不来庵書房 裏庭倉庫

不定期更新・内容雑多・未確認情報散在
基本的に、小生の琴線に触れたニュースを集めただけです……
雑記・雑感も少々。

続『響け!ユーフォニアム3』

2024-07-16 | ドラマ
さて、本作について追記。正直なところ、まだ気持ちの整理がついていないままです。

ユーフォ奏者の末端&社会人でもコンクールに奏者として出るという重病人(笑)故に、色々と思うこともありまして。
(指揮で出たことも1回だけ)

原作改変の見事な例ではあるが賛否両論という本作、とりわけ第12話。
3年間北宇治高校で頑張っていた主人公・黄前久美子さんと、吹奏楽の強豪・清良女子(モデルは明らかに精華女子、同校は高校吹奏楽界の極超名門)からこの春転向してきた黒江真由さんの、全国大会におけるソリ(Soli。単奏、ソロと違い他の楽器も重要な役割を果たしている。今回はトランペット(高坂麗奈)とのデュエット)の座をかけたオーディションについて、原作小説では久美子部長・アニメ本作では真由嬢が担当となる、というあらすじです。

原作者・武田綾乃先生も公認の変更ですし、久美子部長たちが1年生当時トランペットソロの座を3年の中世古香織さんと麗奈嬢が争った故事のセルフオマージュ(誰がどう聴いても麗奈嬢の方が上、ただし3年だから香織嬢が吹いても多分文句は出ないし全国にも行けただろう、という程度の差)でもあります。1年のときは再オーディションの後の部員の挙手(アニメ第1作では、香織嬢には当時2年の吉川優子さんだけ、麗奈嬢には久美子嬢だけが挙手)でも決まらず、香織嬢が自ら辞退する形になりました。
今回は部員の投票は全くの同数、最後に麗奈嬢の一票で決まる、という展開。聴いてみても真由嬢の方が技術的に正確なのですが、久美子嬢くらい吹けていればあとは好みの問題と言っても角は立たないと感じます。
・・・作中、このシーンはブラインド・オーディション(海外一流オケでも採用、これにより女性奏者の採用が格段に増えたといういわくがあったり。女性だから落とされる、というジェンダーギャップが実在した傍証ともなった)で行われましたが、毎日合奏やパート練習で音を聴いている2人の部活内オーディションにどこまでブラインドの意味があったのだろう、と、思わなくはないです・・・

作劇上、麗奈嬢が真由嬢を選んだ方がよりドラマとして「正しい」のかもしれませんし(麗奈はん、あんたはんが1年生のとき香織先輩にやったことやろ、と言われても抗弁できないでしょうし、実際その後泣きシーンが・・・・・)、各キャラの設定や性格に沿うのはこちらの方なのは理解はできます。が・・・・・・

ええ、何も創作世界のクライマックス直前でまで現実世界で普通に起きているようなアレコレを見せられなくてもいいじゃないか!と、叫びたくなりました。
(本番直前にキミ、Aさんと交代ね。とか、コンクール当日のチューニング室で「そこの部分、今日は吹かなくていいよ」と言われるとか。ま、自分の腕前のせいなのでそこに文句をつける気はないのですが、悔しい気持ちになるのは仕方なかろうと)

おそらく、この変更に納得できていない人の中には『響け!ユーフォニアム』という作品の解像度が高すぎて痛い、という人も結構いるのかもしれません。高校時代吹奏楽部員だった大人たちで、その後も楽器を吹き続ける人は恐らく数%。サンプル数が少ないことは承知で私の高校時代の先輩後輩を数えると、確実に10%を切ります(私の代限定で言うと2割超え、但し元々の人数が前後の代に比べ極端に少ない(卒部時1桁))。コンクールに血道を上げることなく楽しくゆるく活動していた人たちもいるでしょうが、全国大会出場を真剣に目指していたような吹奏楽部にいた人たちは、『響け!〜』の描写のどこかが心の古傷を抉るのかもしれません。
・・・・・・高校時代、吹奏楽部だったけれどコンクールとは無縁に活動していた愚妻はこの展開を「大変ねぇ」で済ませていました。私の反応がかなり過敏に見えたようです・・・・・・
・・・・・・なお先輩(男性)の場合、先輩の息子さんも吹奏楽部だったのですが、息子さん高校3年生のときの県予選前に「父さん、最後のコンクールに出る気持ちってどうだった?」と訊かれ、言下に「代表になって支部大会、全国大会に出ることしか考えていなかったから最後のコンクールなんて思って出たことはない」と答えたとか。先輩が高校時代の頃の鬼の上級生っぷりを思い出すと共に、県大会突破から10年単位でご無沙汰な母校の凋落(と言ったら失礼かもしれないが)振りに涙したものです・・・・・・

