さてまあ、下手をすると北京パラリンピック開会までに決着つくんじゃあ・・・・・・と思っていた今回のウクライナ侵攻。
案に相違して、未だに決着ついていませんしウクライナで占領された地域も存外わずかです。
※閲覧時点での最新情報なので、記事内容と矛盾することがあるかもしれません
ここではまず、純粋な軍事面から。
キエフ(ウクライナ語読みでキーヴと呼ぶ、な動きもありますがここでは旧称で統一)近郊での進撃がかなり停滞していたり、街道上にずらずらとロシア軍車両が縦列組んでいたり・・・・・・・といった動きが取り沙汰されていたりしますが。
ロシア軍の作戦術が、そもそも第一梯団(最初に戦線に投入して突破口を開く役目)が開けた突破口へ第二梯団を投入していくことを基本としています。激戦が予想される第一梯団には割と優秀な部隊、第二梯団以下はそこまででもない部隊が当てられるようです。なお最優秀部隊(“親衛”称号が与えられている部隊、空挺部隊など)は切り札として後置されることも。
また、どうもロシア軍の補給組織はアメリカ軍ほど洗練されていないようです。
やや古い話ですが、チェコ事件(1968)の際には前線部隊が燃料弾薬どころか飢餓状態にまで、などと言われておりまして。今回はさすがに50年前とは違うでしょ、と思っていたのですが・・・・・大元の発想が転換していないと、抜本的な改善には至らないようです。そもそも、実戦での大規模作戦の経験がアフガニスタン侵攻(1979〜1989)以来になりますしね。
なおチェコ事件の教訓からソ連軍は作戦機動グループ(OMG)の概念を導入し、来るべき第三次欧州大戦(1980年代半ば〜90年代前半を想定)においては、東西ドイツ国境での開戦から10日間遮二無二ライン川突破に向けて前進し続ける、そのためには10日分の補給部隊も丸抱えで、という作戦を立てていたようで、じゃあ金輪際前線での補給切れが起こらないよう補給組織を整備しよう、という発想には至らなかったようです。
米軍:最前線に送った部隊に潤沢な補給と補充を与えて行けるところまで戦う
露軍:最前線を第一梯団が突破して開いた穴から、あらかじめ準備していた第二梯団が進撃
※シミュレーションウォーゲーム『ロシアン・キャンペーン』は、このロシア軍の戦法を上手く再現できるようにデザインされていました。本来は、前半でのドイツ軍の電撃戦の再現が主眼だったと思いますが。
ウクライナ軍によるドローンの投入とか、NATO諸国からの武器弾薬その他の支援物資とか、西側各国PMCがとか言われておりますが(キエフを露特殊部隊が制圧する予定だったが、米PMC(特殊部隊出身者ばかり)によって撃退されたとか)。
歴史的に見ると、祖国防衛戦であればロシア兵の士気は極めて高いのですが、これが国外での通常の戦争だとそうでもない(日露戦争やWW1だと革命機運もあって士気は低め。WW2最終段階でのドイツ領での行状や満洲でのあれこれを見る限り、一般部隊の士気は然程高くなさそうです)ので、今回ウクライナ軍(歴史的にはロシア軍と双子の兄弟)の士気が高いのに比してロシア軍は・・・・・・という現象はその辺に由来するのでしょう。