彼女さんの頭上には立派な枝振りの木々と、河川を監視する施設に伸びる一本の電線と電柱があります。
この電線や電柱はほとんどカラスさんの、そして時々スズメさん達の指定席になっています
そして、この川辺に御来光がさす頃…いつもただじっとお天道様を見つめているのは彼女さんとカラスさんだけでした
この辺りをテリトリーにしているカラスさんは一組のバカップルなラブラブペアーと、その他にもうお一方…
後ろの首筋の毛が白くなってマフラーのように見える、一匹狼然とした風格を持ったカラスさんがいらっしゃいます
夜明けの御来光を正面から浴びる彼女さんは身じろぎ一つしていません
…寝ているのでしょうかね?
マフラーさん「人の子よ、そなた何を見ておるかや?」
今、彼女さんの視界にいる生き物はマフラーさんがいるだけで、その先にはお天道様が眩しく光り輝いているだけです
野生の世界の生き物が他種の生き物を見る理由はおおむね‥獲物として狙っているという事が大半ですので、マフラーさんの問いもまた…
マフラーさん「我を喰らう気かえ……という訳でもなさそうじゃのぉ」
彼女さん「食べないわ!食べないわよー!」
「…ちょっとね、その首筋の白い毛がおしゃれだなー♪って…」
マフラーさん「ほう、我の首筋の毛は(白い)のか?…成る程のぉ、それは知らなかったわえ…そうか、おしゃれが何かは知らぬが、おぬしも他の人の子とは幾らか毛色が違うようじゃのぉ」
カラスさんの目は人間と違い、紫外線域の光も視覚として認識出来るそうです
そのカラスさんの目からして彼女さんがどんな風に違って見えるのか?、面白そうですね
彼女さん「あら、そうなの?」
マフラーさん「うむ」
彼女さん「えー、わたし普通よ」
マフラーさん「そうかえ?まあ、良かろう…」
「我もまた我自身のことには目が暗いゆえのぉ」
彼女さん「……そうね、わたしだって自分のことは、よく分かってないもんね」
「マフラーさん、教えてくれてありがとうね♪」
マフラーさん「殊の外に素直じゃの…またな、人の子よ」
マフラーさんは川を渡り、特等席からお天道様へ…
明けない夜はなく、全ての生命に等しく夜明けの光は降り注いでいますが、素直にお天道様の輝きを体中で頂く人間は殊更に少ないようですね
どうかよい一日を
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