過去作と同じく、多分恐らく近日中に劇場版が制作されるだろうと思いますが、soliについてこの辺どう処理するのかが観物ではあります。

それにつけても、中の人(声優さんはもちろんですが、この場合は各キャラの演奏担当の方たち)の演技がすごいなぁ、と改めて思ったり。

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何を今更な『響け!ユーフォニアム』

2024-07-09 | ドラマ
一週間ほど時期を外していますが、アニメ第3期が終わったので。

『悔しくて死にそう』と悔し涙に暮れていても周囲が誰も理解してくれなかった少女が、仲間たちと共に『嬉しくて死にそう』と歓喜の涙を流すに至るまでの物語。
主人公の親友たる高坂麗奈嬢を中心においてみれば、そういう物語ではないかと。

高大社会人と吹奏楽を続け(社会人時代は結構ブランク多め)、大学&某市民吹奏楽団でユーフォ、高校時代にはユーフォ兼ドラムメジャーやってた身からすると、解像度が高すぎて“痛い“物語でしたから、若干ですが避けていた感はあります。
自分の愛機より年下のメンバーに「『響け!ユーフォニアム』、リアルですよね」と話しかけられた時に、「いや、僕からすると先輩がアノ方とコノ方で、後輩がカレとアレだよ?同輩はアイツとソイツ。察してくれや」と答えてかなりドン引き気味に同情された覚えがあります。
(楽団の長老格が高校時代実際に1つ2つ上の先輩(アノ方&コノ方先輩)だったメンバーや1つ下の後輩だったメンバー(カレとアレ)、元団員だった市内オケで吹いている同輩(アイツとソイツ)、という組み合わせ。ちなみにソイツさん(現役当時はコンミス)以外は男性、先輩と後輩はキャラ濃過ぎ・・・・・・)
なお、私の高校時代ですと入学当時は男子の方が多く、私の学年で男女同数、1つ下の学年から女子優勢に。学年全体でも男女比2:1でしたけれど、多分30代後半以下の年代の吹奏楽部経験者には想像が難しいくらいには男子比率高めでした。さらに遡って中学時代なら男女比1:2でしたっけ。

1期〜3期、及び劇場版各編を通して見て、黄前久美子部長の性格はまあ、ユーフォ吹きにありがちかも知れません。高坂嬢はホルンにもいそうなタイプで、トランペット吹きとしてはクラシック寄りな感じ(ジャズ・ポップス向きな性格には見えない)。塚本秀一くんはトロンボーンにありそうな性格なので、ホルンから転向して正解だったかも。

第1期・第2期(1年生編)に比べると随分と演奏シーン少なめでしたが、基礎練や合奏練習を延々見せられても経験者以外は喜ばないでしょうから(苦笑)とはいえ府大会と関西大会の自由曲のさわりくらいは聴きたかったかも知れません。特に、久美子部長と真由ママの演奏の違い。

第1期から一貫して、滝先生の指導はかなりリアルなので(全国大会高校の部に複数回出場経験のある指導者の方に振っていただいた印象と比較して)、本気で上位大会を狙っていた学校の出身者には色々クルかも知れませんね。
メタな話をすると、演奏担当のプロの皆さんの演技(演奏)、芸が実に細やかでした。

ちなみに2017年度吹奏楽コンクール全国大会で課題曲I(『スケルツァンド』)を演奏したのは現実では中高大一、全部門通しても6団体だけ。金賞は文教大学のみ、高校の部では平商業(東北代表)の銅賞1校だけ。この年の課題曲の中では難曲でした。一般に技術的に高度とされる課題曲Ⅴ(2017年は『メタモルフォーゼ〜吹奏楽のために』)よりも少ない次第。自由曲の『一年の詩〜吹奏楽のための』も難しい割に曲調的に金賞を取りづらそうな曲なので、よくまあ北宇治高吹奏楽部&滝先生は攻め切ったものだと思います。

