鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー第二十話

2019-12-16 12:17:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



二次創作
宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー

第二十話


「総統!ヤマトです!」
「ヤマトが援軍に!」
慌ただしく総統護衛隊侍女の一人が告げた。

「のようだな。」
軽く安堵の表情を覗かせたアベルト。
だが、その安堵の表情も束の間、オペレーターによる味方艦、爆沈の報告が相次いで飛び込んだ。

「後衛で相次いで味方艦の爆沈ッ!!」
「レーダーには何も捉えてません!」

「タラン参謀!先行する猟犬に始末させろ!」
「我、デスラーズはデスラー砲発射準備だ!!」
「ヤマトとヤマトの艦載機らに通達、上手くやり過ごせとな。」

「ザーベルク!」



戦闘甲板が更に開き、格納されていたデスラー砲=波動砲がカタパルトに接続され、競り上がる。





「司令!ヤマト艦載機隊、ヤマトに帰投!」
「ヤマト後退をはじめましたッ!!」
「ガミラスの動きにも変化が、出て来てます!」

「うむ。」
「最上部司令塔を格納せよ!」
「奴(ガミラス)は波動砲を使う気だ!」

「御意!」


デスラーズ後衛艦が相次いで撃破されて行く中、デスラー砲が発射された。
漆黒の闇夜を切り裂き、真一文字に惑星要塞艦ゴルバを目掛け、突き進む極限まで濃縮、圧縮された波動エネルギー弾。
蛍光ピンクに輝くプラズマ波を纏い、空間に浮遊するデブリ、星間物質を融解、凪払い直撃した。
輝かしい閃光が視界を遮る。
やがてその遮られた視界が回復、勝利を確信したデスラーズの兵たちは、無傷の姿を現す惑星要塞艦ゴルバに、言葉を失った。




「フッハッハッハッハッ!!」
メルダーズの高々と笑う声が暗黒ガス雲内に響き渡る。

「無駄だ!我、惑星要塞艦ゴルバに波動砲は通じん!」
「ダークマター微粒子防御膜でコーティングされているからな。」
「貴様らご自慢の波動エネルギー弾など中和し弾き返すのだよ!」

「フッハッハッハッハッ!」




「そうか。奴らの狙いが解ったぞ。」

「古代艦長。意見具申。」

「どうしたんです?副長。」

「艦長。至急、スターシャたちの救出を!」
「遺憾ながらイスカンダル星を破壊、奴らの計画を阻止せねば、この宙域が、いや、この宇宙全体が狂わされる!」

「どういう事です!副長!」

真田は一度、目を閉じ、再び開けると、こう切り出した。
「自分の仮説が正しければ、今、新見君にも解析を頼んでいますが、このオクトパス星団の暗黒ガス雲。」
「この暗黒ガス雲の主成分はダークマターです。」

「奴らは、イスカンダル星を核(コア)にして、この暗黒ガス雲をトンネルにするつもりです。
簡単に云えば、"ビッグバン"を人工的に造りだし、新たな銀河、いや、新たな宇宙を造る。それが奴らの計画(もくてき)だ。」

「副長。もう少し分かりやすくお願いする。」

「奴らは、この宇宙を壊し、生き残った知的生命体のみを服従させ支配する事が目的だ。」
「そして、新たに造りだした宇宙をも支配、神にでも成るつもりだろう。」

「古の時代に"テレザート星の民たちが行ったように!」


【ビッグバン】

ビッグバンとは宇宙創造時にあったといわれる大爆発の現象である。

宇宙は非常に高温高密度の状態から始まり、それが大きく膨張することによって低温低密度になっていったとする膨張宇宙論(ビッグバン理論 (Big bang theory)における、宇宙開始時の爆発的膨張。インフレーション理論によれば、時空の指数関数的急膨張(インフレーション)後に相転移により生まれた超高温高密度のエネルギーの塊がビッグバン膨張の開始になる。
その時刻は今から138.2億年(13.82 × 109年)前と計算されている。

