てのひらの中の偶然

携帯iphone12、そしてOLYMPUS OM-Dが切り撮った日常の風景

余計なものなど何もない-ありがとうジュリー

2009-04-02 | 太陽・雨

四月になったというのに、今夜は冷たい雨が降っています。
この季節、こんな夜になると思い出す事があります。

わたしが中学一年生だった、昔、むかしの思い出です。

中学入学早々、ようやく新しい生活に慣れたところで、わたしは転校をすることになりました。
単身赴任していた父親のところへ急に家族で引っ越すことになったのです。
引越し後の生活は、希望や平安があるとは思えないものであるとわかっていました、
母や周りの大人の表情をみれば、それぐらい中学生になれば分かります。

けど、そんなことは誰にも言わず、
ただ大阪の都会に引っ越すのだと嬉しそうに級友たちには伝えていました。

転校間際の日でした、部活を終えての帰り道、今日のような冷たい雨が降っていました。
帰りを急いでいたわたしは校門を出たところで、クラスメートの一人に呼び止められました。
「転校先でもがんばれよ」彼はそう言いました。
そして「余計なもの、無駄なものに気持ちを向けている場合じゃないだろう」とも。
その頃のわたしは、親友と二人、ザ・タイガースに夢中でした。
学校のある日も休日でも、親友と一緒にザ・タイガースに明け暮れていました。
なので彼の言う「余計なもの、無駄なもの」がタイガースであるとすぐに分かりました。
彼の母親はわたしたちの通う中学校の教師をしていたので、
わたしの家庭の状況も母親からなんとなく聞かされていたのでしょう、
その上で、よかれと忠告してくれたのが分かったので、わたしは「ありがとう」としか言えませんでした。

でも、違うんだよね~
確かに当時、わが家族は崩壊寸前で、中学生の自分にはどうすることも出来ない焦燥感と不安で、
暗くてささくれだった気持ちを毎日持て余していました。
そんな暗く沈みがちな気持ちに飲み込まれるのを救ってくれていたのが
ジュリー、ピー、サリー、タロー、トッポだったんですよね。
テレビやレコードで観る姿、聴く演奏、親友と一緒に眺める雑誌のグラビア、記事・・・
どんなに楽しかったか♪
中学生の頃から家事はほとんどわたしがしていたけど、
タイガースの話をしている時は何もかも忘れられた、本当に楽しかった。

今になって尚良くわかる、ザ・タイガースいなけりゃわたしの生活は真っ暗だったわ。
他人からは「余計なもの、無駄なもの」に見えても、
本当に余計なものなんてないんだよね。

風の噂で、現在は高校の教師になってるというあの時の彼にいつか伝えたいと思っています。

「余計なもの、無駄なものなんてないんちゃう、山本くん」

























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コメント (2)