中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ルートバーン(11):クイーンズタウンとリマーカブルズトレッキング(5)

2011年03月25日 09時19分10秒 | ニュージーランド;ルートバーン

                         <ボブズヒルのゴンドラ>

   ルートバーン(11):クイーンズタウンとリマーカブルズトレッキング(5)
             (湘南カラビナ隊)
        2005年1月28日(金)~2月5日(日)

第3日目:2005年1月30日(日)
 (つづき)

10 マオリショー

<スカイラインでボブズヒルへ>

■専用車でスカイライン駅へ
 アロータウンの観光を終えた私たちは,一旦,宿泊ホテルのノボテルホテルに戻った.ホテルで一呼吸入れてから,私たちはスカイラインゴンドラに乗って,ボブスヒル(Bob’s Hill)に登り,スカイラインコンプレックス(Skyline Complex)の中のスカイラインゴンドラレストラン(Skyline Gondola Restaurant)で夕食を摂ることになっている(注1).
 17時50分,集合時間10分前に同室のフクロウとロビーへ行く.まだ誰も来ていない.しかし,定刻直前には全員が現れる.われわれ以外の方々も,大分,時間を厳守するようになってきたようである.
  18時05分,出迎えの専用車に乗る.私達が乗り終えると,専用車はすぐに発車する.専用車の運転手は,昨日,空港からこのホテルまで私たちを送ってくれた人である.専用車の中で,Sさんが,最新の天気予報を案内する.
 「明日は午後から雨,明後日以降も雨という予報です.ただ,クイーンズタウンの予報ですから,ここから少し離れたルートバーン地方の天気は違うかもしれません.クイーンズタウンの予想気温は摂氏27度だそうです」
 専用車はダウンタウン北側の坂道を登っていく.そして,19時01分,スカイライン(Skyline)駅に到着する.
 この駅の隣には「キウイと鳥の生活公園(Kiwi & Bird Life Park)」がある(注2).ここにも入ってみたいが,残念ながら時間がない.
 スカイラインの駅は総ガラス張りの明るい建物である.
 

■ゴンドラに乗る
 Sさんが全員の切符を買い求め,全員に配る.長細い券である.表面にルージュの写真が載っている.
 2年前にクイーンズタウンを訪れたときには,年甲斐もなく,このリュージュに乗ってみた.あまりスピードは出ないが,高いところから,くねくねと急カーブを曲がりながら降りてくるのは,実に爽快であった.
 19時07分,1台のゴンドラに2人ずつ向かい合って4人乗り込む.乗り込むと,扉が自動的に閉まる.想像以上に急坂に沿ってゴンドラは登っていく.真下を覗き込むと,所々に高さ数メートルの岩場が重なるように連なっている.その間のわずかな草場で羊が何匹も居て,一心不乱に草を食べている.
 ゴンドラが登るに連れて,見る見るうちに見晴しが良くなる.眼下にクイーンズタウンが怖いように見下ろせる.今朝,散策したクイーンズタウンパークが,ワカティブ湖に突き出ているのも鳥瞰図のように見える.
 ワカティブ湖の向こうには,リマーカブルズのダブルコーンが聳えているのが見える.町中から見たよりも,さらに立体的で,雄大に見える.
 すぐ右手にバンジージャンプのジャンプ台が見える.こんな高いジャンプ台は,見ただけで身の毛がよだつ.こんなところから飛び出すのは,いくらお金を積まれても真っ平ご免である.
  19時13分,スカイラインの上の駅に到着する(海抜840メートル).


