<ワイナリーで利き酒>
ルートバーン(10):クイーンズタウンとリマーカブルズトレッキング(4)
(湘南カラビナ隊)
2005年1月28日(金)~2月5日(日)
第3日目:2005年1月30日(日) (つづき)
9.下戸の利き酒
<ギブソンワイナリー>
■ギブソンワイナリーに到着
15時01分,リマーカブルズトレッキングを終えた私たちを乗せた専用車は,次の観光地ギブソンワイナリー(Gibbson Cellar)へ向けて出発する.
専用車は砂埃の道をひたすら下る.途中で乗用車とすれ違う.砂塵が舞い上がる.そういえば,飛行場を過ぎてから,これまで全く車とすれ違わなかった.道路を良く見ると,ガードレールも側溝もない.ガードレールのないくねくね道を専用車が下る.とても怖い.ガタガタと揺れる.でも,その内に怖さにも馴れて眠くなる.
15時28分,舗装道路に出る.途端にガタガタがなくなる.専用車が静かに走り出すと,あっけないような,物足りないような感じがするから不思議である.
15時35分,カラナウ川を渡る.ここは,昔,砂金が取れたところである.今はラフティングのメッカだという.車は北西に向かっている.
15時05分,車窓左に橋が見える.この橋の高さは43メートルもあるという.ここがバンジージャンプの発祥地だそうである. 15時48分,ギブソンワイナリーに到着する(注1).
赤い切妻屋根を縦につなげた形の可愛い小屋が見える.左側の屋根の奥には白い4角の煙突が立っていてオシャレである.ここがギブソンワイナリーである.道路から駐車場に入ると,その奥にワインの展示場がある.
そして右手には,さまざまな種類のブドウを植えたブドウ畑が広がっている.裏手には新緑に燃える丘が連なっている.何とものどかな雰囲気が漂っている.
<ワイナリーに到着>
■美味しいワイン
建物の中に入る.私たち以外にも数名の観光客がくつろいでいる.私たちは,入口近くの背が高く小さな丸テーブルを囲んで座る.
デビッドさんとSさんが,小さなお盆を次々に運んでくる.このお盆にはワイングラスが4角形に4個並べてある.奥の2個には白ワイン,手前の2個には赤ワインが注いである.)
Sさんが,
「奥左の白ワインから,時計回りに順番に,試飲してみてください」
と言う.
Sさんは,実に色々なことを,そつなくこなすなと感心する.皆,Sさんが言う順番で思い思いに試飲する.私も,まず,奥左側の白ワインを口に含んでみる.リースリング(RIESLING)という銘柄のワインである.甘くて,実に美味しい.次いで奥右のピントグリング(PINGTGRING)を舐めてみる.これも甘いが少し酸味が強いようである.手前右の赤がブランデピノト(BLANC DE PINOT)である.ちょっと変わった味に感じる.最後の赤がピノットノイア(PINOT NOIR)である.何だか焦げ臭い感じがする.
下戸の私の好みは,リースリングが1番.次いで試飲した順に,だんだんと私の好みに合わなくなっていく.とはいえ,あくまで比較の問題で,どれもこれも美味しいワインに相違ないだろう.試飲のワインを全部飲むと,グラス4杯になる.いくら小さなグラスとはいえ,全部飲むと,私には,量が多すぎて悪酔いするかもしれない.そこで,1番美味しく感じたリースリングのグラスだけを飲み干したが,他の3杯は殆ど手を付けなかった.
それを見ていた同行者が,
「山欠菌さん(FHのこと)は,山歩きがあんなに強いのに,お酒はからっきしダメですね」
と私を茶化す.
私は下戸なのが悔しいが,こればかりは生まれつきなので,どうにもならない.
試飲が終わってから,ワインの価格表を見る.すると,私が1番美味しいと思っていたワインが1番安く,時計回りに高くなっていることが分かった.つまり安いワインから高いワインへと試飲する仕掛けになっていたのだ.
