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旧ソ連を震撼させたアフガニスタン侵攻失敗=死者数1.5万人、帰還兵はPTSD…2021.08.18服部倫卓

2022-03-27 13:15:10 | 連絡
2021.08.18 
服部倫卓。1964年静岡県生まれ。58歳。一般社団法人ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所で所長を務めており、主に機関誌の『ロシアNIS調査月報』の編集を担当。『不思議の国ベラルーシ ―ナショナリズムから遠く離れてー』、『ウクライナを知るための65章』(共編著)
 
など著作多数。趣味は音楽鑑賞(主に1950~1970年代のソウル、ロック、ポップス)と、サッカー観戦(清水エスパルスのサポーター)。ブログ は毎日更新。 


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旧ソ連を震撼させたアフガニスタン 侵攻失敗、帰還兵はPTSD…そして国家崩壊
アフガニスタン情勢は、反政府武装勢力タリバンが15日に首都カブールを制圧し、政権を掌握した。今回の事態を招いた直接的なきっかけは、米バイデン政権がアフガニスタン駐留米軍の撤退を決めたことだ。
しかし、より長期的な視点で見るならば、少なくとも1970年代末以来この地で続いている紛争の文脈でとらえるべきだろう。とりわけ、1979年から1989年にかけてソ連が行った軍事介入は、今日につながるアフガニスタン情勢混迷の種をまいた。
アフガン侵攻はソ連の側にも大きなダメージを負わせることとなった。本稿ではアフガン侵攻がソ連・ロシアのその後をどのように左右したかを考察してみたい。 
ソ連がアフガニスタン介入に踏み切ったのは、戦略的な要衝である同国における共産主義体制を維持することと、イスラム原理主義がソ連にも流入するのを阻むことが目的だったと考えられている
軍事介入には、ソ連の政権幹部内にも慎重論があった。しかし、最高指導者のブレジネフ書記長は病気がちであり、アンドロポフKGB議長、ウスチノフ国防相、グロムイコ外相らが取り決めた短期介入の方針を追認した。
2014年にプーチン・ロシア大統領がウクライナ領クリミアを決然と併合したのとは異なり、ソ連のアフガン介入決定は、ためらいがちなものだったわけだ。こうして、ソ連軍は1979年12月24日にアフガニスタンに侵攻した。
そして、アフガン侵攻は結果的に大国ソ連が崩壊に向かう大きな転機となった。軍事介入は西側陣営から予想以上に強い非難を浴びた。ソ連は西側から経済制裁を発動され、モスクワ・オリンピックもボイコットを受けた。
東西デタント(緊張緩和)は頓挫し、冷戦が再燃した。
1981年1月に成立した保守派の米レーガン政権は「スターウォーズ計画」を推進するなどして軍備を強化。経済が硬直化し行き詰っていたソ連にとって、米国との新たな軍備競争はあまりに重い負担となった。
アフガン侵攻も短期で限定的な作戦という思惑は外れ、長期化・泥沼化していく。10年近くに及んだこの戦争は、ソ連の国家体制を蝕(むしば)み、国の危機を加速した。結局、ソ連軍は1989年2月15日にアフガン撤退を完了するものの、その2年後にソ連は崩壊することになるのである。
さて、ソ連は自らの国益のためにアフガン介入を決めたのだから、それが一因となって国が崩壊したのも、いわば自業自得だろう。問題は、この戦争が社会に残した深い傷である。

