秋の川辺の雑木林
もうすぐ夜が明ける頃
夏の間たくさんの生き物たちが子をつくり、子を育てる為にそこら中に鳥の巣がありました
たくさんの子供たちがたくさん親に甘え、親たちは子供たちにたくさんの餌と注意を与えて、とても賑やかだった夏の雑木林も今はとても静かです
小鳥さんの子供達のほとんどは、すでに巣立ちを果たしています
ついこの間まで元気に飛び回っていた燕尾の短い子ツバメたちも、今ではすっかり見かけないことに彼女さんは思いを馳せていました
夏の間は子育てで忙しく(少し神経質に)している生き物たちに気を使って、鳥さんの巣が多い雑木林へは近付かなかった彼女さんです
ある朝、彼女さんが川辺につくと‥そこには大量のゴミが川岸に散乱していました
タバコの吸いがら
ビールやジュースの空き缶
お菓子やらアイスの袋などが…
彼女さん (´・ω・`)(もう…ほんっとに情けないなー‥)
内心プリプリしながらもバッグからゴミ拾い用のレジ袋を取り出した彼女さんはゴミ拾いをはじめます
そんな彼女さんの傍らにセキレイさんが朝のご挨拶にやってきたようですね
セッキー「あー!なになに?なにとってんの~?ごはん?ごはん?ごはんなのー?」
セキレイさんの愛らしい声では…ありますが彼女さんの近くからこうも大声で、一気にまくし立てられては、さすがの彼女さんも苦笑いになってしまいます
彼女さん「ごはんじゃないよー。うーん、これはどっちかって言うとうんちねー」
セッキー「なんとー!それうんちかー、たいへんだー!バイバーイ!」
彼女さん「あ‥うん、バイバーイ♪」
(…か、彼女さん…うんちって…コホン!)
セキレイさんが今回は珍しく、彼女さんのお話を聞くだけは聞いてくれたようですね
多くの小鳥達が抱卵から孵化そして子育てを巣の中で行います
その間に自分達が出す排泄物などは親鳥が嘴でせっせと外に運び出したりもしています
汚いだの何だのと、そんな甘えた人間のようなことは考えもしませんね(笑)
自分達の排泄物を巣の近くに落として巣の場所を外敵に悟られたりしないように、わざわざ遠く離れた場所までゴミを捨てに行くことも間々あるようです
彼女さんは別に外敵を想定してゴミ拾いをしている訳ではないのですが
セキレイさんがセキレイさんなりに理解を示してくれたことで…
なんだか彼女さんの…心の奥のほうが、ほっこりしたみたいですよ
「アーーー!」
今度はカラスさんがやってきたようです
マフラーさん「これこれ人の子や、何かお宝でもあったかえ?」
彼女さん「(*´σー`)エヘヘ‥お宝どころかゴミ拾ってるのよー」
マフラーさん「ふむ‥人の申すゴミとやらにも、我らにとっては有用なものも多いのじゃがのぉ」
彼女さん「まぁそうなんだけど‥でもね、わたし達がつくるゴミはあなた達には猛毒になっちゃうし、それとこのゴミは土に還るまでオッソロシク時間がかかるのよね‥」
マフラーさん「しかし人が創りしとは言うても、元は土より出でたものであろう?」
彼女さん「ん!確かに…そうね……精製加工されてはいても元は土…大地から…よね」
マフラーさん「ならばいずれは土に還るが道理であろうよ」
彼女さん「‥そうね」
マフラーさん「我等が毒をわざわざ喰らうことはないが…水が汚れるのは我等にも避けようがないわえのぉ‥」
彼女さん「……ごめん」
マフラーさん「これこれ、人の子や、そう曇るな‥そもそもお前様の仕出かした事ではあるまいに」
マフラーさん「お前様は我等を想ってこそ、そうしておるのであろう‥有り難いことよ」
マフラーさん「人の子よ、そなたは笑うておるほうが好ましいわえ」
彼女さん「えへへ‥ありがと、ね」
マフラーさん「では、な」
彼女さん(…今ここでゴミをとれるのはわたしだけだもんね。よし、やるかー!)
やる気が出た彼女さんの動きは…どこかちょっと楽しそうです
ものの10分程で粗方目に付くゴミは拾い集めてしまいました
作業が終わったことを見計らったように、辺りが明るくなっていきます
今朝も平和ですね
どうぞよい一日を
230 拝