人間の考え方、社会のあり方は習慣によって成り立っている。それは長い歴史の産物である。韓国は大国の権威によって自己正当化を図ってきた歴史と、そうせざるを得なかった歴史への恨みが過激な内面を作ってきたようである。日本は島国であるが故に守られてきた万系一統の神統記によって歴史を積み上げて従順穏和な民を育ててきた。その代わり個人個人の自立的自信は希薄である。赤信号みんなで渡れば怖くない的人間が多い。先進国の中で自分に自信を持てない若者が最も多いのもその表れである。集団となると神国日本という誇大妄想に憑かれて突っ走る危険性がある。無縁社会といわれ人間関係は希薄になったが自立心がないだけ全体に流される。熱しやすく冷めやすいというお祭り根性もそれに拍車をかける。日本人がお祭り好きなのは祭礼という祖霊信仰という伝統のたまものである。鬱屈した日常からの解放を求めて軍国主義に走る可能性は大きい。
歴史とは催眠術のようなものである。僕は従順穏和な人間ではない。社会的習慣の外側に放り出されて育ったから歴史の催眠にかからなかったからである。しかし孤立化を避けるために従順温和なふりをしてきたようである。催眠現象を学ぶことによってそれを自覚した。
「入門催眠術」の冒頭に動物催眠術が紹介してある。ゴキブリ、鶏、蛸、ウサギへの催眠術のかけ方である。ゴキブリに対する催眠のかけ方はこうである。「裏返しにして、腹を割り箸のような平たい押さえやすいもので30秒から10分動かなくなるまで抑える。静かになったら割り箸をそっと離すとゴキブリはそのまま死んだように静かにしている。」これが催眠術だという。「同じゴキブリに、一週間くらい、毎日この催眠術をかけると、さっとひっくり返すだけで催眠状態になる。」という。おそらくひっくり返った状態はゴキブリの頭を麻痺させるのだろう。要するに催眠とは頭を麻痺させることであり、条件付け(暗示)の繰り返しでかんたんに催眠状態に入るようになるということ、習慣の積み重ねといえるだろう。動物相手の場合は気合いなど音声による条件付け有効な手段になるようだ。
人間の場合にはさまざまな催眠現象がある。ある意味で人間世界は催眠現象であるといっていいだろう。「入門催眠術」にはさまざまな例が書かれている。芸能スポーツはもちろん政治も催眠現象で成り立っているのである。英雄やスーパースターは大暗示者であるという。しかし最高の暗示者はマス・メディアであるという。スーパースターたちはマス・メディアによって造られているのである。コマーシャルなど典型的な催眠術である。
人間は生まれてからさまざまな催眠術をかけられて成長する。家庭では母親からの催眠は最も大きいだろう。学校教育も催眠である。催眠にかけられやすい子供ほど成績がいい。社会人となれば仕事場が催眠の場となる。長くつとめればつとめるほど、催眠状態は強まり、退職後もその催眠状態から離れられず、ワークホリックになってしまう。だから個人的趣味を持つ必要があるのである。
このように人間が生きるとは催眠であると言っても過言ではないだろう。それゆえに催眠を知ることは幸福な人生につながるだろう。
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