クルアーンというのは、アッラーのお言葉であり、アッラーの本です。
アッラーが何を人間に望んでいるか、人間が何をすればよく、何を禁じればいいか、アッラーの性質、アッラーのお名前、こういったことを詳しく人々に教えるために、アッラーがお選びになられた預言者ムハンマドさま(彼に平安と祝福がありますように)にクルアーンを啓示し、それによって最後の審判まで、すべての人類が迷うことのないよう、懇切丁寧に詳しく、この人生を最も賢く幸せに生きる方法を教えてくださいました。
人間をお創りになられたアッラーのお言葉、啓示というのは、他のどんな人の書いた言葉や書籍とも異なります。
そのため、クルアーンには、いくつかのクルアーンの奇跡(イアジャーズ)があります。
そのクルアーンの奇跡のひとつに、クルアーンが、人々の心に訴えかける影響が絶大である、ということがあります。
アッラーは、クルアーンの中で言われています。
【アッラーは、この上ない素晴らしい言葉を、互いに似た(語句をもって)繰り返し啓典で啓示なされた。
主を畏れる者は、それによって、肌がおののき震える。そのときアッラーを讃え、唱念すれば、肌も心も和らぐ。
これがアッラーのお導きである。かれは御心(みこころ)に叶う(かな )者を導かれる。】39章 集団章23 節 日訳P570
この影響は、アラビア語のわからない外国人にも、顕著に現れ、多くのヨーロッパ人やアメリカ人などアラビア語のまったくわからない人たちが、クルアーンの読誦を聞いて、感銘を受け、入信されているという事実を見ても明らかです。
また、私の知り合いの日本人の人たちの中にも、アラビア語の意味がまったく理解できなくても、ただ、クルアーンを読誦しているだけで、本当に心安らぎ、人生が変わるほどの影響をクルアーンから受けている方がたくさんいらっしゃいます。
ある方は、クルアーンの読誦を毎朝することで、生活が180度変わった、と言われていました。
クルアーンの読誦によって始まる一日というのは、今までの一日とは全く違う、と仰っていました。
これは、本当に不思議なクルアーンの奇跡です。
世界中どこをさがしても、意味もわからず、ただ読んでいるだけで、どんどん楽しく、心安らかになるような本が、クルアーン以外にあるでしょうか?
本当に不思議ですが、クルアーンには、アッラーのお導き、祝福、治癒、アッラーの光が、その中にぎっしり詰まっているので、ただただ読んでいるだけでも、心が洗われて、人生の問題が解決したり、悩み事がきれいさっぱりなくなったり、心がとても軽くなるのを感じる方がたくさんいらっしゃいます。
こんな本は、本当に他にはありません。
また、普通の本は、一度読み終わってしまったら、もう一度最初から読もうとはあまり思いません。
愛読書というような、特別な愛着のある本でも、何度も読んでいたら、飽きてきてしまいます。
しかしクルアーンは、世界中の多くの人たちが、600ページ以上あるものをすべて暗記するほど何度も何度も読まれていますが、まったく飽きる、ということがありません。
何度読んでも、その時々に、自分に必要なことをアッラーが、私たちに読ませてくださるので、まるで初めて読むかのように感じたり、今まで読んでいたのに気が付かなかったことを、それを必要としている、ちょうどいいタイミングで理解させてくださり、気付かせてもらえます。
まるでアッラーが、その人その人にあった、一人ひとりに必要なところを、お選びになって読ませてくださり、それによって、アッラーが、私たちに直接話しかけてくださっているようです。
これは、本当にクルアーンの奇跡です。この奇跡は、アッラーのお言葉だからこそ、起こりうることです。
アラビア語のわからない外国人でさえ、読むだけで、聞くだけで、こういった多大な影響力のあるクルアーンですから、このクルアーンが啓示された当時、アラビア語の理解できる、これを聞いたアラブ人たちは、自分の心に与える大影響に、びっくり仰天したわけです。当時の人たちは、あまりに驚き、、この不思議な力を、アッラーからの力と認めたくない人たちは、「魔法」と呼んでいました。
ウマルさま(彼にアッラーのご満足あれ)の入信したきっかけが、ただこのクルアーンの読誦を聞いたことだった話は有名です。
当時、ウマルさま(彼にアッラーのご満足あれ)は、啓示をし始めた、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)を殺そうと、刀を持って探し回っていました。
正義感の強い方だったので、ムハンマドという男が、何やら啓示が降りたと嘘を言っているらしい、という噂を聞いて、そんな奴は、けしからん、と彼を殺すために探していたんですね。
その道の途中で、ある人に、「そんなことをしている前に、ご自分の妹を何とかしたらどうですか?」と言われ、「どういうことだ?」と尋ねると、自分の妹が、自分に隠れてイスラームに入信していると聞かされました。
そこで、怒りに震えたウマルさま(彼にアッラーのご満足あれ)は、きびすを返して、妹のいる家に向いました。
そこで、妹夫婦が読んでいたクルアーンの一部、ターハ章を聞いたのでした。
【ターハー。われがあなたにクルアーンを下したのは、あなたを悩ますためではない。
主を畏れる者への訓戒に他ならない。
大地と高い諸天とをお創りになるかれから、下された啓示である。
慈悲深き御方は、玉座に鎮座なされる。天にあり地にあるもの、そしてその間にあるすべてのもの、また湿った土の下にあるものは、すべて彼のものである。
たとえあなた方が大声で話しても、かれは秘められた事も隠された事も知っておられる。
アッラー、かれの他に神はないのである。最も美しい御名はかれに属する。】 20章 ター ハー章 1-8節 日訳P380
このクルアーンの美しさに感銘したウマルさま(彼にアッラーのご満足あれ)は、さっきまで殺そうと探し回っていた預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)のところに行き、即入信されました。
このクルアーンの奇跡を、アラビア語の理解できる当時のアラブ人たちは、十分にわかっていたので、何とかして、人々にクルアーンを聞かせないよう、必死に策略を練っていました。クルアーンにその記述があります。
【信じない者は言う。
「クルアーンに耳を傾けてはなりません。
そしてその読誦中に、しゃべりまくりなさい。
そうすればあなた方は圧倒できます。」】 41章 フッスィラ章 26節 日訳P592
当時多神教徒達は、マッカに巡礼に来ていたので、その道の途中で待ち伏せて、「ムハンマドという男の話は聞かないように。奴は、魔法を使うので、絶対にやつの言葉は聞かないように。」と、国外から巡礼に来る人々に伝え回っていました。
あるサハーバは、それを聞いて、マッカに入り、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)を見ると、耳栓をして、巡礼をしていました。
何度もそれを繰り返していましたが、あるとき、ふと、「自分は考える知能を持った成人の男なのだから、耳栓をして怖がって聞かないのはばかげている、聞いて、自分で判断すればいいではないか。」という考えが浮かび、耳栓を取って、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)の読んでいるクルアーンの読誦を聞きました。
すると、すぐにその言葉が、人間の言葉ではないこと、神からの本当に正しい言葉であることを悟り、入信されました。