)横浜旅行センター主催の3年制(現在は1年制)の登山学校で「山旅スクール」という.私たちは,この山旅スクールに在籍中である.1人は第6期,その他のメンバーは第5期の同窓生である.2005年1月現在,私たちは3年目に在籍中である.このスクールでは,毎回テーマを定めて,月に2回程度,山行している.スクールのモットーは「自立した登山者」になることである.

2.近畿日本ツーリスト(現在のクラブツーリズム)主催で,2003年1月18日から2月5日まで開催された「ミルフォードサウンドトレッキング」に参加した.
                                     (つづく)

「ルートバーン」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d9a7b70e4d084e4fb827cc501e279df2
「ルートバーン」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/bf7400e9bb23812d7eb1a0c7490e41e7

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[編集後記]

2011年3月14日(月).
晴.(つづき)

 遂に福島原発3号機が水素爆発した.大変なことになった.
 自分が,今,無事でいられるのが申し訳ないような気分になってくる.今日は,塔ノ岳に出掛けるつもりだったが,勿論,これは中止した.そして,家中の電気のスイッチをオフにして廻った.
 ちょっとした買い物と地図のコピーを取りたかったので,近所のコンビニへ向かった.何時もは比較的空いているコンビニに沢山の買い物客が訪れている.食料品や日用雑貨の棚は殆ど空になっている.私が住んでいる鎌倉周辺では,今回の地震で目立った被害はなかったけれども,このコンビニの様子を見ていると,ただならぬ影響がひたひたと迫っていることを実感する.
 帰途,鎌倉中央公園を横切る.公園の梅は何事もなかったかのように綺麗な花を咲かせている.
 今日は東海道本線,横須賀線,京浜東北線など首都圏の電車は,ほとんど運転休止.
 テレビを見る.
 不気味なチャイムとともに,緊急地震速報がかなり頻繁に報道される.
 「これは,練習ではなく,本物だ!」
何とも奇妙な気分になる.
 これは悪夢だ!
 一生の間に,何回かの破局に遭遇するのは運命かもしれない.今回の地震は第二次世界大戦後の最大の破局かも知れない.明日からの日本がどのような進路を辿るのか気が気ではない.
 こんな時だからこそ,気持ちをシャンとさせないといけないなと強く思う.
                                     (ぼやき終わり)

 



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