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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

198冊目:「69 sixty nine」

2022-12-12 17:03:31 | 
総評:★★★☆☆ 楽しく読めた。
面白い度:★★★★☆ 面白かった。
読みやすい度:★★★★★ すいすいと読んでしまった。
ためになる度:★☆☆☆☆ ためにはならない。
また読みたい度:★☆☆☆☆ また読むことはないと思う。



村上龍2冊目。

今回は前回とは打って変わって読みやすく、楽しく読めた。

どうぞ映画してくださいというような感じでポップに書かれた青春小説。
そして女の子にもてたいという不純な動機だが、目標に向かって進む行動力と、ぶち当たる壁?に手八丁口八丁で進めていく主人公の人間味が面白く、そして疾走感もあってどんどん読めた。

舞台となる村上龍が行っていた佐世保北高等学校は「坂道のアポロン」でもモデルになり、もちろん作者の小玉ユキさんやガキ使で有名な菅プロデューサーも行っていた進学校で有名な高校らしい。
作品を読んでとても面白そうな高校だなあと思った。

最後の方で、フェスティバルを無事開催するが、その内容がさらっと終わってしまってアレ?と思ったが、その後のエピローグ的な内容がとてもリアルで、嘘かホントかは分からないが、実際にあった出来事もやはりいっぱい入っているんだろうなあと思って、実際の村上龍はカンブリア宮殿だと真面目な感じだが、面白く人間味のある人なんだなあと思った。


そんなんで、今回は以上☆





197冊目:「限りなく透明に近いブルー」

2022-12-11 16:48:25 | 
総評:★☆☆☆☆ よー分からん
面白い度:★★☆☆☆ そこまで面白くない
読みやすい度:★★☆☆☆ 登場人物が多く、読み進めにくい
ためになる度:★☆☆☆☆ ためにはならない
また読みたい度:★☆☆☆☆ また読みたくはないかなと思う



村上龍の処女作。

久しぶりに小説に手を出してみた。
先輩が村上龍押しだったので、読んでみようかな思って読んだ。

内容としては、米軍基地がある福生の町で若者が色々ドラッグをやってパーティーをやったり、仲間内や外人の方達と〇交したりして、自分を見失ったり周りの人々も流されるままに退廃的な感じで生きてくというような、そんな感じだった。

芥川賞を受賞したらしいが、あまり自分は良さが分からなかった。。
ドラッグとか、S〇Xとかが結構生々しく描写されているが、そんな描写が当時はセンセーショナルに映ったのだろうか。
俺やってますけどすごいでしょ?的な感じの印象が見え隠れしたり、。。

登場人物が比較的多めで、それぞれどんな人物なのかがよくわからないまま始まって良く分からないまま終わった。よく分からない小説。
のめり込むって程でもないし、ページ数も少ないので、ふーんで終わった感じだった。


そんなんで、今回は以上☆

196冊目:「アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協働的ソフトウェア開発マネジメント」

2022-12-01 08:33:56 | 
総評:★★★★☆ スクラム開発がとてもよく分かった。
面白い度:★★★☆☆ 普通に面白かった。
読みやすい度:★★★★☆ 読みやすい。
ためになる度:★★★★★ 今の自分にめっちゃためになった。
また読みたい度:★★★★☆ 必要なときに読み返したいと思う。



タイトルの通り、システム開発におけるアジャイル開発とスクラムについて書かれた本。
システムは、今までウォーターフォール開発という方法論が主流だったが、10年くらい前からアジャイル開発という手法が勢いを増してきている。

現在自分の入っているプロジェクトでは、新規システムの開発においてアジャイル開発を採用し開発を進めているので、未経験の自分としてはアジャイルの開発方法とは何か?といった所から知識を深めるために図書館で借りて読んでみることにした。


ウォーターフォール開発は、フェーズという開発の段階に区切られていて、そのフェーズ間の作業のインプット・アウトプットとして、成果物のドキュメントの完成をもってフェーズが切り替わる。