ビッグバン理論では、宇宙は極端な高温高密度の状態で生まれた、とし(下)、その後に空間自体が時間の経過とともに膨張し、銀河はそれに乗って互いに離れていった、としている(中、上)。
遠方の銀河がハッブル=ルメートルの法則に従って遠ざかっているという観測事実を一般相対性理論を適用して解釈すれば、宇宙が膨張しているという結論が得られる。
宇宙膨張を過去へと外挿すれば、宇宙の初期には全ての物質とエネルギーが一カ所に集まる高温度・高密度状態にあったことになる。
この高温・高密度の状態よりさらに以前については、一般相対性理論によれば重力的特異点になるが、物理学者たちの間でこの時点の宇宙に何が起きたかについては広く合意されているモデルはない。

20世紀前半までは、天文学者の間でも「宇宙は不変で定常的」という考え方が支配的だった。1948年にジョージ・ガモフは高温高密度の宇宙がかつて存在していたことの痕跡として宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) が存在することを主張、その温度を5Kと推定した。このCMB が1964年になって発見されたことにより、対立仮説(対立理論)であった定常宇宙論の説得力が急速に衰えた。
その後もビッグバン理論を高い精度で支持する観測結果が得られるようになり、膨張宇宙論が多数派を占めるようになった。

ダークエネルギーが観測される以前は、宇宙論研究者は宇宙の未来について二通りのシナリオを考えていた。
宇宙の質量密度が臨界密度より大きい場合には、宇宙は最大の大きさに達し、その後収縮し始める。
それに伴って宇宙は再び高密度・高温になってゆき、宇宙が始まったときと同じ状態(ビッグクランチ)で終わる。
またあるいは、宇宙の密度が臨界密度に等しいかそれより小さい場合には、膨張は減速するものの止まることはない。
宇宙の密度が下がっていくにつれて星形成は起こらなくなる。
宇宙の平均温度は絶対零度に次第に近づいていき、それとともに、より質量の大きなブラックホールも蒸発するようになる。
これは熱死あるいは低温死 (cold death) として知られるシナリオである。
さらに、陽子崩壊が起こるならば、現在の宇宙のバリオン物質の大多数を占める水素が崩壊する。
こうして最終的には放射だけが残る。

現在の加速膨張の観測結果からは、今見えている宇宙は時間とともに我々の事象の地平線を超えてどんどん離れていき、我々とは関わりを持たなくなることが示唆される。
最終的な結果がどうなるかは分かっていない。
Λ-CDM宇宙モデルは、宇宙定数という形でダークエネルギーを含んでいる。
この理論では銀河などの重力的に束縛された系だけはそのまま残され、宇宙が膨張して冷えるに従ってやはり低温死へと向かうことが示唆される。
幽霊エネルギー (en:phantom energy) 説と呼ばれる別のダークエネルギーの説明では、ダークエネルギーの密度が時間とともに増加し、これによるビッグリップと呼ばれる永遠に加速する膨張によって銀河団や銀河自体もばらばらに壊されてしまうとしている。




第二十一話へ
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。

追憶の堕天使たちー第一話②ー

2019-12-15 16:36:00 | オリジナル

追憶の堕天使たち

第一話②


夢魔サキュバスによる幻影洗脳(がくしゅう)が行われている中、ルシファーは屋敷へ姿を現した。

「ミカエル。幻影洗脳(がくしゅう)は進んでいるようだね。」
「今から同時にガブリエルの戦闘能力を強化する。」

この火星(せかい)では僅か12日なのだが、ルシファーたちの天界(せかい)では一年である。
そう。既にルシファーたちは十三日即ち一年と一ヶ月を費やしている事に成る。
そのルシファーの計画では、ガブリエルを理想の近衛兵長に育て上げるのに、あと七日、その後、人間と戦争をさせ、奴隷と成る人間を採取するのに六十日と考えている。
そして、十日を費やし、神々の王ゼウスを倒す。
トータルで百日「百年戦争」の終結。
そして、その暁には今は肉体こそ滅んでしまったが、魂としては未だに生き続ける母親の復活を成し遂げ、女王としての母親を君臨させる。
これがルシファーの計画(ねがい)である。



「そう云えば、ルシファー様。今日はご誕生際ですね。」
笑顔を見せ、ミカエルが云った。

「ああ。288歳と云うべきか?はたまた23歳と云うべきかな!?」
「まぁ。どちらにしても完全な悲願達成まで七十九日だ。百年戦争終結後、二日間の再生時間、この私が1.500歳の日を迎える日、私の悲願は達成される。」

