大河ドラマ、それも徳川家康が主人公ですとネタバレ禁止なんて意味をなさないくらいに家康のエピソードが歴史ファン以外にも流布しているわけでして。
今回、遠江の民が家康をバカにして食い逃げだの腰に焼き味噌だのと噂していたりするあたりは、中々上手な描写だと思います。
※どちらも割と知られているエピソードですが史実かどうかは・・・・・・な話だったりします。その他三方ヶ原の戦い関連で言えば、「しかみ像」がこの戦いの直後に描かれた、という話も割と新しいとか。
ただ。
松潤家康、三方ヶ原に出陣するシーンのように、バシッと決めるシーンが空回りしているんですよねぇ・・・・・・
情けない若殿の成長譚、という基本線はそれほど悪くはないと思いますが、周囲が「殿もご成長なされた」と認めるシーンがほぼゼロなのが痛いところ。
今回も、家康からお万(松井玲奈さん)に手を付けたと打ち明けられた石川数正が主君を怒鳴り上げるシーンがあったりで、家臣からの扱いが軽いままなのが成長感のない原因の一つでしょう。
とはいえ、御本人の演技そのものについては措くとしても、第1話以後第19回まで、松平次郎三郎元信時代からビジュアルが大きく変わるわけでもないので成長感ゼロも致し方なし。昨年度の『鎌倉殿〜』では伊豆の小四郎だった頃から、父・時政を追放し執権として全権を握るまでに衣装と風体(ひげの有無がわかりやすい)が段階的に変化していっているのでわかりやすく成長ないし変化が見てとれました。本作でも家康の髪型を変えるなり、ひげを伸ばすなり、甲冑はともかく普段着ている衣装を変えるなり、わかりやすく時の経過を示す工夫はいくらでもあると思うのですが。
先週NHKで放映された100カメではJAEのアクションスタッフたちの工夫が放送されていましたが、現場の努力が中々反映されない感が・・・・・・
演出統括の方針が大河向き、というより時代劇向きではない感があります。
本作の家康が本格的に成長するのは石川数正(松重豊さん)が出奔してから、なのでしょうかね。