フェーズというのは、要件定義、基本設計、詳細設計、製造、単体テスト、結合テスト、統合テストといった段階がある。
その間のインプット・アウトプットの成果物としては、要件定義書、基本設計書、詳細設計書、単体テスト仕様書(テスト結果)、結合テスト仕様書(テスト結果)・・・
といった感じに、それぞれ対応するドキュメントがある。

アジャイルはフェーズというのが明確に区切られておらず、作成するべきドキュメントというのも決まっていない。
アジャイルは実際に動くシステムを見て修正し、改善し、変更していくという、一つの開発サイクルが短く、システムに変更が入ることを前提に、柔軟に開発を行っていくというイメージになる。

そのアジャイルを行っていくためには、「やり方」がとても重要で、チーム全員で同じ認識を共有し、全員が考えながら共同し主体的に動くことが前提になっている。ていうかそういう動き方をしなければうまく行かない。

そのために、「朝会」を行い、日次で情報共有、「振り返り」で次のアジャイルの開発の単位(「スプリント」と言われる)に向けて改善をしていく、などのやり方を採用し、運営を行っていく必要がある。

そういった考え方は今までウォーターフォール開発しかやってこなかった自分としては結構新しい概念であり、アジャイル開発というのを実際にやってみたいなと思った。

アジャイル開発は、「アジャイル宣言」と呼ばれるものが2001年に出されており、開発の価値観の根底をこの宣言に置いているのだった。
アジャイル宣言をここに記載しておく。

「アジャイルソフトウェア開発宣言

私たちは、ソフトウェア開発の実践
あるいは実践を手助けする活動を辻て、
よりよい開発方法を見つけだそうとしてる。
この活動を通じて、私たちは以下の価値に至った。

プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、
価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。」


これがアジャイル開発の根底に流れている考え方ということで、
すぐに思い出せるようここに書いておくことにしておく。


そんなんで、この本で覚えておくべきと思った内容を以下に抜粋する。

・スクラムの枠組み

■役割
 プロダクトオーナー 何を開発するか決める人
 開発チーム 実際に開発作業に関わる人々
 スクラムマスター 全体を支援・マネジメントする人
■成果物
 インクリメント スプリントで完成された機能で、出荷判断可能なソフトウェア
 プロダクトバックログ 順序付けられた製品の機能リスト
 スプリントバックログ スプリント内で開発する機能リスト
■イベント
 スプリント 開発の反復単位
 スプリント計画 スプリント内で行う開発を決定するミーティング
 デイリースクラム(朝会) 毎日行われるミーティング
 スプリントレビュー スプリントの最後に行われるインクリメントのレビュー
 レトロスペクティブ(振り返り) スプリントの最後に行う改善活動


・スクラムマスター
 スクラムチーム全体が自律的に協働できるように、場づくりをするファシリテーター的な役割を担う。ときにはコーチとなってメンバーの相談に乗ったり、開発チームが抱えている問題を取り除いたりする。スクラムマスターは、スクラムチーム全体をマネジメントするが、コントロール型の管理を行うのではなく、チームを支援する役割を担う。そのために、開発チームを外部の割り込みから守り、チームの障害を取り除くために外部との交渉を行う。また、製品のビジョン作りやバックログ管理について、プロダクトオーナを支援する。つまり、スクラムマスターはスクラム全体をうまく回す責任を持つキーパーソンだと言える。
 スクラムマスターは、プロジェクト全体をマネジメントする仕事なのだが、指揮命令するものではない。むしろ、メンバーが動きやすいように障害物をどけて回る役回りで、サーバントリーダー(奉仕型のリーダー)だと言える。そして、開発のやり方に関する決定はスクラムマスターではなく、開発チームが行う。スクラムマスターが細かい指示を出すのではなく、自分たちで決めながら動く自律したチームを作ることが、生産性を上げる鍵だ。
 スクラムではこの自律したチームのことを、「自己組織化された」チームと呼ぶ。これには、スクラムチームを含む組織全体が「コマンドーコントロール」型の文化から、「リーダーシップーコラボレーション」型の文化へと意識改革していく必要もある。