「ルシファー様。」
ルシファーに歩み寄り、ルシファーの背中に右の頬を埋めるようにあてがうミカエル。

そして、夜が明け、また一日がはじまる…


ガブリエルが眠りに入って丸二日間が過ぎ、夢魔サキュバスの送り出す幻夢により、ガブリエルの心(A.I)には着実に愛が育まれいる事が、伺えた。
無意識の内に身体を動かしたり、閉じる瞳から無色透明な潤滑油(なみだ)を時折、流していた_。
その間に、ガブリエルの護衛チップと格闘・戦闘チップのアップデートが施され、強化アーマープロテクトが新たに造られた。

ルシファーはミカエルに夢魔サキュバスを呼び出させた。
床に片膝を着け、頭(こうべ)を深々と垂れるサキュバス。

「ルシファー様。御呼びで御座いますか?」

「ガブリエルの強化プログラムに移行する。」
「ガブリエルには私に抱かれた感覚を与え、その後、私をゼウスに殺させろ。」

「ぎょ…御意。」
青ざめた顔を覗かせ、震えた声でサキュバスは返事をした。




想い人ルシファーに身を委ね、すべてを受け入れるガブリエル。
ルシファーの背中に腕を回し、やがてガブリエルの身体は弓なりに…
小刻みに揺れるガブリエルの身体…
ルシファーの優しい笑顔…
ガブリエルの頬に伝わる涙…
ルシファーとガブリエルの唇がやさしく重なりあう…

ゆっくりと瞳を開けるガブリエル…

だが、同時にルシファーの首が飛ぶ…。

「あああああーーーッ!!」

眼を見開き、叫びを上げるガブリエルは同時に大剣を天高く掲げる男の姿を目の前に観た。

「遂に儂の邪魔者。ルシファーの首、捕ったぞ。」
「フッハッハッハッハッ!!」

「このゼウスこそが、この世界を治めるに相応しいのだ!」

「フッハッハッハッハッ!!」

「儂にく跪ずけ!」
「さすれば、命だけは助けてやる!」
「逆らえば、お前が育んで来た愛を感情をすべてを壊す!」
「ルシファーがお前に与えたすべてを壊す!」

「さあ!跪付け!地面に頭を擦り付け誓え!」
「そして、そこにある長剣を取り、ルシファーを刻め!」

ガブリエルは身体を震わせるだけだった。

「どうした?すべてを壊すぞ!」
「誓え!」
「わたくしガブリエルはゼウス様のシモベ。ゼウス様の愛人。ゼウス様の児を産み、児はゼウス様の奴隷に捧げます。」と。

ガブリエルは震えながら裸体のまま、頭を床に着け、ぼそぼそと何かを口にした。

「ガブリエルよ。聞こえぬぞ。」

それでもガブリエルはぼそぼそと何かを呟くのを止めなかった。

「孤独に怯えた月は 空を抱きしめながら
涙で見えない 貴方を探して叫んだ
貴方の瞳に映る私は 笑っていた
もう二度と逢えぬ 微笑を前に
暗闇で叫び続ける 貴方が見える遠過ぎて…」

「壊れるほど私を 強く抱きしめて
もう一度逢えるなら 夢の中でいい
永遠の眠りをください
壊れるほど私を 強く抱きしめて
夢から醒めては消える 貴方の笑顔も
愛し過ぎる その声も
もう一度 逢えるから 約束したから
溢れるほどの愛で 優しく包んで」

「永遠の眠りをください 貴方が見えない…」

「貴方が見えない…」

「聞こえぬか?」
大剣を掲げる男はガブリエルを覗き込むように屈んだ。

ガブリエルは少し顔を上げ、「ならば__。」

ガブリエルはゼウスを睨み上げると、素早く床に落ちる長剣を拾い上げると、一気にゼウスの方へ走りだし、天高くジャンプしながらゼウスに斬りかかる。
思わずのけ反るゼウス。
長剣は振り下ろされ、ゼウスの一物を斬り墜とした。
ゼウスの断末魔の叫びとも思える叫び声が、響き渡る中、ガブリエルはルシファーの声を聞いた。