アフガン侵攻によるソ連の戦死者は1万5000人ほどだったとされている。このほか、負傷者が5万人あまり、戦地で病気を罹患した者が42万人あまりに上った。
死者数1.5万人+負傷者数5万人+戦病者数42万人
=負傷・病・死者数合計48.5万人
ソ連にとってのアフガン戦争は、米国にとってのベトナム戦争になぞらえられる。山岳地の戦場は兵士にとって過酷なものだった。帰国後も心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負い、社会に適応できない者が少なくなかった。
悲惨な戦場を経験した人間がPTSDを患うのは、どんな戦争でも多かれ少なかれ生じることである。しかし、ソ連のアフガン戦争の場合には特殊な事情がある。アフガン撤退直後に、国の価値観も体制も一変してしまったことだ。 
高名な物理学者で人権活動家のサハロフ博士は
1989年6月に開催されたソ連人民代議員大会で、「アフガニスタンにおける戦争は、犯罪的な冒険主義だった」と断罪した。その時の議場の様子は、まだ賛否が半々という感じであった。
しかし、ソ連人民代議員大会は結局1989年12月に「ソ連軍をアフガニスタンに投入した決定は道徳的・政治的非難に値する」とする決議を採択するのである。
侵攻からちょうど10年後の大転換であった。
ソ連が崩壊するのは、そのさらに2年後のことだ。
つまり、アフガン帰還兵は、それでなくてもPTSDに苛(さいな)まれがちであるのに、戦争の大義が否定され、そのために戦ったはずの国家すらも崩れ去ってしまい、より一層深い葛藤に苦しむことになったわけである。
周囲から「我々は誰もそんな戦争をしてくれと頼んだ覚えはない」などと言い放たれ、傷ついたアフガン帰還兵も多かったようだ。
第二次大戦のナチス・ドイツとの戦争が、「大祖国戦争」として神聖視され、今日に至るまでその従軍者が英雄として扱われているのとは、あまりにも大きな差である
ところで、アフガニスタンで戦ったのは、ロシア共和国(今日のロシア連邦)の人々だけではない。ソ連を構成していた他の共和国の人々も戦地に赴いた。上のグラフ
<URL
参照
は、共和国別ではないが民族籍別の戦没者数を示している。
ロシア以外の共和国の人々の場合には、自分たちがソ連の後継国という意識が弱い分、「無益な戦争に駆り出された」というトラウマがより一層強いのではないかと想像する。
また、ソ連はアフガン介入当初、地理的に近い中央アジアの共和国からウズベク人、トルクメン人、タジク人などを主力として投入したという。その結果、上のグラフに見るこれら民族の比率は、ソ連における各民族の人口比よりも高いものとなった。
アフガニスタンの住民を敵に回すことは、イスラム教など文化的な親近性のある中央アジアの人々にとって辛いものだったはずだ。
さて、このようにソ連のアフガニスタン侵攻は、ロシアとその他の旧ソ連諸国に深刻な傷跡を残した。
ところが、それと矛盾するような現象がある。ここに来て、ソ連軍のアフガン侵攻は必要だったと考えるロシア国民が増えているのである。
ロシアのレヴァダ・センターが実施した世論調査によれば、グラフ
URL
参照

に見るとおり、ソ連軍のアフガン投入は必要だったという回答者は、2019年12月には25%まで拡大した。不要だったという回答者が依然として過半数に上るものの、見逃せない風向きの変化が生じている。
2019年12月の調査で目立ったのは、意外にも若い世代ほど介入は必要だったと答えていることである。18~24歳の年齢層では、ソ連軍投入が必要だったという回答が31%に上り、全年齢層の中で最も多かった
 
ちなみに、2019年にはソ連軍のアフガン侵攻から40周年、撤退から30周年を迎えたわけだが、それに際してロシア政界には気になる動きがあった。連邦議会の下院で、共産党などを中心に1989年のソ連人民代議員大会決議を破棄しようとする試みがあったのである。
もっとも、国際的に物議を醸すことを恐れたのか、この時はロシア外務省が抵抗し、ロシア連邦議会がソ連時代のアフガン侵攻を正当化するようなメッセージを発する事態は回避された。
それではなぜ、ソ連軍のアフガン介入は必要だったと考えるロシア国民が増えているのか?管見によれば、それはやはり、プーチン政権の下でロシア世論が保守化している表れだろう。
とりわけ2014年のウクライナ危機以降は、ロシアは欧米と一線を画す独自の大国として処していくべきだという意識が強まり、それがアフガン戦争についての意見にも反映していると考えられる。
はっきり言って、市井のロシア国民がアフガニスタン問題や冷戦時代の国際政治について詳しく知っているとは思えない。単に「ソ連は米国と互角に渡り合った超大国だった。その国の歩みを否定したくはない」というニュアンスではないかと推察する。
したがって、今現在の泥沼のアフガニスタンにロシアが新たに軍事介入すべきかと問えば、大多数のロシア国民は反対するはずである。
それでも、ロシア国家・社会において、1979~1989年のアフガン戦争の苦い記憶が薄れ、状況によっては他国への軍事介入という手段も否定はしないという風潮が広がっていることは認識しておく必要がある