それが下戸の私には,全く反対の順番で美味しくなっていることが分かる.
心の中で,
「俺には,酒の味が分からない.ダメだな」と
実感する.
<4種類のワイン>
<ワイナリーの売店>
■ブドウ畑が広がる谷間
仁王様が何本ものワインを購入する.重いのに大変だなと勝手に同情する.
しばらくして,庭に出る.
庭の続きにワイン畑が広がる.ここには沢山の品種のワインが植えられている.私は1番美味しいと思った品種の写真を撮る.ほろ酔いの頬に,柔らかな風が吹いてくる.とても心地よい.
16時22分,専用車に乗車,すぐに発車する.ブドウ畑が散在する広い谷間に沿って専用車は,ゆっくりと坂道を下っていく.すぐに左手にシャーウッドファームが見えてくる.ここは小さなワイナリーだが,ニュージーランドでは,とても有名なワイナリーである.でも,規模が小さいので日本へは輸出していない.ただ,ニュージーランドの大手ワイナリーの品物は,日本でも,大手百貨店で入手できるそうである.しかし,とても高価だという.
下戸の私は,どうせ買わない.だから,高い安いは,どうでも良いことだが.
<ブドウ畑>
■鹿の牧場
16時27分,車窓から鹿の牧場が見える.鹿肉は,この所,ユージーランドで流行し始めた食品である.デビッドによれば,北欧では,以前から鹿肉が食用に供されていたという.普通はステーキにして食べるが,味に癖がなくて,美味しいそうである.
鹿肉は健康食品としても注目されているという.ただ残念ながら,他の肉にくらべて,ちょっと高価である.なお,鹿の角は漢方薬として使われているという.
16時10分,ゴルフ場の中を通り抜ける.そろそろ,次の観光地,アロータウンが近い.この街は,140年ほど前に,アロー川で砂金が発見されてから,急速に発展し,一時は人口7000人にも膨れあがったという.
16時31分,大規模な建て売りの宅地造成地を通過する.1区画の平均価格は3,500百万円位だという.
<アロータウンを散策>
■アロータウン到着
私たちは,16時36分,静かな雰囲気を残すアロータウンに到着する.
小さな街である.緑の真ん中にポッコリと小さな通りがある.これがアロータウンの中心街,バッキンガム街(Backingham Street)である.
街の長さは500メートル程だろうか.道幅は15メートル位.その両側に幅3メートル程の歩道がついている.両側には木造の1階建ての商店や博物館が並んでいる.
道路の方角は良く分からないが,私たちの専用車は,この道路の1番東側に停車する.デビッドが,
「この道を真っ直ぐ終わりまで歩いてください.専用車は道路の反対側の端(つまり西側)で待っています.」
と言う.
<静かな街・アロータウン>
■アロータウンの目抜き通り
皆が,長い時間,途中で道草を食っていては困ると思ったのか,Sさんが,17時までには散歩を終えるように,私たちに念を押す.
いつの間にか,曇り空になっている.道路の先,右側にこんもりとした小山が見えている.何とも良い雰囲気の街である.街を通る人影はまばらである.道路の両側には,ガス灯に模した街灯が並んでいる.電線が見えないので,地下の配線になっているのだろう.進行方向右側に入母屋作りの屋根がすてきな湖水地区博物館(Lake District Museum)が建っている.入ってみたいという衝動に駆られるが,時間がないので諦める.少し進むと6角形の赤いポストが建っている.なかなかオシャレである.左手に”The Gold Nugget」と書いた看板を掲げた店が建っている.歩道を被うように屋根が突き出ている.つまりこの建物の前だけは屋根付きの歩道になっている.歩道から扉を押して,この店の中に入ると,テーブルに片手を乗せたカーボーイが,ワインをあおっていそうな雰囲気がある.建物の中に入って確かめた訳ではないが,正に昔の西部劇を思わせる風体の建物である.この店で,金塊でも売っているのだろうか.