「もう一度、逢えるから…」

その声が聞こえると、辺り一面は闇に包まれ、何事も無かったように静けさが、ガブリエルを包み込んだ。


震えるガブリエル。
涙を流して震えるガブリエル。

「どうした?ガブリエル?」

聞き覚えのある声がガブリエルのメインA.Iを刺激する。
「う~ん。」と一言、発するとガブリエルは眼を覚ました。

「……僕…君!?」

ぼんやりとルシファーの顔が浮かび上がる。

緩やかな笑顔を覗かせ、涙が頬を伝う。

「逢いたかったよ。僕…君…ルシファーぁぁぁぁぁーーーッ!」

「ごめんよ。ガブリエル。」
「寂しい思いをさせて。」
ルシファーは、そっとガブリエルを抱き寄せ、髪をなでた。

正常に戻るA.I
ガブリエルは、とっさに無意識にルシファーを突き放す。

「……僕…君。」
「私としたことが…ごめんなさい。」

ルシファーは怒る事はしなかった。
「いいよ。大丈夫だから。」

「夢を見ていたんだね。」
「酷くうなされていた。でも、もう大丈夫だから。」

「僕がガブリエル。君を守るから。」

「僕…ルシファーさん。それは駄目。お守りする仕事は私の仕事。」

「アハハ。」
「ガブリエルは真面目だね。」
「なら、こうしよう。」
「ガブリエル。君は僕を守る。僕はガブリエル。君を守る。」
「お互いが愛し、お互いが守る。」

「…うん。」
少し、躊躇いがあったようだが、ガブリエルはルシファーが、そう云うのならと、A.Iに自己プログラムした。

夜景を二人は楽しんでいた。




「あら、二人とも此処に居たんだ。」
そう云いながらミカエルが姿を表し、近づいて来る。

「もう少し、僕君と二人きりで居たかっつな。」と、思うガブリエル。

そんな事はお見通しのミカエルはわざと二人の仲を羨んだ。

「ミカエル。ガブリエルにはあと二回、同じ夢を観せるんだ。」
「但し、二回目のラストはゼウスの顔を私の顔と入れ替えてな。」
ルシファーとミカエルは感応波を持ち入り、会話した。
「貴女とゼウスを入れ替えて?」
「そう。悲しみ、憎しみ、そして「怒り」だけでは勝てない事を。怒りをコントロールする術を身に着けさせる。」
「そうでなければ、本物のゼウスは倒せん!」

冬の夜空(このじき)に流れる"双子座流星群"をガブリエル、ルシファー、ミカエルの三人は眺めていた_。


第二話へ
つづく。

ーあとがきー

この物語りは、趣味を含むオリジナル作品です。

冒頭に引用書きした闇の柊焉
RETURNER~闇の終焉~
作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.Cの曲を視聴した時、"これだ"と感じた、この物語りのヒントと成ったのをきっかけに加え、古の神話を今時風の神話を書いてみたいとの思いから、書いてみる事にしました。
使用している画像は挿し絵的イメージです。
また、一部の画像は、インターネット内に出回っている数有る画像から引用したものです。
※一部、Wikipedia及びYouTubeより引用。

完成しました(^^ゞ

2019-12-14 20:26:00 | 宇宙戦艦ヤマト空想設定メカ



【地球連邦防衛宇宙軍:太陽系無人艦隊第一群旗艦 戦略・戦闘指揮艦紀伊。】
※試作戦略・戦闘指揮初号艦

艦種:超ヤマト型宇宙戦艦

識別番号:BBYα-01

全長:390.00m

艦体幅:43.60m

最大幅:61.77m(安定翼展開時:87.72m)

艦体高:94.54m

最大高:120.00m

最大速力:亜光速

乗員:99名(パイロットを含まず)

主機関:改・ロ号艦本イ400式次元波動缶(通称:波動エンジン)×1基

副機関:艦本式コスモタービン改×8基・2軸(核融合推進方式)

兵装
改・次元波動爆縮圧縮薬莢式放射機(200糎口径、通称:波動砲)×1門
※二連射が可能

主砲48糎三連装陽電子衝撃砲塔×6基
(艦首部×2基 艦尾部×2基 艦底部無人艦隊管制艦橋両舷各1基)