・ユーザーストーリ
 「ユーザーストーリ」はXPで提唱されたプラクティスで、ユーザーの言葉で書かれた機能の説明である。そのものではないが、従来の「要求仕様書」を置き換えるものだ。このユーザーストーリはアナログを重視し、紙のカードに書いて会話によって伝えることが推奨されている。スクラムでは、バックログ項目に対して、このユーザーストーリを書くことになる。
 アジャイル開発では対話を重視している。ユーザーストーリは、従来の仕様書による情報伝達の欠点を補う手法として生まれた。従来の問題とはすなわち、完璧な仕様書で伝達しようとするあまり、どこまでも詳しく書くことになり、大きなドキュメントを抱えて「分析麻痺」に陥る問題だ。しかも、書き終えた頃には要求が変化してしまっている。そこで、できる限り簡潔にカードに要求を書き、残りはフェイス・トゥ・フェイスの話(ストーリ)で要求を伝える。カードに書かれた要求は完璧な仕様ではなく、あくまで「会話のきっかけ」として使う。
 書かれたカードは壁に貼っておくとよい。必要であればそのカードを壁からはがしてユーザーにもっていき、詳しい話をユーザーから聞き出す。例えば「このストーリですが最大の入力桁数はどれくらいを想定していますか?」とか「もし検索の結果がゼロの場合、どんな画面を出しましょうか?」と聞くのだ。
 簡潔に、とは言っても、なかなかちょうどよい要求を書くのは難しい。そこでユーザーストーリ記述のフォーマットがいくつか提案されている。その一つを紹介しよう。

 ・<〇〇>として、(〇〇=ユーザーの役割)
 ・<△△>がほしい。(△△=機能)
 ・なぜなら、<××>だからだ。(××=機能の価値や目的)

というものだ。例えば図書館の蔵書検索システムであれば、次のような書き方になる。

 図書館の訪問者として、蔵書を検索する機能がほしい。なぜなら、館内で見たり借りたりしたい本があるかどうか、そして、それがどこにあるかが知りたいからだ。

 ここで大切なのは、機能だけでなくこの機能を実際に使うユーザーの役割(例えばシステムによっては、ユーザーには一般ユーザーと管理者がいたりする)と価値や目的が書かれている点だ。ユーザーの役割が書かれていることによって、使う文脈を想像したりユーザーインターフェイスを考えたりできる。また、価値や目的が書かれていることによって、もしかしたら、書かれている機能そのものよりもよりスマートに、もしくはコストをかけずに目的を達成できる機能を思いつくかもしれない。さらに、この要約記述のほかに、制約や条件、ユーザーインターフェイスの絵、受け入れの基準やデモ手順などの記述が追加される。

・プラクティスには、技術的な課題に対するアプローチと、人間的なあるいは組織的(ソーシャル)な課題に対するアプローチがある。一概にプラクティスを分類することはできないが、これまでに紹介したものは大まかに二つに分類することができる。

 1,技術プラクティス:高速に石橋をたたいて渡る「開発環境」をつくるもの
 ・リファクタリング
 ・テスト駆動開発
 ・継続的インテグレーション
 ・ペアプログラミング
 ・その他、これら以外にも多数

 2,ソーシャルプラクティス:協働でゴールに向かう「チーム環境」をつくるもの
 ・朝会
 ・タスクかんばん
 ・バーンダウンチャート
 ・プランニングポーカー
 ・ふりかえり
 ・その他、これら以外にも多数


一旦これくらいでしょうか?
図書館から借りた本なのですぐにまた参照することとかは難しいが、一旦エッセンスは書き出せたと思う。

そんなんで以上☆

195冊目:「ハーバード流交渉術」

2022-11-28 21:15:39 | 
総評:★★★★★ ためになる内容が多かった。
面白い度:★★★☆☆ いい感じに面白かった。
読みやすい度:★★★★☆ 和訳された本だが読みやすかった。
ためになる度:★★★★★ めっちゃためになった。
また読みたい度:★★★★★ また読み返したいと思う。



