胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

H. pylori陰性がん -未感染胃の微小褪色域-

2015-12-03 | 胃未分化型癌
 萎縮のないH. pylori未感染と思われる胃粘膜にみられた2-3mmの退色域からの生検です.この領域の第一人者に聞くと「きれいな胃粘膜内で白く輝いてみえる」そうです.
 一瞬でsigと診断できる生検組織像ですが,これを間違うと病理医生命が危うくなりますし,内視鏡の先生に納得してもらうため,さらに若い病理医への指導のため,特殊染色・免疫染色しました.PAS陽性の中性粘液をもち,AE1/AE3(左下)陽性です.これでいいのですが,右下のCD68染色を見ますと,うっすら染まっている細胞があります.もしxanthomaと思い込んでCD68染色だけすると失敗する可能性が出てきます.一般的ではないので提示していませんが,MUC5ACも上の方で染まっていました.
 免染の評価も大事ですが,signet ring型の細胞が粘膜深部から表層に向かって大きくなっている(粘液が豊富になっている)ことをみることが重要です.
 なお,最近の「胃炎の京都分類」では,H. pylori statusを未感染,現感染,既感染(除菌後,自然除菌後)に分類することを重視しています.病理もそれらに対応することが必要です.

 下の写真はこの前立ち寄った「瀬田駅」です.JR西ではなく,JR九州(豊肥本線)です.熊本県大津町にあります.
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