副砲:20糎三連装陽電子衝撃砲塔×2基

空間魚雷発射管×12門(艦首および艦尾両舷)

八連装ミサイル発射塔×1基(煙突部)

ミサイル発射管×8門(艦底)

94式爆雷投射機(マスト付け根)

12.7糎四連装高角陽電子速射砲塔×8基

8.8糎三連装高角陽電子速射砲塔×6基

12.7糎連装高角陽電子速射砲塔×12基

7.5糎連装高角陽電子速射砲塔×10基

7.5糎三連装陽電子速射機関砲塔×4基

司令塔近接防御火器×2基

艦載機
艦載艇
艦載車両
零式52型空間艦上戦闘機 コスモゼロ×32機(+予備機4機)
空間汎用輸送機SC97 コスモシーガル×2機
100式空間偵察機×2機
キ8型試作宙艇×1機
90式内火艇×2隻
作業用装載艇×6隻

特殊装備
波動防壁(次元波動振幅防御壁)

亜空間ソナー



宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第八番浮遊大陸戦線ー第六話(最終話②)
19/11/05 15:26

宇宙戦艦ヤマト2202外伝
ー第八番浮遊大陸戦線ー

第六話(最終話②)


ガス雲を抜ける間際、立て続けに二隻を爆沈で失い、更に追い打ちを掛けるように四隻を失った。

「……。」
「管制艦橋、無人艦隊の隊形を解除、散開せよ!」
「第二戦速から速力いっぱいへ上げ、各個に砲撃を開始せよ!」
「それと艦長席に管制パネルを転送し、連動させよ。」

「了解!」

「通信士!第一から第三コスモ零隊に通達!全機、旗艦紀伊より、離脱、各個に足遅い艦艇から沈めよ!」

「了解!」

土方の頭に甦った古代らの会話から、空間を跳躍する兵器=火焔直撃砲の対策案を土方なりに試みていた。

艦隊を散開させ、速度を上げる事で各艦のコントロールは難しくなるが、相手は座標設定が困難となる。
そして、もう一つ思い出した事がある。

「速度が、速度が速すぎる!」
「コントロールに支障が!」

「落ち着くんだ!管制が焦っては勝てる戦も勝てん!」
「儂が、この土方がサポートする!」
「自分たちの能力を信じるんだ!」
その時であった目の前の空間が時空間変動の兆しを伺わせた。
「グニャり。」と僅かに歪んだ。
土方は転送されたコントロールパネルを見つめながら、チェスの駒を動かすように歪んだポイント前のドレッド・ノート級を一マス右に動かした。
火線が霞めてゆく。
狙われたドレッド・ノートの撃沈はまのがれたが、かなりの被弾が伺えた。

「管制!土方だ!」
「そちらでも確認出来たと思うが、あの火線は空間跳躍する時に兆候が見られる!そのタイミングで二マス動かすんだ!」
「二マスなら被弾は無いはずだ!」

「了解!やってみます!」


「………。」
「当たらぬ…が、しかし地球艦(テロンのふね)は戦闘機か?」
「これだけ入り乱れて動き回れては、火焔直撃砲も役に立たぬか。」

「ポランド!サフォーク!聴こえるか?」
「あの一番デカイ地球艦(テロンのふね)の足を止めろッ!!」
「なぶり殺しにしてくれる!!」

「ブンブンと五月蝿いハエどもは大陸の奴らに任せておけ!」

【第八番浮遊大陸占領部隊・第三都督ジャジャ】

【ジャジャ】
ガトランティス第七バルゼー機動艦隊第747偵察隊所属。
第三都督。(浮遊大陸占領部隊指揮官の一人で三番目の都督。)
都督に昇格した事で、メダルーサー級殲滅型重戦艦メガルーダーを与えられた。
特務偵察隊司令で自身が座乗するメダルーサー級ジャジャ艦の艦長を兼任する。
女性型複製体。(クローン兵)
年齢は地球人に換算して24歳相当。
紅い髪色でロングヘアが特徴。
瞳は黒。
※純粋体ではなく複製体サーベラーのD.N.Aを遺伝子組み換えを行い造られたクローン兵。



