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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

57冊目:「カラマーゾフの兄弟(中)」

2011-09-09 01:10:30 | 
総評:★★★★☆ うってかわって面白い
面白い度:★★★★★ 面白い
読みやすい度:★★☆☆☆ 多少読みやすくなった
ためになる度:★★★☆☆ まあまあ
また読みたい度:★★★☆☆ 


中巻は異様な雰囲気で語られた「大審問官」の後から。
話は現実に戻り、アリョーシャが心から尊敬していた長老が亡くなってしまう所から、この物語の核心であるフョードル・カラマーゾフの殺人事件が描き出される。

ゾシマ長老が亡くなる前に、長老は長い話をアリョーシャら修道僧に聞かせる。
この部分はキリスト教の教えに沿った話が進むが、不思議と引き込まれた。

その後、長老の死後、アリョーシャからすると、尊厳の冒瀆にも等しいような事態が起こる。
ここのアリョーシャの失望の場面はとても印象深かった。
そして色々な心の動きがアリョーシャに起こる。どのような心持であったかはうまく表現できないが、ああ、ありえるかもみたいな感情だと思う。

というかこのカラマーゾフの兄弟は、感情の動きがすごく綿密にすごくうまく書かれているなぁと思う。
見ていて、うぉっと引き込まれる場面も多数。
日本語の翻訳でここまで臨場感を出すのもすごいなぁと思った。


そして、その後、ドミートリィ(ミーチャ)の場面になり、ミーチャの感情の動きなどの伏線から、殺人事件が起こる前後と、殺人事件を知らずにミーチャの豪遊する場面がある。

ミーチャは最初読んでいて、なんだこいつ変な奴だなぁと思っていたが、次第に純粋で、直情的で、短絡的なキャラだということが分かってくる。
ミーチャの後先考えない行動にはほぼ呆れたが、殺人事件が発生してから、尋問を受けるあたりでは、とても紳士に取り調べに答えており、非常に捜査には協力的で、なかなかイイヤツだった。
そして実は自分をちゃんと持っているキャラだということが分かってきた。

しかし、取り調べの過程にて、ミーチャにイライラが次第に募っていき、ミーチャに決定的に不利な証言が取れ、そして言い訳をするには余りにも苦しい証言をしてしまう。


殺人事件の前後の詳細は書かれていない。なので読者にもいったい誰がフョードルを殺害したのかは分からない。
ミーチャではないんだろうなぁとはうすうす思っているのだが、そのミーチャの言い訳とも取れてしまう証言が出てきたあたりから、自分も実はミーチャが怪しいんじゃないかと思い始めてしまった。

そんな読者を引きこむようなうまい流れで中巻が終わった。
いったい誰が殺人を犯したのか?事件の詳細はどうなっているのか?
この時点では全く推察ができないまま、下巻に続くことになった。
そんなんで、ミステリーなのかジャンルはうまく分からないが、中巻でいきなり引き込まれてしまいました。