JISTAの会合でおススメされたので読んでみた。

交渉術について書かれた本。
元は海外の人に書かれており、和訳されて本になっている。
結構タメになる内容が多く、もっと前から読んでおけばよかったなあと思った本。
一番心に残ったのは、「こちらが交渉を無しにしてもいいと考えている交渉が一番強い」という内容だった。
確かにその通りだなあと思った。

交渉というのはお互いの立場からの駆け引きが一般的に行われるが、この本では、交渉には「原則立脚型交渉」というのを紹介していて、それか一番うまく行く正解の交渉方法だと言っている。

原則立脚型交渉は、四つの基本点があり、それは以下の通りとのことだった。
①人と問題を分離する
②立場ではなく利害に焦点を合わせる
③まず複数の選択肢をつくり、決定はその後にする
④客観的基準を強調する


その他の内容については細かくは忘れてしまったが面白いと思った内容について抜粋する。

・これらの四つの基本点は、ほとんどいかなる状況の下でも用いることのできる交渉の正攻法を示している。それは交渉における四つの基本的要素を取り上げ、それぞれにつきどう対処すべきかを示唆したものである。

人・・・人と問題とを分離せよ
利害・・・立場ではなく利害に焦点を合わせよ
選択肢・・・行動について決定する前に多くの可能性を考え出せ
基準・・・結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ

・原則立脚型交渉の四つの基本点は、交渉しようと考えた時点から合意が成立するまで、または話し合いの努力をやめようと決めるまで当てはまる。その期間は三つの段階に分けることができよう。すなわち、分析、計画、そして討議である。
 分析の段階では、もっぱら状況判断を試みる。情報を収集し、まとめ、それについて考える。偏向的な物の見方、敵対的な感情、そして不明瞭な意思疎通といった人の問題について考え、それと同時に、自分と相手の利害を見極めようとする。すでに討議の対象とされている選択肢に注意を払い、また合意の基礎として示された基準があれば、その内容を確認する。
 計画の段階では、アイディアを考え出し、何をなすべきかを決めながら、再び四つの要素を考慮する。人の問題の処理についてどのようなアプローチをとるべきか。自分の関心事のうち、どれが最も重要か。現実性のある達成目標をどこに置くか。今まで出されたものに加えて、決定の対象とすべき選択肢と基準をつくり出そうとする。
 討議の段階では、当事者は合意を目指して意見の交換を行うが、ここでも同じ四つの要素が最善の討議主題である。物の見方の相違、不満と怒りの感情、意思疎通の困難を認め、それに取り組む。それぞれの側は他方の利害を理解するようにならなければならない。双方は共同して、互いに利益になるいくつかの選択肢を考え出し、利害の対立を解消する客観的な基準を用いて、双方が納得できるものを探求する。

・二人の人間が言い争いをする場合、その対象は物ー例えば双方とも一つの時計が自分のものだと張り合うなどーか、事象ー例えば、双方とも自動車事故が相手の過失によるものだと張り合うなどーか、そのどちらかである。

・問題の状況を相手方の立場に立って見るということは極めてむずかしいが、それをなしうる能力こそ交渉者のもつべきもっとも重要な資質である。相手は自分とは違った目で物を見ているということを知るだけでは十分ではない。相手の見解を変えさせたいと望むならば、まず、相手がどれほど強固にその見解を信奉しているかについて理解し、その心情を感じ取るよう努力する必要がある。

・物の見方、考え方の相違に対処する一つの方法は、その相違点をはっきりさせ、それについて相手とじっくり話し合うことである。自己流に問題を解釈して相手を非難するのではなく、その問題についての認識の違いを率直に話し合えば、自然に相互理解が生まれ、お互いに他の言い分を真摯に受け止めることができるようになるであろう。