「ジャジャ様は相当、ご乱心のようだな。」
「そのようで。」
サフォークは「ニヤリ。」と笑みを浮かべた。

「沈め!沈め!」
「アハハハハハーーーッ!!」
怒りに任せ、巨大五連装砲を乱射するジャジャ。



「あの厄介な砲撃が止んだか。」
「航海士!速度を第一戦速に落とせ!」

「管制艦橋!ドレッド・ノートの速度を第一戦速に落とせ!」
「再度、砲雷撃戦を仕掛ける!」

だが、この土方の判断が、このあとに待ち受ける惨劇を生む、きっかけと成ってしまう。

「機関区に被弾!」

新たに命令を下した矢先、紀伊は機械区に直撃弾を喰らってしまう。
火星アステロイドエリアで一戦を交えた、ククルカン級と大陸に戻り、同じくククルカン級を与えられたサフォークの艦にガス雲を利用され、回り込まれていたのだ。

「後方へ回り込まれた!」

「……奴ら、いつの間に。」
土方は目を細め、呟いた。
「艦長!至急、機関区にダメージコントロールへ向かわせろ!」

「り、了解!」

「通信士!第三迎撃隊(山本隊)を呼び戻せ!」

「了解!」



「くっ!」
「此方、山本了解した!」

「第三迎撃隊、全機当該空間から離脱!」
「旗艦紀伊の護衛に回れ!!」

「ラジャー!」「ラジャー!」



「機関区、ダメージコントロール追い付かない!」

第一艦橋内は艦内報告と命令が乱舞していた。

「司令!あのガトランティス大型艦は空母の能力を有しているようです!」
「タイプ・デスバテーター12機、急接近ッ!!」

「対空防御!波動爆雷を撒き散らせ!」

「コントロール管制艦橋に被弾!!」
「半数以上のコントロールが不可能!!」

「機関長!機関区の状況は?」

「波動エネルギーの流出は止まりましたが、波動エンジンの出力は42パーセントまでダウン!」
「武器の使用を控えれば78パーセントまでの回復が見込めます!」

「もはやこれまでか…。」

「艦長。全コスモ零を帰投させよ!」
「遺憾ながら、当該宙域を離脱する!」

「えっ!?司令、今何と?」

「撤退だ。」

「撤退ですか?」

「そうだ。撤退だ。」
「コントロールを失い瞑想する艦隊が半数以上だ。これでは負けたも同然。」
「これ以上の犠牲者は出さん!」

「………。」
「了解しました。」
うつむき加減で艦長は撤退命令を下した。

「艦長!置き土産を置いてゆく。」

「管制艦橋!コントロール可能な残りの艦(ふね)のコントロールを切れ!」

「緊急ワープと波動砲発射準備!」
「目標!無人ドレッド・ノートアルファ隊!」
「航海士!波動砲発射と同時に緊急ワープだ!」

「総員!対ショックに備えッ!」
「波動砲、発射ーーーッ!!」


◆◆◆◆


地球初の無人艦隊旗艦:戦略・戦闘指揮艦紀伊は主機の故障に苦しみながらも火星圏にワープアウト。
任務を断念して火星アルカディアベースに入港した_。

一週間後、土方は地球連邦防衛軍中央司令部より、第十一番惑星へ出向命令が下された_。


~fin~




オマケ





追憶の堕天使たちー第一話ー①

2019-12-12 21:05:00 | オリジナル

追憶の堕天使たち

第一話


ルシファー、ミカエルを介し私の中で感情というものが、芽吹き育って行くのが分かった。

「…僕君、遅いなぁ。」
「ミカエルさんとメガロポリスの様子を観に行くと云って、三日が過ぎた…。」

ー天空の塔・最上階ー

ガブリエルが想いにふけるころ、ルシファーとミカエルはメガロポリスではなく、天界に戻っていた。

「ミカエル。ガブリエルは順調に洗脳(せいちょう)しているようだな。」

「はい。仰せの通り、進めております。」
「そろそろ、愛が芽吹く頃かと。」

「愛か。育ませろ。」
「焦らしながらな。」

「承知致しました。」
ミカエルは胸の前に右手を当て、腰から深く頭(こうべ)を垂れ、「スー」と姿を消した。

ミカエルの気配を感じなくなるとルシファーは、天空に輝く"明けの明星"を眺めてた。
爽やかな風がルシファーの銀色に輝く長く美しい髪が、かきあげられた。
左の口角を上げ「フッ」と一息、漏らした。