 

ウクライナを「兄弟だ」というのは、ロシアの拡張主義のための口実にすぎない2月25日レンコ・アンドリー

2022-03-27 12:06:50 | 連絡
By - NEWS ONLINE 編集部 公開:2022-02-27 更新:2022-03-09 
ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(2月25日放送)に国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏が出演。ロシアが侵攻し、戒厳令が敷かれるウクライナ情勢について解説した。
〇侵攻を開始したロシアの狙い
新行)ウクライナ出身の国際政治学者、グレンコ・アンドリーさんに、電話でお話を伺います。ウクライナ情勢について、さまざまな情報が報道されておりますけれども、ウクライナにお住まいのご家族の安全は確認できましたでしょうか?
アンドリー)昨日(24日)深夜の時点では、無事でした。現在の状況はこれから確認しますが、おそらく、キエフ市街地はいまのところは無事だと思います。
新行)今回のロシアの狙いについて、どのようにご覧になっていますか?
アンドリー)ロシアの狙いは、明らかにウクライナの完全支配です。ウクライナ全土を正規軍で完全に制圧した上で、傀儡(かいらい)政権を立てることです。傀儡政権を使い、ウクライナをロシアとの1つの超国家組織、連合国家のような新しい構造に組み込み、事実上、ウクライナを併合することです。
〇ウクライナから見るロシアは「危険で巨大な敵」でしかない ~「兄弟だ」というのはロシアの拡張主義のための口実にすぎない
外交評論家・宮家邦彦)多くの日本人の心は、ウクライナ人とともにあると思います。私も非常に心配しています。おっしゃる通り、ロシアはウクライナを中立化させ、場合によっては併合することも含めて考えていると思います。
ロシアは「ウクライナとロシアは一心同体だ、兄弟だ」という言い方をしています。ウクライナの方から見て、ロシアというのはどういう存在ですか? 
また、今回のことでロシアに対する、もしくはプーチンさんに対する気持ちはどのように変わったと思われますか?
アンドリー)基本的に自分の拡張主義の根拠づけとして、「1つの民族であり、兄弟民族だ」と言い、軍を出して制圧しています。
ロシアのいままでの歴史を振り返っても、戦争と侵略しかしていない国です。それが国家の本質ですから、おそらく今後もそれは変わらず、戦争しかしない国であり続けるのでしょう。

