満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『自転車少年記』

2006-05-07 02:04:05 | 

小説の感想です。

『自転車少年記』(竹内真著、新潮社)

四歳の昇平は、初めて乗れるようになった自転車で急な坂を下り、坂の終点にあった家の生垣に突っ込む。それがその家の息子で同い年の草太と、ひとつ年上で隣に住む女の子、奏との出会いだった。
この出来事をきっかけに、昇平と草太は家族ぐるみで付き合うようになり、ともに成長していく。いつかあの坂を楽に登って下れるようにと、自転車にのめりこむふたり。中学では自転車屋の伯父を持ち自転車に詳しい信男と知り合い、高校ではついに自転車部を作る。その後進路が別れても、ふたりと自転車との絆は切れず、成長とともに関わり方を変えてゆく。

そんな爽やか成長物語です。
いやあ、面白かった。ホント爽やか。NHKで朝ドラにしたらいいと思うよ!(笑)
冒頭のシーンからして、初めて自転車に乗れるようになった昇平の高揚した気持ちが伝わってきて、こっちまで風を切って自転車を漕いでいるような気になります。直情型で行動派の昇平と、思慮深く慎重な草太と、それぞれの視点から語られるのですが、成長するにつれ、自転車のことばかりではなく、ふたりのどちらにとっても気になる女の子、奏との関係や、お互い以外の友達との付き合いや、世界はどんどん広がっていきます。それが楽しい。
時には壁にぶち当たってどうにもならずに悩む時もあるのですが、悩んで悩んで、それすらバネにして立ち上がる彼らの強さが頼もしいのです。おさななじみっていいね!(※ギャルゲーの話じゃないですよ←当たり前だ)

全編を通して一応 昇平→奏←草太 という図式があるにも関わらず、これを含めて人間関係でドロドロ感は全くありません。そこがあまり現実的じゃないかもしれませんが、ドロドロなんてお呼びじゃあないのです。だって自転車乗りだもん!(笑)

これからの暑くなる季節、読みながら彼らと一緒になって風を感じてみるのもいいのではないでしょうか。おすすめ!


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