■眺望を楽しむ
 駅の外へ出る.だいぶ寒い.小雨が降っている.たくさんの観光客が楽しんでいる.
 Sさんによると,食事の前に,マオリショーを観るそうである.ショーが始まるまで,少し時間がある.Sさんから,19時30分に,またこの場所に戻るように,それまで自由行動と言われる.
 私たちは,階段を登り,土産店とレストランの間を抜ける.そして,19時15分に,テラスつまり展望台に出る.テラスでは10数名の観光客が思い思いに眺望を楽しんでいる.
 ここからの眺望は,正に鳥になったような気分になるほど素晴らしい.左手から右手奥の方までワカティブ湖が陽光に光って,クネクネと続いている.リマーカブルズの右手に,逆光の中で,幾重にも鋭い山脈が連なって見える.何時までも眺めていたい素晴らしい光景である.


<マオリダンスショー>

■代表者選び
  19時23分,お土産屋を通り抜けて,元のロビーへ戻る.そこには私たちだけでなく,沢山の観光客がたむろしている.Sさんが説明書のようなものを1枚ずつ私たちに配る.もちろん,日本語で書いてある.どうせ何かの広告だろう.読むのが面倒なので,そのままポケットに仕舞い込む.
 左手にショー会場への入口がある.入口の上に「KIWI HAKA」と書いたネオンが光っている.その入口の前に,民族衣装をまとったマオリ(Maori)の男女が数名立っている(注3).そして,何やらすごく訛った英語でしゃべっている.何を言っているのか皆目分からない.
 Sさんが,通訳する.
 「どなたか,男の方,観客の代表になって下さい」
と私たちを見回す.
 われわれ以外にも沢山の観光客が居るのに,何で私たちのグループから代表を出さなければいけないのだろうか.こんなとき,私はすごすごと,だらしなく消え去る意気地なしである.さりげなく集団の後ろの方に逃げてしまう.
 結局,上背があって目立つ消防署員が選ばれてしまう.何しろ,彼は鎌倉の何処かの神社の鳥居に頭をぶつけたことがあるほど背が高い.これまで,延べ何百人の方々を鎌倉に案内したが,鳥居に頭をぶつけた人は,この消防署員だけである.


■情感豊かなマオリダンス
 19時34分,劇場に案内される.劇場の入口で,スカイラインの乗車券を提示する.この乗車券が入場券になっている.ここは,少々小振りだが立派な劇場である.中央の通路を挟んで,両側に6~7名ずつ座れる席が,20列ばかりある.傾斜がついていて,舞台を見下ろすことができる.出演中は写真を撮らないでくださいという注意書きが掲示されている.
 舞台の左右には,仁王様をグロテスクに表現した高さ5メートルほどの大きな像が飾られている.両方の像は民族衣装を着ている.どうやら左側の像は男性らしい.がに股に開いた足の付け根に,大きく勃起した代物が客席に向かって突き出ている.
 やがて,場内が暗くなり,マオリ特有の歌が場内に流れる.男子3人,女子4人が舞台に現れる.民族衣装をまとっている.男は上半身はだかで腰蓑姿,女は白い波模様が入った青いベストと腰蓑姿である.男は棍棒を持っている.大きな歌声を発しながら,激しいダンスが始まる.
 「ハー トコト トテ ブーブー
  スキー,バー,ピロロヤ チャポーンン
   キンニヤ,プポチャト,トテブー
    ブーブ ブー ホカ,カイ・・・」(注4)
 やたらに撥音が多い言葉で,リズミカルに歌う.そして,男全員が前に出て,
 「ター」とか,「ドアー」というかけ声と一緒に,目をむきだしながら,客席に向かって棒を突き出す.何とも言えない不気味さがある.
 こんなことを何回も繰り返す.私は,
 「へんな踊りだなあ・・・」
と思いながら,あきれて観ている.
 その内に,1人の男が,観客の代表である消防署員の所に来て,小さな棒を渡す.そして,
 「貴方の名前をお聞かせ下さい」
と英語で質問する.
 消防署員は,直立不動の姿勢になり,
 「私の名前は消防署員です・・・」
とやたらに真面目に,英語で答える.
 ここから,踊りの様子が一変する.女性が前,男性が後ろに並んで,にぎやかな踊りを繰り返す.後列左にはシュワルツネッカーに良く似た端正な男が汗ビッショリになりながら踊っている.その後ろには,私たちの仲間の俗称“スブタ川田”氏に良く似た男がギターを持って力奏している.
 20時07分,漸くショーが終わる.

