先週土曜日は、二人の懐かしい友がわざわざ訪ねてくれた。
二人とも少しも変わってないことに、まず驚いた。
時はおてんこ盛りに過ぎ去って、あれから僕らは、こんなに遠くまで生きてきたのに、この夜この場所には、小学生の僕等がいることを、友は気づいていただろうか。
そして、この夜、僕の幼い日の、淡い初恋の思い出が、薄いブルーの泡の中に静かに溶けていきました。
智子ちゃん…、僕らの、"小さな恋のメロディ"は、フェイドアウトしたばい。
でも智子ちゃん、確かにあれは、愛やったばい…
小三年の時、学校の講堂で、家なき子の映画鑑賞会の時、たまたま隣どうしになったのが、隣クラスの智子ちゃんだった。
…心臓が、バクバク、したばい…
大人になるほどに、傷つくことばかりを気にするから、八方美人になっていくものです。
でも、あの夏の日、智子ちゃん一筋だった、この少年Aは、入道雲と白いボールを追いかけることしか知らなかったのです。
…あれは、中学の野球部の練習の時ばい…
バスケ部の智子ちゃんが、体育館の入り口から、練習の合間に、こちらをじっと見ていたあの夏の日。
智子ちゃんと目がおうたばい。
…恥ずかしそうに、目をそらす智子ちゃんを今も忘れんばい…
ある日気づいたとばい。
智子ちゃんはいつも、バスケ練習の合間に、僕の方を見とったとよ。
智子ちゃんは、俺に惚れとる。
絶対俺に惚れとるばい。
小さな恋のメロディ…ばい。
マークレスターとトレーシーハイドばい。
キャッチャーなんてのは、大変なだけで、ちっとももてないポジションだった。
あゝ俺の人生は、ついに報われたと、思った。
しかもそれが、初恋の人に報われたのだ。
あれから人生、何百里。
遠く離れた東京で…。
赤い夕日に照らされて
ひとつでたほいのよさほいのほい…
どんな卑劣な愛に打ちのめされようと…
たとえどんな邪悪な恋に毒されようと…
あの日の智子ちゃんの偽りのない、真実の愛を人生の道標として、今日まで一途に生きてきたと言うのに…。
智子ちゃんは、ずっと、ショートの誠君が好きだったそうだ。
ジェジェジェ~
(; ̄ェ ̄)