ラストは黄前先生の挨拶で締めます。3期第1話冒頭の職員室で映し出された机上は、実は2024年4月の横前先生の机だった、という演出。教員生活3年目?な黄前先生、わりと板についた感じ。担当教科は何なのでしょう(松本美智恵先生は滝先生と同じく音楽らしいのですが、1学年7クラスの高校で音楽科が3人というのもちょっと多過ぎると思いますので)
多分滝先生が顧問を続けているのだろうと思いますが2015年度着任から数えて10年目に突入、京都府教育委員会の人事方針はどうなんでしょうかね。某県教委は実績のある顧問でも原則7年、最大9年で情容赦なく移動させますが(しかも後任についての配慮はほとんど無し)。

麗奈嬢はまだまだトランペットの修行中、葉月嬢と緑嬢は就職したらしいですが楽器を続けているのかどうかは不明。
麗奈嬢、滝先生に告白したいと語っていましたが果たして「滝麗奈」と名乗る日は来るのだろうか(早くしないと滝先生、本当におぢいちゃんになってしまうぞ)。
それよりは塚本久美子先生の登場の方が先な可能性が高そうです(秀一くんが久美子ちゃんを逃してしまわない限りにおいて)。


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「オッペンハイマー」に賛否=「核廃絶契機に」「描写不十分」―映画館は盛況・被爆地広島

2024-04-09 | ドラマ
私見ですが一言で言えば、英米法廷ドラマの系譜な映画です。反核反戦を期待する向きはまわれ右された方が幸せになれるかと。

理論物理学者でプリンストン高等研究所第3代所長、オッピことオッペンハイマーの半生を描く映画です。

本作では彼の感じた世界を再現するため、彼が直接知り得たもの以外の情報は徹底的に捨象されています。故にネイティブアメリカン居住地の強制収用や原爆投下・投下地の模様は彼が直接見聞していないため直接の描写がありません。デーモンコア事故やローゼンバーグ夫妻の運命も描かれません。テラーが主導した水爆実験もカットです。

史実のオッペンハイマーが実際に何を考え・感じていたかは知りようもありません。しかし、作中のオッピが考え・感じたであろう事については過不足なく描写できている映画ではないでしょうか。

逆に、あれがないこれがないという批判はこの映画を理解していない言説と言ってもよい気がします。

……クリストファー・ノーラン作品なら必ず観る、という配偶者殿に「いくら何でもホントーにコレ観るの?本気?」としつこく疑ったがために夫婦喧嘩の危機が。今となっては己の不明を恥じるところです。
なお、原爆開発の経過やマッカーシズム・東西冷戦初期のアメリカの政治状況について詳しくなくても映画のキモは伝わると思います。知っているとより解像度が上がるでしょう。理論物理学の素養があると更に伝わるモノが増えると思われます。
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「光る君へ」地味、身分が低い“ゲス雨夜の品定め”まひろ立ち聞きショック「最悪」ネット同情も

2024-02-19 | ドラマ
うん、ゲスの極みだ。

巷で言うところのF4(フジワラ・フォー)マイナス行成によるボーイズトーク。「KOの経済あたりを出て、今は商社やら外資やらに就職している、アフターではクラブ通いな大企業重役や与党政治家のボンボンがしてそうな会話」(偏見120%)。

なるほど、名高い「雨夜の品定め」の本作における元ネタはこれか、と、得心したり。この後のアプローチもききょうさん(パリピな女子大生)の方は多分うまくあしらうんでしょうけれど、まひろさん(一人で同人誌書いてる女子高生)には辛いだろうなぁ。

それ以外にもまひろさんも何というか、散楽の台本(というよりはあらすじを語って聞かせただけか)を作ったら右大臣家の侍がカチ込んできたり、と災難続き。
それにしても、三郎道長に返歌くらい出しておけばいいのに、とは思いました。脈なしと思われても仕方なし。