目抜き通りのほぼ真ん中辺りから,屋根付きの小径が右側に続いている.釣られるようにして入る.ほんの30メートルほどで,小さな広場に出る.広場の先は,窪地になっている.どうやらアロー川に沿う公園のようである.何というスポーツか知らないが,男の子がU字形の大きなコンクリート壁を,スケボーを履いて,登ったり降りたりしている.目まぐるしい動きを繰り返している.
<アロータウンの繁華街>
■ホキーポーキーアイスクリーム
再び目抜き道路の方に戻る.ふと気がつくと,目抜き道路に出る手前にアイスクリーム屋がある.私は衝動的にアイスクリームが食べたくなる.店を覗くと,5~6種類のアイスクリームが置いてある.店には誰も居ない.
「ご免下さい.お願いします」
と下手な英語で大きな声を出す.
すると,店の奥から,小太りの中年おばさんが,上体を揺らしながら,お店へ出てきた.私がどのアイスクリームにしようかと,ちょっとばかり迷っていると,
「ホーキーポーキー(Hooky Pooky)が美味しいよ」
と勧める.ホーキーポーキーなんて聞いたことがないので,一瞬戸惑うが,同時に好奇心も涌く.私は,
「じゃぁ,そのホーキー何とかを下さい」
と下手な英語で注文する.
1個2ドルである.つまり日本円で150円ほど.コーンの上にスプーン2杯分の山盛りアイスクリームである.私に釣られたのか,同行の大多数の連中も,思い思いにアイスクリームを買っている.
ホーキー何とかというアイスクリームはとても美味しい.アイスクリームの中に,コリコリした堅い粒が入っている.この粒が心地よい歯ごたえがする.かみ砕くと甘い.私のアイスクリームを見たSさんが,
「それ,ホーキーポーキーでしょう.ニュージーランド独特のアイスクリームですよ.中に入っている粒々は蜂蜜ですよ」
と教えてくれる.
<アーケードの右側の店でホーキーポーキーを購入する> <これがホーキーポーキー>
<ホテルへ>
■細々とした指示
アイスクリームを舐めながら,しばらく歩くと,すぐに中心街の終点に到着する.予定より早く,16時45分に集合場所に着いてしまう.
16時58分,デビッドさんが集合場所に専用車を回送してくる.私たちはすぐに乗車する.すぐに専用車は発車する.専用車が走り出すと,Sさんが,マイクを使って,今夜と明日のスケジュールを説明する.
「今夜は,ゴンドラに乗って,山頂のレストランで夕食です.明日は,少し早くホテルを出発します.専用車で2時間ほど移動してテアナウ(Te Anau)へ行きます.明日は3時間ほどトレッキングします」
「明日のモーニングコールは5時30分,朝食は6時からです.トレッキングに必要のない荷物はホテルに預けます.6時までに預ける荷物を廊下に出してください.出発は6時30分です.出発する前に,部屋の鍵はフロントへ返して下さい.パスポートはトレッキングに必要がないので,全員の分をひとまとめにして,ホテルのセーフティボックスに預けておきます」
と実に細々とした指示を出す.
<アロータウン中心街のすぐ裏側は綺麗な公園になっている>
■デビットさんとのお別れ
17時07分,専用車はクイーンズタウン郊外に到着する.左手に中学校,高等学校の校舎が見える.次いで右手に小学校が見えてくる.間もなくダウンタウンに入る.そして,17時21分,ノボテルホテルに到着する.
ここで,今日1日お世話になったデビットさんとはお別れである.一同手を振って別れを惜しむ.
デビットさんは穏やかなインテリであった.彼と話をしていると,何となくほのぼのとしてくる.たった1日だけのおつき合いだったが,お別れとなると,何だか寂しくなる.
17時26分,ホテルのロビーで,Sさんが全員のパスポートを集める.
