≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

網野善彦 『日本社会の歴史』

2011-08-15 10:50:57 | 本 (ネタバレ嫌い)


己のなかに柱が欲しい。

そう思うことがある。
ものを考えるときに拠り所となる考えが、自分に必要だ、と思う。

自分は人間であるまえに生き物だ、という生物学がわたしの中のひとつの柱で、
世界史的に人間は森を潰して発展してきた、という ジョン・パーリン『森と文明』 がもうひとつの柱だ。

でも自分のアイデンティティを考える上で、やっぱり日本史の視点が多分に足りない、
という自覚は長らくあって、
ついに、網野善彦『日本社会の歴史』 を読んだ。


網野善彦氏がどういう方なのかというと、ウィキにはこうあった。
従来の日本単一民族説やら、農耕主流説やら、そういうのを覆したい考えなんだと思う。

歴史の本を読んでいると、
なんというか主役がコロコロ入れ替わってどこに感情移入したらいいのかよく分からない、
登場人物が多くて覚えられない、という感じでついていけないことが多いのだが、
この本はもっと大きな流れで日本社会がどのように変化してきたのか、
という視点で読める。

確かによく考えれば、
あるヒーローがポンと出てきて急に社会を変革できるわけがないのであって、
そのヒーローが出てくる社会の素地が先で、
だから社会にポイントを置いて説明してくれると納得できるわけだ。
そして網野氏の最も得意な中世の話はやっぱりとても面白かった。
そういう連綿とした、しかし大きなうねりの中に我々が生きているのだ、
ということが実感できて、本当に面白く読めた。


日本は島国で鎖国が長くて、という考えはもう捨てなくてはならない。
昔もずっと海の向こうのいろいろなところと密接な交流があった。
それを意識させてくれる、奥能登の海。↑




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2 コメント

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こんにちは (ももんが)
2011-08-22 11:48:29
ちーさんは、基督の教えが柱と言うか基準に有るのだと思っていました。
私の柱は科学です。
善悪は、西洋のような白黒ではなくて、東洋の中庸、イエローが好き。
所謂God、神が居ると思わないけれど、八百万の神は居ると思う。生き物の精神の名残と言うか、思いが残るのが神と言うか。
九十九神みたいなの、好きです。生きていなくても、作った物も作者の精神が残る感じに趣を感じる。

人によって、柱の基準やサイズ、装飾は違えど、支えとなる芯は同じはずですよね。

海外に行くと、やっぱり人間は何処に行ってもおんなじだなあと思います。いい意味、嫌な意味でも。

そう言えば、アイヌの顔と沖縄の人の顔似てると思うのは私だけ?

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ももんがさん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2011-08-23 10:08:33
いやぁ基督はねぇ、卒業したって感じです。
グローバルな話、世界史を知ると
そりゃないだろっ、ってことが多すぎますからね。
自分たちだけ良けりゃいいのかい?って。

科学もねぇ、村上陽一郎先生の授業を受けてからは
一歩退くようになりました。
基督の影響強すぎだし、人間の理想を過信しすぎって感じで。

ももんがさんと同じで、わたしも八百万の神がいいと思います。
多様性を許容できるようになりたいもんです。(偏屈で困ってます。)
宇宙飛行士の若田さんの本に、
「人間を一つの地球だとすると、文化や習慣は、その表層を覆っている大気のようなものに過ぎず、心の奥底にある思いやりとか、優しさといった個性は、文化や習慣とはあまり関係がないと思う。」
とあったのが心に残っています。

アイヌや沖縄のの人の顔が似ている話は有名なようですね。
濃いってんですか?
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