それに先立ってF4の面々が矢を壺に入れる遊びをしていましたが、その時に道長くんてば「入内が幸せになるとは限らん」なんて口にしていたりして、おいおい将来娘3人入内させる男が何を抜かす、と突っ込みたくなったり。

ありそうと言えばありそうなセリフと場面設定で繋ぐ本作ですが、時代考証面では若干?なところもあります。やんごとなきご身分の女性陣が堂々と顔を晒しているところなどは、はてどうだっけ?とならなくもないですし、下級かつ末流とはいえ位階持ちな藤原氏の娘が、ろくに供も連れずに散楽集団(どうやら盗賊集団も兼業している模様)に混じっていたりするのは・・・・・

しかしあまり視聴者の間で「#反省会」タグができるほど話題にならないのは、何せ千年前のこととて「こうだったと言われている!」と言われてしまえば「うーん、反論するにも根拠が・・・」となってしまうからではないかと。
こりに凝って発音まで当時の発音に近づけると、多分現代人にとって平安中期の日本語はヒアリング困難ではないかと推定されています。
吉高さんの演技が現代っぽ過ぎる、という声もあるようですが、平安時代の所作については確信を持って言える方があまりおらず、またセリフまわしを当時に近づけようとすると明白にわかりづらくなるのでそこは妥協するしかないでしょうね。近年大河に歌舞伎系の方が結構出演していますが、民放でレギュラー枠の時代劇が消滅して幾星霜、もはや制作スタッフも俳優も時代劇のできる人がNHK関係以外では絶滅危惧種な以上仕方ないかもしれません。

その他、為時パパが右大臣家の間諜を辞めるシーン、「あ、これでこのあと10年無職確定」と思いました。娘が左大臣家に出入りしている以上、明確に左大臣側と宣言したも同然なわけで。政治的な情勢を少しでも弁えているならば意味不明なムーブに、宣孝おじさんもそりゃ説教かます次第。
花山帝に親しく接し続け、主上の心理がよくわかるだけに辛い、という心情はわからないでもないですけれどね。

次週は右大臣兼家様が倒れるような展開。道兼の前で琵琶を弾くらしいまひろさんの予告カットも。さてどうなるやら。

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大赤字、続編未定…「VIVANT」が海外で大コケの理由「幽☆遊☆白書」に“惨敗”で戦略練…

2024-02-17 | ドラマ
あらまぁ……なお話。

『VIVANT』に恋愛要素、いらないんじゃないかな?と思っていたりしますが、だからといって描写がきちんとしていなくてよいということでもないわけです。
乃木さん(演:堺雅人さん)の二重人格とか、柚木さん(演:二階堂ふみさん)との恋愛要素の描写とか、確かに明快ではなかったかも知れません。
ハリウッドのアクション映画みたいに、何でもXXXぽいシーン入れればいいだろ、もないと思いますが(偏見120%)

二昔前なら、海外での評判など気にしないで続編を作っていたと思うのですが、これも時代の変化というべきか。
ただ、特に日本初のエンタメについて言えばグローバルなウケを狙ったコンテンツが当たるわけでもないので、臆せずにいい作品を作って欲しいところです。


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「光る君へ」まひろに即マウント「バチバチ」清少納言ウイカ大河デビューにネット沸く「陽キャ…

2024-02-13 | ドラマ
マウントというより、ききょうさん(清少納言)てば同好の女子をみつけてつい舞い上がったんじゃなかろうか。推定年齢からの憶測ですが、大学1年生からすると中学3年生はマウントの対象とするには若干弱いですし。
まひろさん(紫式部)からすると思いっきりマウント取られてますけれどね。道長くんの漢詩に舞い上がっていた気分に水を差されてへそを曲げたかも。

道長くんたちの漢詩はおおよそ白氏文集に載っている漢詩が元だったので、白楽天のような詠みぶりと形容すると「貴方たち白楽天パクったでしょ」と言っているようなものになってしまいかねません。ききょうさんのように白居易の友人である元微之のような、といっておけば少し角が取れますが、ひけらかしでもあるので元輔先生が咳払いして娘を止めたのもわかるところです。
ちなみに、Xでの識者の方によれば公任さんだけ自作詩とのこと。流石は大納言公任。

