インフル薬の勢力図一変、塩野義「ゾフルーザ」が台頭
インフルエンザが猛威を振るう中、治療薬の勢力図が一変しつつある。昨年3月に発売された塩野義製薬の「ゾフルーザ」が売り上げを急速に伸ばし、中外製薬の「タミフル」や第一三共の「イナビル」などの既存薬はシェアを奪われている。ゾフルーザは服薬が1回で済むなど利便性が高いのが特徴で、早くも発売1年目でトップの地位を確立しつつある 「(医師や患者には)利便性や速やかなウイルス減少効果を、かなり理解して使っていただいている」 塩野義が1月31日に開いた平成30年4~12月期決算のリスト説明会で、花崎浩二上席執行役員はゾフルーザの浸透状況をこう説明した ゾフルーザは既存薬と異なる仕組みを採用した治療薬で、ウイルスが細胞内で増殖するのを抑える働きを持つ。12歳以上は原則1回の服用で済み、1日2回、5日間が必要なタミフルより使いやすい。30年4~12月期の売上高は99億円に達し、通期は130億円を見込む 塩野義は大流行で患者数が想定を超えたため、休日を含め24時間態勢で生産する一方、出荷調整を行うなど対応を強化している 塩野義は現在の錠剤に加えて、粉薬(顆粒=かりゅう)の承認も申請中だ。予防投与の承認取得も目指している さらに昨年11月には提携先のスイスの製薬大手ロシュが米国販売を開始。塩野義には、ロシュの販売量に応じてロイヤルティー収入なども入る見通しだ もっとも、国立感染症研究所は1月24日、ゾフルーザを服用した患者から薬が効きにくい耐性変異ウイルスが初めて検出されたと発表 産経新聞