事例Ⅲは生産管理である。
事例Ⅲは一番点数が安定する事例と言われている。
それは解き方が事例Ⅰや事例Ⅱよりもパターン化ができるからだ。
■経営戦略と生産戦略
まず、設問、与件共に、経営戦略と生産戦略に分けられる。
設問は、「生産面」、「生産計画」、「生産管理」など、設問に「生産〇〇」と付いていれば基本的に生産戦略と考えて良い。
また今後の戦略を問う問題など、今後のことについて聞いてくる設問は経営戦略問題と判断する。なお、SWOTは経営戦略問題と分類しておく。
また与件は設問以上に経営戦略と生産戦略にきれいに分けることができる。事例Ⅲは、多くの場合、【】でブロック分けされた小見出しがある。
この小見出しのブロックがまるまる経営戦略パートか生産戦略パートに分かれるのだ。
小見出しが【生産〇〇】となっていたら、そのブロックは生産戦略パートになる。
それでそれ以外の小見出しは基本的に経営戦略パートに分けていいと思う。基本的に自分はその分け方で大きく経営戦略と生産戦略パートに分けていたが、うまくいかなかった年はなかったので基本的に大丈夫だろうと思う。
そして、その与件の経営戦略パートは設問の経営戦略問題に、与件の生産戦略パートは設音の生産戦略問題にそれぞれ割り付けすることができるのだ。
今まで例外はなかった、と思う。
なので、この設問は与件のこの部分から答える、と簡単に絞ることができるのだ。その後、与件と設問の割り付けをさらに細かく行っていくことで解答の当たりをつけるのが他の事例に比べて簡単なのである。
■弱みを全て解決する
生産戦略パートは生産のプロセスについて細かく書かれているが、そこに〇〇が足りない、とか〇〇されてないとか、〇〇が必要とか、やけに否定的な書き方で書かれている内容が良くある。それは全て「弱み」なので、この「弱み」は解答で全て解決する必要があるので目印をつけておく。
それで拾い出した「弱み」は、全て解決策を考える。それはパターン化できるもので、簡単なものだとそれをひっくり返せば解決策になる。
例)
・食材や調味料の受入れと、常温、冷蔵、冷凍による在庫の保管管理は資材管理課が行っているが、入出庫記録がなく ~(R5)
⇒入出庫記録をつける
・金型は顧客からの支給品もまだあり、C社内で統一した識別コードがなく、また置き場も混乱していることから~ (H30)
⇒金型に統一の識別コードを付け、置き場を5Sで整理整頓する
・各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報は各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない。 (H29)
⇒技術情報の標準化、マニュアル化をする
実に単純である。これは必ず生産問題の解答に書く必要があるので、どの設問の解答に盛り込むかを決めればいいのだ。
■解答の方向性
その他、以下に列挙するが、基本的に問題と解決策もパターン化できるのだ。
・標準化・マニュアル化
人によって品質が異なる、時間がかかるといったものは基本的に暗黙知を形式知化し標準化、マニュアル化し社内展開する。また人が経験でやっているのも標準化、マニュアル化対象である。R5でも調味料の必要量が経験値で見積もられていたので標準化対象である。また工場管理者が必要によってメモ程度のレシピを個別管理していたのでこれもマニュアル化対象である。
・月次計画は週次計画に
良くあるのが、月次で発注をしていたり、月次で生産計画を立てていたりというのが各年度でほぼ毎回出ている。これは週次で計画を立てるようにすることで発注や生産を都度見なおすことができるようになり材料や製品の在庫削減を図ることができる。
実際に生産の現場ですぐできるかというとすぐにできないこともあるかもしれないが、これはあくまで試験なので、月次となっていたらためらわず週次と書けばおそらく加点は全然されると思う。
・多能工化
誰が一人の作業がボトルネックになっていたり、専任担当のある作業の場合は多能工化を目指す。この「多能工化」は重要キーワードなのでこれは問題で一回はどこかの解答に入れておいた方がいいと思う。
・リードタイム短縮
リードタイムの長さがボトルネックになっている場合は、3次元CAD(3DCAD)を導入し顧客とのイメージすり合わせをスムーズに進めたり、技術者が営業と同席して設計や見積のリードタイム短縮を目指す。なお3DCADは「CAD」やそれに関連する文言が与件にあった場合に積極的に使っていくべき。とのこと。
以上が問題のパターンと解答の主な方向性である。
■QCDの観点から回答する
戦略問題は、基本、QCDの観点から回答する。QCDは生産管理の根幹を成すテーマで基本このフレームワークに沿って答えていれば外れないのだ。
なので、「3DCADの導入によりリードタイムを短縮し、在庫管理の徹底によるコスト削減、マニュアル化・標準化(または高付加価値化)によりQCDの向上を目指す」のような感じの解答が書ければなかなかいい感じの点数が入ると思う。
■販売チャネル強化は展示会などのイベントから
その他事例Ⅲでも販売チャネルや販売促進みたいな問いもたまに出てきたりするが、それはイベント、展示会など顧客との直接の接点となる機会がおそらく与件のどこかに書いてあるはずなのでそれをフックにして販売力強化を目指す。
■盛り込んでいきたいキーワード
上記にもいろいろ書いたが、「QCD」「多能工化」「標準化・マニュアル化」「コスト削減」「リードタイム短縮」「3DCAD」「高付加価値化」「SLP」「5S」「ロットサイズ適正化」「メンテナンス」などのワードを入れていけるといいかも。あとDRINKのフレームワークも入れていきたい。
■思い出深い年度
・R5
もちろん合格年度。上記や今までの解き方のコツがそのまま使えた事例だと思う。ただ、問1では強みを生産面から2つ述べよ、となっているが、与件に強みがそのまま書いていなかったり、しかも10点と点数が低かったりちょっとひねりが加えられていた。
・R2
SWOT、問題点の洗い出しと解決策、IT化問題、今後の戦略と、出題のバランスが良い良問だが、自分はIT化問題が苦手だったので難問でもあった。
・H30
作業者の一日の作業内容が図で示されているが、待ち時間が長かったり機械の運転効率が悪かったり作業者がアホみたいな行動をしている突っ込みどころ満載の事例だった。
事例Ⅲのコツとしてはこんな感じでしょうか?
今回そんなんで以上☆