■マオリダンスの意味
 劇場の出口では,先ほどのシュワルツネッカーなど数名のダンサーが私たちを見送る.観客は代わるがわる,彼らと一緒に写真を撮っている.私は,さきほどSさんから貰った紙を取り出し,改めて読んでみる.そこには踊りの解説が丁寧に書かれている. KIWI HAKAの意味や,踊りの流れが解説されている.
 この踊りは,歓迎の儀式,挑戦の踊り,戦いか友好かの確認,ゲスト代表(つまり今回は消防署員)が投げ矢を拾えば友好,歓迎のマオリ唄によって構成されていたことが分かる.
 まず,最初に観客に向かって,白い目をむき,棒を突き出す不気味な踊りは「挑戦」を意味していた.そして,消防署員が小さな棒きれを貰う.この棒きれは「投げ矢」を意味している.この投げ矢を,観客代表の消防署員が受け取った.「受け取った」は「拾う」を意味している.
 投げ矢を拾えば,拾った側が「戦争」よりも「友好」を望んでいることになる.消防署員が投げ矢を拾ったのだから,マオリと観客の間に友好関係が成り立つことになる.したがって,マオリは「友好」のための「歓迎」の踊りを踊って「幕」ということであった.
 当初から,このストーリーを知っていたら,もっと楽しく観劇できたのに残念だった.

<眺望を楽しみながら夕食>

■素晴らしい眺望の席
 20時12分,観劇を終えたわたしたちは,Sさんの先導で,劇場近くのスカイラインゴンドラレストランに入る.私たちの席はワカティブ湖を一望できる窓側にリザーブされていた.
 窓から直角に長いテーブルが置かれている.そのテーブルに向かい合ってお見合いのように6人ずつ12人が座る.
 「では,長幼の序に従って・・」
とか何とか言って,私は一番窓に近い見晴らしの良い席に陣取る.そして窓際から順に私たちのメンバーが座る.そして,一番端の角に私たちを一望するように(つまり課長席のようなところに),Sさんが座る.
 大きなレストランである.窓際には客席がズラリと並んでいる.200人ぐらいは座れるだろうか.客席の奥には,各種サラダ,肉料理,野菜料理,パン,果物,ご飯にみそ汁,コーヒー,紅茶などの食材がズラリと並べてある.
 辺りを見回すと,結構日本人が多い.大半が私たちと同じようなツアー客らしい.席に落ち着いて,外を眺める. 20時を過ぎているとはいえ,外は真昼のように明るい.
(※写真10-2を挿入)
 足下にはクイーンズタウンの街が鳥瞰図のように見下ろせる.湖と緑に囲まれたお伽の国のような素晴らしさである.ワカティブ湖はエメラルド色に輝いている.そのワカティブ湖の向こうには,先ほど訪れたリマーカブルズが聳えている.俗に「絵のように美しい」とは,このような光景のことなのだろうか.