なお第6話(寛和元年、985年)時点ですと
清原元輔 77歳
(藤原兼家56歳)
藤原為時 36歳
藤原道隆 32歳
藤原道長 19歳
ききょう 19歳 ※清少納言 
まひろ  14歳 ※紫式部
(いずれも満年齢、Wikipediaより)
俳優さんの配役の都合で、こうした年齢差がいまいち分かりづらいのが現代ドラマの難点でしょうか(可能なら『おしん』のように、丁寧に子役・大人役・老け役を使い分けてほしいなと)。為時父さんからすると、元輔先生は学部生〜博士課程時代に講義を取っていた教授みたいなものです。

ちなみに今回の関係者を無理やり現代に例えると(リアルな業界事情とはズレると思いますのでご寛恕のほど):
清原元輔さん:慶応あたりの有名教授で現在は名誉教授、そこそこ実入りの良い副業があってお金にはさほど困っていない。還暦近くになって生まれた末娘を溺愛。なお、後年頭髪を娘のエッセイでネタにされた模様
藤原為時さん:博士課程を出たけれどクソ生意気と見られて干されっ放しな万年助教、次期首相と目される大物政治家(兼家さん)に泣きつきその推薦で皇太子殿下の家庭教師をしていた。皇太子殿下(花山天皇)の即位をきっかけに宮内庁に出向したばかり。息子の出来が悪いのが悩みで、「お前が男だったら」と優秀過ぎる長女をその悩みに巻き込んでいる
ききょうさん:自分のハゲ頭で笑いを取れるひょうきん者の、おじいちゃんみたいな年齢の父親に末娘として溺愛された陽気な女子大生(なお高1の頃、幼なじみの婚約者と結婚。すぐに生まれた3歳の娘あり、育児はベビーシッター任せ※)。将来、宮内庁勤務時代の思い出を綴ったエッセイが大ベストセラーになるらしい 
※令和6年初頭時点なら、レアケースで成立しうる話
まひろさん:全然うだつの上がらない大学の助教な父親に、出来の悪い弟と比較して事あるごとに「お前が男だったらよかったのに」と言われて育った内向的な女子中学生。成人男性のペンネームで同人活動してお小遣い稼ぎしていたりする。後に世界文学史に名を残す長編恋愛小説を執筆するらしい
今回の漢詩の会:次期首相の息子で将来の首相確実な若手政治家(道隆さん)が主催する「趣味の催し」、出席者はいずれもSラン大学在学中で中央省庁にインターンとして出入りしている有望株のイケメン男子。この会での元輔先生と為時父さんは、趣味の催しのコメンテーターとして声のかかった慶応の名誉教授と東大の助教という立場

後に紫式部は『紫式部日記』で清少納言に「得意げに知識をひけらかしているが書いている文字は間違いばかりで大したことない、こんな女は畳の上じゃ死ねないよね(超訳)」等々と筆誅を加えますが、そのきっかけの一つはこの会にあった……なんてことはないか。

それにしても、百人一首にその和歌が採録された人物の多いこと多いこと……
現在までに登場した人物だけでも
清原元輔
清少納言(ききょう)
赤染衛門
右大将道綱母
儀同三司母(道隆の妻)
大納言公任
紫式部(まひろ)

この他、大弐三位(まひろさんと宣孝さんの娘)は確実に出演予定。他にも出演しそうな人物が数人。

それにしても、合戦抜きで大河ドラマとは冒険だなあと思っていましたが、丁寧な映像作りと『源氏物語』をよく踏まえた台本で今のところ?なシーンはほとんどなし。私の中では、『鎌倉殿の13人』に並ぶか超えるかするかもしれません。


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『葬送のフリーレン』雑感

2024-02-08 | ドラマ
話題作の一つ。

数千年の寿命を持つであろうエルフ(和製ファンタジーに出てくるとんがり耳の長寿種族)の魔法使い・フリーレンが、かつて共に魔王を倒す冒険をした勇者ヒンメルとの道行きを約80年後に再び旅する話、というのが簡単な要約かと。