宮家)これからも。
アンドリー)ウクライナから見るロシアというのは、今回の出来事も含めて考えると、最大の脅威であり、最大の敵です。自分たちの存在を否定し、自分たちの存在の基盤を完全に破壊する、危険で巨大な敵です。
宮家)そうすると、「プーチンさんだけではなく、ロシア全体が非常に問題だ」という理解でよろしいですか?
アンドリー)プーチン大統領はロシアの思想を体現し、実行しているだけです。ロシアは根本的に、近代的な価値観が身についておらず、拡張主義の考え方を持っている人が多いです。
〇ウクライナはどこまでロシアと戦うのか
宮家)いまのお話を前提に伺いたいのは、ロシアは兵力をウクライナの首都に向け、いろいろな活動をして来るだろうと思います。その場合、ウクライナの人たちはどこまで戦うのでしょうか?
アンドリー)ロシア軍に対する抵抗がどこまで続くのかということは、正直、私にも読めません。現在の時点で、ウクライナ軍などがロシア軍に抵抗していて、ある程度はロシア軍に損害を与えています。ただ、ロシア軍はその損害を顧みず、制圧を続けて行くでしょう。最終的に、どこまでウクライナ人が戦うかどうかは、未知数の部分があります。「1週間で終わるのか、1ヵ月続くのか、それ以上続くのか」ということは、戦ってみなければわかりません。
仮に制圧されたとしても、ウクライナ人によるゲリラ戦は続くと思います。
〇ロシアからウクライナの国民を守る唯一の方法はNATO加盟 ~その方向性は変わらない
宮家)この先のことについてお伺いします。ロシアの支配力拡大の程度にもよりますが、当然、亡命政権ができるでしょう。それが国に置かれるのか、NATO諸国のどこかに置かれるのかはわかりませんが。
今後、ウクライナは、よりNATOに入る方向に動いて行くのでしょうか? 
それは、ロシアにとっては逆効果になるわけです。あるいは「NATOに入るのはとても無理だ」ということで、諦める方向に行くのでしょうか?
アンドリー)政府の方針は、NATO加盟の方向で変わりはないと思います。仮に領土をコントロールできなくなっても、国民の意思を代表して、そこを目指していることは変わりません。特に今回の事態によって、明らかにロシアはウクライナの存在を脅かしています。ロシアの脅威から国民を守る唯一の方法がNATO加盟なので、その方向性は変わらないでしょう。

〇ロシアに侵攻を諦めさせるには、ロシア兵に多くの損害を与える必要がある
宮家)NATO諸国、西側、国際社会全体が、ウクライナの人々に支援を続けて行かなければならないと思いますけれども、その点については、どうお考えでしょうか?
アンドリー)なるべく多くの支援をいただいて、その支援に基づき、一部の地域だけでも生活基盤を維持し、ロシアへの抵抗を続けなければならないと思います。こうなった以上、ロシアが諦めるかどうかはロシア側の人的損害の数によります。
宮家)ロシア軍の損害による。
アンドリー)言い方は物騒ですが、ロシアの兵士に多くの損害を与えて、ロシア社会の考え方を変えることが、いちばん大事なことになるかと思います。
アフガニスタンで見たように、死者数に耐えられず撤退する可能性があります。(注1)
(注1)
旧ソ連を震撼させたアフガニスタン侵攻失敗=死者数1.5万人、帰還兵はPTSD…2021.08.18服部倫卓
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/40e0f2a28c44748cefc29b6da9628a4c

同じように、ウクライナからロシア軍を撤退させるには、ロシアに対して多くの人的損害を与えることが必要です。そのためには、兵器やさまざまな物資が必要になります。同時に、ロシアに対して経済封鎖を起こし、ロシア経済を壊滅させるような措置を取ることです。
宮家)なるほど。アフガニスタンのようなことになったら大変です。ただ、物騒だとおっしゃいましたけれども、もしかしたら、それがロシアに対する最も効果的な方法の1つかも知れません。


蒲田黒湯温泉 :カマタクロユ、泉質、適応症:ストレスによる諸症状、アクセス、問い合わせ先

2022-03-27 10:39:46 | 連絡
〇蒲田駅前に位置する。黒褐色の湯が特徴。日帰りの入浴も可能。
〇泉質 :炭酸水素塩泉
〇適応症:
【泉質別適応症】きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症、
【一般的適応症】筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関 節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、
運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、
健康増進
〇蒲田黒湯温泉へのアクセス
JR京浜東北線蒲田駅下車、徒歩約1分
〒144-0051 東京都大田区西蒲田7丁目4-12 
蒲田駅西口から徒歩約1分 
蓮沼駅出口1出口から徒歩約8分 
京急蒲田駅西口から徒歩約11分
〇蒲田黒湯温泉問い合わせ先
◇大田区役所生活衛生課、〒144-0052 大田区蒲田5-13-14、
03-5744-1111、
◇大田観光協会、〒144-0035 大田区南蒲田1-20-20 、
03-3734-0202 


 


(^_^♪) I FEEL FINE / BEATLES

2022-03-27 10:29:28 | 連絡
👄  👅2021年12月20日(月)あさナビ 黒木瞳、舘ひろし(俳優)に、滑舌トレーニング 「あいうえおあお・・・」 教えた!

