思い出話。沖縄シャンソンのメッカ「銀巴里」での出来事。石坂真砂さんがご高齢の為、娘の美砂さんが店を仕切り、その頃、時々お邪魔していたHACHI公がある晩飲みに行けば、カウンターに「尾崎紀世彦」が冗談のように一人で座っておる。美砂さんに聞けば、だいぶ前からの常連さんであり、沖縄に潜りに来れば必ず顔を出すとの事。尾崎氏有名人なので、過去に有名人であるがゆえに、多分嫌な思いもしたのであろうか、最初怪しいHACHI公に警戒心などお持ちのようで、なかなか打ち解けぬ空気もあったがHACHI公のくだらん親爺ギャグで30分後には一緒に飲み始める。潜り・スッー(シチュー)芸能界レコード大賞など3人で馬鹿話。話している内に分ったのだが、実は尾崎氏、ハワイの出身で本名「ルーカスなんとか」で現地のフラのトラディショナルソングのシンガーであってその実力を買われ日本で「尾崎紀世彦」に変身。以後は皆様よく御存じの事と思う。
ここからが本題です。「古いお友達の美砂と新しい友達のHACHI公に歌を」と言って引き語りを始めてくれたのだが、死ぬほど素晴らしい歌であった。ハワイの現地の言葉の民謡なのか、我々が知っているシャウトして「心罠に顔~離すだろ~」の唱法ではなく、囁くように力強く(矛盾する表現ですが、こう書くしかない)聞き手の心に直接コンタクトしてくる詩(歌)であった。沖縄でも良い三味線を開鐘と呼んだり、いい楽器は遠くまで音が鳴り響く事実はご存知と思うが、尾崎氏の歌も遠くまで響いた。どうやって知ったかって?わはは、酔っぱらいHACHI公、無礼にも尾崎氏歌っている途中でおしっこに行った出すよ~。うげげ。銀巴里結構広い店で、カウンター席からトイレまでだいぶ離れていますがな。おしっこしながら聞こえる歌声、先ほど傍で聞いていた時と変わらぬぐらい耳元で響きHACHI公、完璧に脱帽。これまでの話嘘だと思ったら石坂美砂に聞けばよろしい。証言してくれますよ。
最後にイヤミ。HACHI公のお友達のボーカルの皆様。このような歌い手になって下さいね。うぷぷ。