・理屈ではよくわかっていても、実際に人の言うことに注意深く聞くぐらいむずかしいことはない。緊張した交渉をしている場合は特にそうである。しかし、よく聞いていれば相手のものの考え方を理解することができ、相手の感情を感じ取り、相手の言わんとすることを汲みとってやることができる。そしてこちらが相手の言い分をよく聞いてやれば、相手もまた要領よく話すようになるものである。注意深く聞いて、ときどき「ちょっと待ってください。あなたの言われたのは、こういうことですか」などと確認する。すると相手側も、だれも聞いていないのにただ順番だからしゃべるという、いつもの状況とは違うことがわかり、張り合いが出てくる。聞いてもらい、理解してもらっているという満足感が湧く。自分の話を聞いてもらった、という感じを相手方に抱かせることが、いちばん安上がりの譲歩だといわれているのはこのためである。
 よく聞くための標準的なテクニックは、相手が言ったことに十分な注意を払い、意味を十分かつ明確に説明してもらい、それでも不明瞭な点があったら、その考えを繰り返し述べてもらうようにすることである。相手の話を聞いている間に、それに対して自分はどう答えるべきか、などと考えるようなことはせず、相手の立場に立って物を見たらどう見えるかを理解するように努力する。彼らの考え方、彼らの要望、彼らの緊張感をそのまま理解し感じ取る必要がある。

・交渉で、人はよく相手の動機や意図をくどくどと非難する。しかし、問題点の指摘に当たっては、相手がどんな意図で何をしたかという形ではなく、当方は問題をこういう風に感じ取っているという形で表現したほうが説得力がある。「あなたは約束を破った」と言うよりは「私は失望しました」と言ったほうが、また「あなたは人種差別主義者だ」というよりは「私どもは差別待遇を受けている感じがします」と言った方がよい。相手に対し、お前の信じていることは間違っていると決めつければ相手は怒りだすか、当方の言うことを無視するかであろう。そしてもはや当方の関心事に注意を向けようとはしない。一方、当方としてはこう感じていると言えば、相手もそれは嘘だとは言えない。かくて、相手を怒らせて拒絶反応を招くことなく、同じことを相手に伝えることができるのである。

・交渉の相手側が現在もっている期待を判断し分析する場合には、「いったい自分は誰の判断に影響を与えたいのか」をまず自問すべきである。次に、相手側がこちらの要求内容をどうとらえているかを把握することである。それがわからないくらいなら、相手にだって当方の要求がわかるはずがない。相手が、当方の望むような決断をしないのはこのためかもしれない。
 さて今度は、相手がこちらの要求に賛成した場合と反対した場合のそれぞれの結果を分析することである。この作業には次のようなチェックリストが役に立つ。
 
 自分の利害に対するインパクト
  政治的支持を失うか、得るか?
  同僚は批判するか、称賛するか?
 代表する集団の利害に対するインパクト
  当面の影響は? 長期的に見た影響は?
  経済的(政治的、法的、心理的、軍事的等)影響は?
  外部の支持者への影響は? 世論は?
  よい先例になるのか、悪い先例になるのか?
  この決定を下すと、もっとよい案の妨げになるか?
  その行動は自分たちの主義に合致しているのか、「正しい」判断か?
  今結論を出す必要があるのか?

・表明された立場の背後にある真の利害を探ろうとするときは、すべての人を動かす最も基本的な関心に特に注意することである。もし、交渉の当事者がこのような基本的なニーズを満たせるなら合意に達することが容易になり、また合意に達した後は相手方にその合意を守らせやすい。人間の基本的なニーズは次のことを意味する。

 安全
 経済的福利
 帰属意識
 認められること
 自分の生き方を自分で決定すること

・ひどい胃潰瘍なのに軽い胃痛があるだけだと医者に説明したら、治るものも治らないかもしれない。自分の利害がいかに重要で正当なものであるかを明確に相手方に理解させることは、その当事者の責任である。
 一つの目安は、具体的にいうことである。具体的で詳しければ説明に信憑性をを与えるだけでなく、迫力をも加える。例えば、次のようにである。「先週三回も子供がお宅のトラックにひかれそうになりました。火曜日の朝八時半ごろ、あの大きな赤いトラックが北に向かって時速四十マイル近いスピードでは走っていましたね。あの時もしもハンドルを切り損っていたら、ロレッタ・ジョンソンという七歳の男の子をはねとばすところでしたよ。」