■バイキング料理
 まずは,乾杯である.私は下戸ながら地ビールを注文する.厚手のガラスコップに注いだ生ビールが運ばれてくる.1杯5ドルである.私にはちょっと量が多すぎるが,やむを得ない.
 近くに座っている仁王様はワインをご所望になる.皆で乾杯.その後,すぐに仁王様はワインを追加される.仁王様はなかなかの健啖家である.
 少し離れたところでノシイカさんが盛んに奇声を上げている.今夜のディナーはバイキング方式である.食べ過ぎないように注意しながら,好みの料理を席まで運んでくる.私は,まず,小皿に青リンゴとパンを持ってくる.続いてメインディッシュにムール貝2個,ハム1枚,焼き肉少々,トマト2切れ,青菜和え少々,サラミソーセージ1片を選ぶ.
 これだけで,かなりハイカロリーになりそうである.それに珍妙ながらオートミールにみそ汁を掛けて持参する.
 美味しい.これだけ食べても,まだ空腹感が残る.もう食べるのをよした方がいいとは思いながら,
 「明日,少しダイエットすればいいさ・・・」
と無理矢理理屈を付けて,中ぐらいのお皿(お茶碗はない)に,大きな電気釜から,ご飯を少々取り分ける.そして,ご飯の上に福神漬けと梅干しを乗せる.
 それを見ていた見知らぬ日本人の男性が,ニッコリと笑ながら,
 「やっぱり,われわれ日本人には,ご飯とみそ汁ですよね」
と嬉しそうに私に話しかける.
 「本当に.ご飯があると安心しますよね」
と,私は半分本心,半分お愛想の返事をする.
 私たちの席のすぐ後ろで,中年の男性シンガーが自分でギターを伴奏しながら,頻りに歌を歌っている.だが全く知らない曲ばかりである.カウントリー風で,情感のある調べの曲が多い.
 私たちを含めて,殆どの客がこの生伴奏に興味を示していない.私はこのシンガーが少々気の毒に思えてきた.それでも,1曲だけ遠くの席から,まばらな拍手を受けていた.私たちは話しに夢中になっていて,ほとんど彼の唄を聞いていなかった.むしろ,伴奏が会話を妨げるのでうるさいとすら感じていた.
 いつの間にか,シンガーは退席して,居なくなっていた.
 最後にコーヒーを味わう.香りが殆どなく美味しくない.そういえば,ニュージーランドに来てから,一度も美味しいコーヒーを味わっていないような気がする.
 

■食事を終えて
 21時26分,レストランを後にする.そして,スカイラインの乗車口へ行く.係員が居ない.このままリフトに乗って良いのかどうか分からなくて戸惑う.Sさんが,
 「構いません,どんどん乗ってください・・・」
と私たちを促す.
  21時29分,消防隊長,消防団員,フクロウ,それに私の4人が,偶然,同じリフトに乗り合わせる.そして,21時38分,スカイラインの下の駅に到着する.
 21時を過ぎると,さすがに辺りはうす暗くなっている.うす暗い広場に,専用車が待機している.
 21時36分,すぐに専用車に乗車する.すぐに専用車は発車.21時42分,ノボテルホテルに着く.
 すぐに部屋に入る.今夜もフクロウと同室である.ただちにパッキング,歯磨き,トイレを終える.
  22時10分頃,眠くなる.すぐに就寝.長い,長い1日が終わった.明日から,いよいよルートバーントレッキングが始まる.
                              (つづく)
(注)
1.http://www.skyline.co.nz
2.http://www.kiwibird.co.nz
3.マオリは,イギリス人が入植する前からニュージーランドに住んでいた先住民である.形質的,文化的にミクロネシア,ポリネシア系に属する人種である(フリー百科事典『ウィキペティア(Wikipedia)』http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AA%E3%83%AA
4.歌の雰囲気を表現しただけで,正確な発音ではない.

「ミルフォード」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c4ea788bf26c652a66f78f61c94e16c2
「ミルフォード」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0083b2a181e893953cfccc9e6f60cd55 


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[編集後記]

2011年3月24日(木)
 曇

 東日本大震災後13日目.もう3月も下旬である.
 相変わらず,福島原発は不安定.ホウレンソウの他にも何種類かの野菜や牛乳,さらには水からも,何とかシーベルトとかの放射能が検出されたという.
 用事を兼ねて,午後から大船まで徒歩で往復.6キロメートル.歩かないよりはましかな.
 早く,世相が安定しないかなと願っている.
 今,18時15分.間もなく停電.
                          (ぐちおわり)

 



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