あらすじや登場人物の魅力、各エピソードの感想は他所様に譲るとしまして。

エルフという長命種と一般的な人類の時間間隔に対する差異を丁寧に描写しています。恐らく人間もエルフも、人間の時間間隔にある「年」「季(3ヶ月前後)」「月」「旬(10〜15日)」「週」「日」「時」「分」「秒」の感覚は共通しています。
その上で、作中に描写はありませんが「年代(10年)」「世代(30年)」といった人間には若干薄い感覚、更に「世紀(100年)」「千年紀(1000年)」といった通常の人間の寿命を大幅に超える時間感覚を持っているのでしょう。

一級魔法使い試験編くらいから魔法対戦の比重が重くなっているような気がしますが、本作魔法使いには妙なリアリティを感じます。

野菜の収穫や難破船の残骸の片付け、がけ崩れで道の上に崩落した土砂の除去に魔法を使っているあたりが、妙に現実的でした。いずれも人手では十数人、場合によっては数百人の人足が必要な作業でしょう。はっきり言えば現代なら農業機械や土木機器の出番ですが、機械文明や動力革命が起きていない世界であれば魔法が使われていてもおかしくない作業です。

読み進むにつれ、昔アートディンクが出していたパソコンRPGの『ルナティック・ドーン』シリーズを思い出しました。駆け出し冒険者は最初に手紙の配達や荷物の配送、代金を預かっての買い物などをこなしていきます。次第に仲間を増やし、モンスター討伐やダンジョン探索、そして周期的に現れる大ボスの討伐へと進むのですが、本作で農作業や土木作業をこなす様が『ルナティック・ドーン』の初期に重なります。

……下敷きになっている和製ファンタジー世界のお約束、勇者・戦士・僧侶・魔法使い・シーフ(盗賊)による魔王討伐の旅ではまず描かれないシーンですし、その影響下にあるナーロッパ世界を舞台とした各種の創作でもちょっと記憶にない挿話ですが、こうした農業・建設土木業への魔法の応用はあって当然とも言えます。丁寧に描写している作品だと、さらっと「魔法で構築された」建築物や構造物が出てきますが。

多分、今後フォロワーの作品があちこち出てくるような気もしますが、本作のような回想型の物語は新鮮な気がします。どのように結末を迎えるか、今から楽しみですね。

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『光る君へ』意味深ラストに反響「三角関係?」「ラブコメと陰謀が混ざり合ってる」

2024-01-22 | ドラマ
存外しっかりと画面を作ってあるなぁ、というのが3話まで見た感想です。
今のところ、画面に「これは……」となるような破綻がないのが個人的には評価ポイント。前作のような、騎乗している人物の揺れが妙に同調していたり、紫禁城だか清洲城だか区別がつかない画面とか、といった初期のげんなりポイントに匹敵する破綻は今の所目につきません。

戦国後期〜安土桃山時代ですと歴ヲタな時代考証警察(笑)がワラワラと湧いてくるのですが、今回湧いてくるのは国文学系な皆さんが主。ある意味傾向が違うのかもしれません。

御譲位が近そうですが、果たして花山天皇といえばな挿話が再現されるのかどうかは若干気になっていたり。まともに描写するとコンプライアンス案件になってしまうので(22時代放映の『大奥』では若干描写が)、俗説だから採用しないとしても問題はないのですがね。

今回の私的ポイント
・左大臣家に送り出され、赤染衛門先生と高貴なお嬢様方のやんごとなき上品なお遊びに乱入した、競技かるた部ガチ勢の如きまひろさん。倫子お嬢様の「漢字にお詳しいのね」に🫨。これ偏見としての京仕草×女子高仕草じゃないかーい。後日、藤式部さんが宮中に上がった時に問題となりそうな。尚、倫子お嬢様は後に三郎くんの正室になる模様。案外まひろさんが気に入ったのかもしれませんが。
・女官の皆さんの反発で、毒を入れたかどうかの捜査を取りやめる頭中将殿。ええ、こういう時に女性に限らず下級職員の皆さんを怒らせてはいけません。というより、女官の皆さんが頭中将を取り囲むときの絵面が怖い(苦笑)


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NHK『光る君へ』初回で躓き、マーケティング失敗か大河最低の視聴率を記録、狙っていた若い…