「もう少し、もう少し、お待ち下さい。母上。」
「必ず、貴女(あなた)の悲願を達成致します。」
明けの明星を見つめながら、心の中で呟くルシファー。

◆◆◆◆

一足先に地上へ降りたミカエルは、ガブリエルを待たせている屋敷へ向かった。

「ガブリエル。ただいま。」

その声に笑顔が戻るガブリエルはミカエルに走り寄った。

「お帰りなさい。ミカエルさん。」
「……。」
「僕…ルシファーさんは、いっしょじゃないのですね。」
ガブリエルは、少し寂しげな顔を覗かせた。

「安心なさい。すぐに戻るわ。」

ガブリエルは、無意識に笑みを浮かべた。

「あら。ガブリエル。貴女(あなた)顔が紅いわよ。」
「熱でもあるの?風邪でも引いたかしら?」

「…ミカエルさん。私、アンドロイドよ。」
「風邪は引かないわ。」

「そうかしら?」
そう云いながらガブリエルのおでこに手の掌をあてがった。
目を「パチクリ。」させるガブリエル。
「スー。」と全身の力が抜け、スリープモードに切り替わるガブリエルは、膝から崩れるように床に倒れた。

「うふふ。」
「可愛い寝顔だこと。」

「幻影と愛を育ませなさい。」
ミカエルはガブリエルの電脳をハッキング、ネット幻影を直接、A.I回路に投影した。

ー幻夢の世界ー

蒼い薔薇が辺り一面に咲き、眩しい光が射し込む。
その一面に咲く薔薇の真ん中に「ポツン。」と純白なシルクのウェディングドレスに身を纏うガブリエルが、立っている。

眩しい光に視覚を刺激されたガブリエルは、ゆっくりと目を開けた。

「…ここは。」
「ここは何処?」

「私、ドレスを着ている…。」

「えっ!?でも、待って私、此処に居る。」
「…あれは誰?」
「あれも私!?」



こんな感覚は今までに体験した事もなく、困惑するガブリエル。
それもそのはず、電脳ではあるがA.Iが制御する人工の脳、夢を視る事などあり得ないのだ。

いや、二十四時間、フル稼働の日々と電脳=人工の脳が夢など視るはずもないと、決めつけ、そのように結びつけただけなのかも知れない。

しかし、夢とは睡眠中あたかも現実の経験であるかのように感じる、一連の観念や心像と云える。
従って、アンドロイドが、人工の脳が夢を視る事も不思議な事ではない。

夢とは、睡眠中にもつ幻覚のこと。
将来実現させたいと思っていること。
願望。願い。
視覚像として現れることが多いものの、聴覚・触覚・味覚・運動感覚などを伴うこともある。
通常、睡眠中はそれが夢だとは意識しておらず、目覚めた後に自分が感じていたことが夢だったと意識されるようになる。
しかし、稀にではあるが自分が今見ているものが、夢であることを自覚することが出きる場合もある。