(^_^♪) I FEEL FINE / BEATLES 
 

リチウム、自殺予防、認知症予防、犯罪予防、大分大学医学部精神神経医学講座

2022-03-27 09:48:56 | 連絡
〇リチウムと自殺予防
リチウムは自然界に存在する元素であり、カリウムやナトリウムと同じアルカリ金属というグループに属します。このリチウムが、乾電池のみならず、精神医療にも広く使われていて、とくに双極性障害(昔は躁うつ病と呼んでいました)の治療薬として、第一選択薬になっています。つまり、
リチウムには気分の波を安定させる作用(気分安定作用)があるのです。
リチウムにはこれ以外にも衝動性や攻撃性を抑える作用があって、先ほどの気分安定作用を発揮する濃度よりもずっと低い濃度つまり微量でも効果があることがわかってきました。当科ではこのことを以前から研究しています。
大神博央先生(現・上野公園病院)、石井啓義准教授、塩月一平先生(現・県立精神医療センター)、釘宮毅助教らが、大分県(Ohgami et al., Br J Psychiatry, 2009)、九州(Ishii et al., J Clin Psychiatry, 2015)、北海道(Shiotsuki et al., J Affect Disord, 2016)、
日本全国(Kugimiya et al., Bipolar Disord, 2021)へフィールドを広げ、
水道水リチウム濃度が高い地域は自殺率が低いことを突き止めました。
特に、大分県における研究は英国BBCのWorld News
で取り上げられました。
大分県では、特に男性において自殺率と水道水リチウム濃度は有意な負の相関を示した。
〇リチウムと認知症予防
 リチウムが認知症の予防に役立つ可能性が近年指摘されています。現在、石井准教授を中心に、リチウムを服用していない当院精神科入院もしくは外来の50歳以上の患者さんに協力をお願いし、微量な血中リチウム濃度と認知機能、認知症の発症率は相関するという仮説を検討しています。
認知症や認知機能障害には様々な要因が考えられるため、研究開始時の血中Aβ、BDNF、AA、EPA、DHA値や不眠症、抑うつ状態、躁状態などで補正を加えます。研究開始時の血中リチウム濃度を比較し、
認知症の患者さんの平均血中リチウム濃度が非認知症の患者さんよりも低い、あるいは血中リチウム濃度が低いほど認知機能(WMS-R、MMSEなどの神経心理検査で評価)が低いという結果となれば我々の仮説は正しいことになります。
また、開始時に認知症を罹患していない患者さんを半年おきに経過観察していき、認知症を罹患した患者さんと罹患していない患者さんの間で研究開始時の血中リチウム濃度を比較し、認知症に罹患した患者さんの方が血中リチウム濃度が低いことを確認する縦断的研究も行っています。 
〇リチウムと犯罪予防
微量なリチウムが衝動性・攻撃性を抑える効果をさらに確かめるため、犯罪率(刑法犯認知件数/人口×100)との関連を調査しました。九州の全274市町村を対象に、
犯罪の危険因子とされている他の社会的要因で補正した結果、水道水リチウム濃度が高い地域は犯罪率が低いことが明らかになりました(Kohno et al., BJPsych Open、2020)。これらの結果は、
リチウムが水道水に含まれる微量な濃度でも自殺や犯罪といった衝動的な行動に予防効果があることを示唆します。 
〇リチウムと自殺予防に関する臨床研究
これまでご紹介したのは、いわゆる疫学研究でしたが、「リチウムと自殺予防に関する臨床研究」として、兼久雅之先生(現・県立精神医療センター)は、当院救命救急センターを受診した患者さんに協力をお願いし、自殺企図群は自傷群や対照群よりも有意に血中リチウム濃度が低いことを確かめています(Kanehisa et al., Psychopharmacology, 2017)。リチウムは微量でも抗自殺効果を有する可能性が示唆され、次のステップとして臨床応用を検討しています。