2024-01-13 | ドラマ


『光る君へ』、第一話を観た限りでは悪くはないと思うんですけれどねぇ。
あからさまにターゲットを絞ったのがよろしくないかもしれません。

平安時代、道長の幼少期の再現としては中々リアリティを感じさせる出来だったかと。徹底的にリアルを追求すると『平清盛』の初期の頃になって絵面が汚くなりすぎるので、あれくらいが良いのかもしれません。
藤原為時邸と東三条殿=藤原兼家邸の違いが、受領階層(中級貴族)と摂関家の格差をうまく表現していたと思います。

「慶事の雨は吉兆と言いふらせ」という兼家のセリフに、吉凶を気にする平安貴族の常識を逆手に取って政局を動かそうとする意図を感じました。現代的解釈かもしれませんが、150年ほど後に清盛が山法師共の担ぎ出した日枝神社の神輿に矢を射掛けた故事に通じるものがあるように思います。

道兼の凶行について賛否あるようですが、父親の兼家が上記のような姿勢であることの影響を受け、かつ下々の者には何をやっても良いと思っている当人の態度からすれば、フィクションとして許容範囲内ではないかと。
いや平安貴族は死の穢れを徹底的に嫌うはず、という意見も否定はできないのですが、平安中期にあたるこの時代でも鷹狩は天皇や摂関家によって行われているので、どこまで穢れについて神経を使っていたのかの解釈次第でしょう。

願わくば、丁寧な演出と映像づくりを心がけてほしいものです。

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【どうする家康・最終回】驚きの展開!亡くなったはずの美女登場にネット号泣「涙腺崩壊」「お…

2023-12-18 | ドラマ

ともあれ、どうすればいいんじゃあ!とすぐに泣き出す情けない殿様の話はこれにて。
きっと後世には、鎌倉幕府二代執権・北条義時の生まれ変わりみたいな南光坊天海が書かせた東照大権現の歴史が残ることでしょう。春日局が竹千代(家光)に語り聴かせた神君の事績、という体は第一話から変わらず。竹千代ちゃんにはどうも御祖父様の生涯について春日局が盛りまくったお話は退屈なご様子。ただ、春日局を扇子を持ったキツネに描いた竹千代ちゃんが、御祖父様を白ウサギに描いたのは意味深長な感が。

前半20分程は大坂夏の陣。家康公が甲冑を着なかったのは史実ですが、真田勢との対決で両手を伸ばす様はパルパティーン皇帝がフォースを使うような描写。やはり越前勢は全カットなのですね(嘆息)
秀頼公御生害、淀殿御自害の様は見事でした(史実ではあのような広間っぽいところではなく山里丸の焼け残りの蔵だったそうで、もう少し場末感があったろうなあ)。

中盤は臨終に向かう家康公の周辺。松平忠輝関連の話は全カット。北条得宗家の血を引いていそうな天海僧正のもとで歴史編纂に当たっていた中に妙齢の女性がいたのですが、まさか稲さんだったとは。
浜松で団子🍡売っていた婆さんも出ていましたが、あんた一体何歳なんだ(笑)

後半20分程は去りゆく家康公の走馬灯か。愛妻・瀬名さんと愛息・信康君が在りし日の姿で現れ、争いのない世を築いたと褒めたところで夢から覚めた体の描写。平岩らの家臣に叩き起こされたのは五徳姫が信康のもとに輿入れする当日朝。わちゃわちゃした騒動で家康が家臣一堂にからかわれるわけですが、案外その頃が家康にとって最も幸福な時だったのでしょうかね。
ラストで高層ビル群が見えたのは、このお話の世界は現代に続くという意図かな。

脚本家の古沢良太さんの意図はかいますし成功した部類だと思いますが、演出・作画の雑さや史実からの省略の不用意さは最後まで付きまとったと思います。
トルストイ『戦争と平和』の登場人物は550人以上、三国志演義の登場人物は2000人以上。どちらも最大級の長編小説ですが、無駄な登場人物がいるわけではありません。リドリー・スコットの『ナポレオン』でも同じことが言えますが、登場人物を絞ることは歴史劇では必ずしも良い結果につながるとは言えません。

さて、古沢さんに次のチャンスは与えられるのでしょうか。数字はかなり厳しいので、難しいかな。
宮藤官九郎さんと同じく、現代劇の方が生きるのでは。
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