未開人や古代人の間には、睡眠中に肉体から抜け出した魂が実際に経験したことがらが夢としてあらわれるのだという考え方は広く存在した。
「神のお告げ。 」
夢は神や悪魔といった超自然的存在からのお告げである、という考え方は世界中に見られる。
古代ギリシアでは、夢の送り手がゼウスやアポロンだと考えられていた。
『旧約聖書』でも、神のお告げとしての夢は豊富に登場する。
有名なところでは、例えばアビメレクの夢のくだりなどがある。
中世の神学者トマス・アクィナスは夢の原因には精神的原因、肉体的原因、外界の影響、神の啓示の四つがある、とした。
古代の北欧でも、やはり人々は夢解釈に習熟しており、ある種の夢に関しては、その解釈について一般的な意見が一致していたという。
たとえば、白熊の夢は東方から嵐がやってくる予告だ、と共通の認識があったという。
ネイティブアメリカンの一部の部族には、夢を霊的なお告げと捉え、朝起きると家族で見た夢の解釈をし合う習慣がある。
古代ギリシャにおいて夢は神託であり、夢の意味するものは、そのままの形で夢に現れているため「解釈を必要としない」(アルテミドロス)と考えられていた。
そして、心理学における夢の理解では、
深層心理学においては、無意識の働きを意識的に把握するための夢分析という研究分野がある。
夢分析の古典としてはジークムント・フロイトの研究、あるいはカール・ユングの研究が広く知られている。
そこでは夢の中の事物は、何かを象徴するものとして位置づけられている。
これらは神経症の治療という臨床的立場から発展しており、夢分析は心理的側面からの神経症の治療を目的とした精神分析のための手法の一つである。
フロイトは『夢判断』で、人が体験する夢を manifest dream(顕在夢)と呼び、それは無意識的に抑圧された幼児期由来の願望と、この願望と結びついた昼間の体験の残滓からなる夢のlatent thought(潜在思考)が、検閲を受けつつdream work(夢の仕事)によって加工され歪曲されて現れたものだとした。
カール・ユングは、夢は、意識的な洞察よりもすぐれた智慧をあらわす能力があるとし、夢は基本的に宗教的な現象だとした。
ユングによると、人間の無意識のさらに深い領域には全人類に共有されている集合的無意識があり、古代から継承されたアーキタイプ(元型)が宗教・神話・夢といった象徴の形で現れるとされる。
ユング研究家の河合俊雄は夢の「ストーリー性」を重視し、ストーリーの変化は心の変化であり、夢分析で重要視されるとしている。
例えば同じテーマの夢を繰り返し見る「反復夢」では、ストーリーが月日の経過とともに変化していくが、「怖い夢」でも何度も反復してみるうちに、恐怖の対象が自分に対して実害がないことが分かり、それを楽しむことができるようにすらなる。
こうした変化で心理的な症状も変わってくることがあり、繰り返し見る夢がどう変わっていくか、心理療法における「夢分析」ではこの部分が大きな意味を持つとしている。
もう一つのポイントは「象徴性」で、例えば白蛇は普通の蛇よりも象徴性が高く特別な夢だが、スピリチュアルな意味や、癒やしの意味がある可能性がある。

だが、夢を見る理由については現在のところ不明である。
従って、行動を停止したスリープ状態のアンドロイド、人工の脳が、ネット内に飛び交う何らかの信号を偶発的に接触、可視化したものを"夢"として捉え、"夢"として感じても不思議ではない。


【夢魔サキュバス】
「うふふ。ミカエルさまも、意地の悪いお方…。」




ー火星メガロポリス中央都市ー

ここ数日で、複数のアンドロイドが失踪するという奇妙な出来事が相次ぎ、ようやく人間たちは事件とし、扱うように成った_。

しかし、二、三日もすると人間たちは失踪したアンドロイドたちの事など、気にも留めなくなって行った。
量産され続けるアンドロイドの一部が失踪したところで、自分たちの生活に支障を来す事がないからである。
直ぐにアンドロイドを製造する業者から政府を通じ、送られて来るからだ。

ルシファーの狙いは、そこにあった_。

この火星では人間たちは、子孫繁栄の為の行為の練習も、アンドロイドで行う。
その為、個々に差は有るものの、練習で納得出来れば、そのアンドロイドは廃棄される。
子孫繁栄のD.N.Aを残したまま。
ルシファーはそのD.N.Aを採取、保管した。
そして、廃棄されたアンドロイドを初期化、メンテナンスを施し、改良型を兵として育て上げて行った。

「愚かな人間たちよ。」
「せいぜい今の内に堕落を謳歌するがいい。」
「クックックックッ。」
不適な笑みを浮かべるルシファー。

「そろそろ、ガブリエルの所へ戻ってやるとするか。」
ルシファーは白銀に輝く十二枚の翼を拡げ、下界(かせい)へと降りた。


第一話②へ
つづく。

ーあとがきー

この物語りは、趣味を含むオリジナル作品です。

冒頭に引用書きした闇の柊焉
RETURNER~闇の終焉~
作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.Cの曲を視聴した時、"これだ"と感じた、この物語りのヒントと成ったのをきっかけに加え、古の神話を今時風の神話を書いてみたいとの思いから、書いてみる事にしました。
使用している画像は挿し絵的イメージです。
また、一部の画像は、インターネット内に出回っている数有る画像から引用したものです。
※一部、Wikipedia及びYouTubeより引用。