「外国へ出たら,自分の命の次ぎに大事なのがパスポートです.ホテルのセーフティボックスに預けておきます.他に大切なものがありましたら,各自,ご自分でセーフティボックスに預けて下さい.パスポート以外の貴重品までは,添乗員は責任を負えません」
とハッキリ言う.
■とりあえず自分の部屋へ
17時35分,部屋に戻る.まずはパッキング.
明日からのトレッキングに持っていくものと,ホテルに預けるものを仕分ける.もともと,私は余計なものは持ってきていないので,あまり置いていくものはない.私がまごまごしている内に,フクロウが先にシャワーを浴びている.その後,私はバスタブにタップリとお湯を入れて,ゆっくりと入浴する.その序でに,下着の洗濯を済ませる.
18時30分,パッキングが終わる.
今夜は,外のレストランで夕食である.
(つづく)
(注)
1.詳しくは次のURLを参照.
http://www.gibbstonvalleynz.com/
2.この博物館の建物は,1875年にニュージーランド銀行によって建てられたものだという.掘り出した金の保管所として使用されていたらしい(小宮,2004,p.388).
参考文献
小宮美佐恵(制作),2004,『05’~06’地球の歩き方』ダイヤモンドピック,ISDN4・478・03345・5
「ルートバーン」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/13af6dc6a5d87234cb2c8897bcbf5e1f
「ルートバーン」の次回の記事(
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b3cc1c1ff96d45c1a1ab7bbc226dbc16
*******************************
[編集後記]
2011年3月23日(水) 終日細かい雨
気がつけば,もう3月も下旬である.例年ならば,毎日小躍りしながら山野を歩き回っている絶好のシーズンが足早に過ぎ去ろうとしている.
3月12日に発生した東北地方太平洋沖地震から12日も経過している.
被災地の皆さんには申し訳ないが,これといって才能のないロートルじじいができることは,少々余計に着物を着て,暖房を使わないで節電することぐらいである.何も取り得も特技もない自分が情けなくなる.
それにしても今回の地震の影響は大きい.元の状態に戻るには随分と長い日時が必要だろう.その間は縮退運転の人生を送らなければならないなと覚悟する.とはいえ,縮退運転人生もきっと良い面があるに違いない.そんな良い面だけを見ながらスローライフを積極的に堪能しようかとも思い始めている.
午前中はヤボ用をこなしている内に,瞬く間に過ぎ去る.
午後から,3~4時間歩き回ろうかと思う.家を出たら,間もなく雨が降り始める.大した雨ではないが,それでも傘をささないと衣服が濡れてしまう.仕方なく,コースを変更して,深沢にある某喫茶店に入り込む.400円也のコーヒーを賞味しながら,お店備え付けの週刊誌を見ながら小一時間過ごして帰宅する.
帰宅途中,鎌倉中央公園に立ち寄る.大きなコブシの木が白い花を沢山咲かせている.コブシを見上げていると気分が晴れ晴れとしてくる.こんな天気なので,園内は閑散としている.
傘をささずに,“春雨だ濡れていこう”と洒落込んだ.この雨,放射能を含んでいるかもしれない.多分,私は放射能人間になっただろう.でも,まあ,いいか・・・どうせ,この先,何十年も生きるわけでもないし,これから種なしスイカになっても,どうということはない.とっくにお役御免だからな・・その代わりに,もし怪獣が襲ってきたら,放射能ぶっかけるぞ・・・と,力んで自分を慰める.
帰宅して,描きかけの絵に手を入れ始める.
今日は意外に絵に執心できそうである.一気に塗り絵を進める.その結果,何となく絵の輪郭ができはじめた.私は色が濁らないように細心の注意を払いながら描き続ける.
また何時ものように,今日一日オレは一体何をしていたのだろうかと反省する.
(ぼやきおわる)
最新の画像[もっと見る]
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前