・自分の利害に関して話すときは強硬であってよい。事実、通常は強硬であるほうが望ましい。自分の立場に固執することは賢明ではないが、自分の利害に固執することは賢明である。交渉においてはここにこそ攻撃性を発揮すべきである。交渉の相手側は、自分自身の利害に夢中で、可能な合意の幅について過度に楽観的な期待をもつ傾向がある。
 もっとも賢明な解決、すなわち相手方の損失を最小限にとどめ、当方に最大の利益をもたらす解決は、自分の利害を強く打ち出すことによってのみ生まれる。交渉の当事者が、それぞれの利害を強く主張することが、相互に有利な解決策を生み出す想像力を呼び起こす場合が多い。

・さて創造的な選択肢を考え出すためには、次のことが必要である。(1)選択肢を考え出す行為とそれに評価を下す行為を分離すること、(2)単一の答えを探すことよりも、むしろ幅広い選択肢を提示すること、(3)互いの利益を追求すること、そして、(4)相手が決定しやすい方法を見つけてやることである。

・選択肢を考え出す作業は、四段階の思考過程から成っている。第一は、ある特定の問題ー例えば、自分の敷地の側を流れる臭くて汚い川といった不快な事態ーについて考えること。第二は、記述的分析、つまり一般論的に現状を診断し、問題点を分類してその原因を推測してみる。川の水は各種の化学成分を多く含んでいるとか、酸素が少なすぎるとか、上流にある種々の製造工場に疑いがあるかもしれない。第三には、やはり一般論としてどうすればよいかを考えること。右の現状分析に対し理論的な解決方法ー例えば、化学排水を減らすこと、汚水そのものの流出も減らすこと、どこか他の川から新鮮な水を引いてくることなどーを探す。第四は、いくつかの具体的で実行可能な方策を考え出すことである。例えば、上流の企業に対し、化学排水の量を制限する命令を出すよう、州の環境庁に働きかけるという方策もあるだろう。


・私意に振り回されない解決を生み出すためには、実質的な問題点に対する公正な基準か、または対立する利害を解消するための公正な手続きかのいずれかを使えばよい。例えば、一人の子供が一つのケーキを分けるのに古くから使われている方法を考えてみよう。一人が切ってもう一人が選ぶ、どちらも不平を言うことができない。

・相手が提案した基準は、相手を納得させるためのテコにすることができる。相手の基準に沿って提案すれば、その提案は承認される可能性が大きい。相手は自分たちの提示した基準を当てはめることに、もはや反対することはむずかしいからだ。「あなたは、ジョーンズさんが隣の家を六万ドルで売ったとおっしゃいました。近所の似たような家の売値で売るというのがあなたのきじゅんでしたね。ですから、エルスワード通りとオックスフォード通の角の家と、ブロードウェイ通りとダナ通りの角の家がいくらで売れたかを参考にしてはどうでしょう」という具合に攻めてはどうだろう。
 歩み寄りがことにむずかしくなるのは、他人が考えた提案を受け入れなければならない場合である。しかし自分が提案した基準に基づいた案に同意するというのであればけっして弱みを見せることにはならない。自分の約束を守るという意味では、むしろ、強みをみせることになろう。

・「決裂してもかまわない」が強さの決め手
 交渉力とは富や政治的コネ、体力、友人、そして軍事力といったものに左右されると思われがちである。しかし実際は、両当事者の相対的交渉力は、どちらのほうが交渉が決裂してもかまわないと思っているかによる。
 金持ちの観光客がボンベイ駅の売店で手ごろな値段で小さな真鍮製ポットを買いたいと思っているとしよう。店員は裕福ではないが、そのポットの売れゆき具合を知っている。この客に売らなくとも、他の客に売れる。自分の経験から、それをいつ、どのくらいの値段で売ることができるか予測できる。観光客は金持ちで地位があるかもしれない。しかし、彼がポットの仕入れ値や同様のものをよそでも売っているかどうかを知らないかぎり、この交渉における彼の立場は全く弱い。彼は、このポットを買い損ねるか、不当な高値を払わされるかのいずれかと見て間違いなかろう。この場合、金持ちであることは、彼の交渉力を全然強めていない。金持ちであることが知られればポットを安く買うのがかえってむずかしくなる。その富を交渉力に転化させたければ、観光客はその富の力を、同等ないしはもっと高級な真鍮のポットの市場相場を調べるのに使うべきだ。

・適切な不調時対策案があるほうが、問題の本質に焦点を合わせた交渉を行いやすい。自分の不調時対策案を開発し改善することによって、手持ちの材料を有効な交渉力に転化することができる。相手が同意するか否かはさておき、手持ちの情報、時間、財力、人間、コネ、知恵を総動員して、当方にとって最良の解決策を考え出そう。気軽に交渉を打ち切る用意があればそれだけ、交渉の結果出てくる合意の内容に影響力は強いのである。
 このように、決裂した場合の不調時対策案を用意しておくと、受け入れうる最低の条件を決めることができるばかりでなく、その最低線を引き下げる可能性も出てくる。不調時対策案を発展させることは、見るからに強力な相手と交渉するときにとりうる、おそらく最も効果的な方法だろう。

・相手側が個人攻撃をしてきたらーそれはよくあることだがー、自分を弁護したり、相手に反撃したりしたいのを自制して、言いたいだけ言わせて気がすむまで待つことである。彼らの言い分を聞き、理解していることを態度で示す。その後で、個人攻撃を、問題に対する攻撃に転化するのだ。
 「ストライキは、子供たちを無視するものだとおっしゃるのは、子供たちの教育についてあなた方が心配しているからだと思います。我々の関心もそこにあることをわかってほしいのです。子供たちは我々の子供たちであり我々の生徒なのです。我々は、ストライキをやめて教育の場に戻りたいのです。どうすれば早く妥結できるか、双方で考えようではありませんか。」


そんな感じでの他にもいろいろあったが、長くなったのでこれくらいにしておく、今回の記事を書くために見返すとこれもこれもためになる内容だなと思うことが色々あったので、また折を見て見返したいなと思った。


そんなんで、今回は以上☆

194冊目:「会社のオモテとウラがわかる本」

2022-10-11 20:58:39 | 
総評:★★☆☆☆ そこまで得るものはなかった。
面白い度:★★☆☆☆ 結構知っている経営学の話だった。
読みやすい度:★★★☆☆ 読みやすい方。
ためになる度:★☆☆☆☆ ターゲットが異なるためあまりためにはならなかった。
また読みたい度:★☆☆☆☆ また読むことはないかなと思う。



JISTAというグループに入っているのだが、
そのオンライン会合でこの前パネルディスカッションのモデレーターを務められていた隈正雄さんという方が書いた本。


新入社員のために、会社や先輩はどんなことを考えていて、新入社員はどんなことを考えて行けばいいかという手引書みたいな本。

新人のあなたはこんな行動をしたら怒られるとか、会社はこういう考え方をしてこういう意思決定をするから、会社の言っていることも分かってあげてねといった内容が書かれていた。

あとは、会社経営の考え方。経営学の考え方なのかな?よくあるPPMとか、規模の経済とか、製品ライフサイクルとかAIDMA理論とかSWOT分析とか5フォース分析とか、さわりの内容が書いてあった、中小企業診断士の経営理論で勉強した内容の復習にはなった。


新人のために書かれた本なので、ちょっと仕事して20年くらい経つ自分にはあまり得るものはなかったかなと思う。まあ当たり前か(^^;

そんなんで今回の感想はこんなんで以上☆