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By - 報道部畑中デスク 公開:2022-04-14 更新:2022-04-14
ニッポン放送報道部畑中デスク
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畑中 秀哉(はたなか ひでや、1968年3月27日[2] - 54歳)はニッポン放送の報道スポーツコンテンツセンター副部長、記者、気象予報士、元アナウンサー
岐阜県出身[1]。1990年3月、早稲田大学理工学部卒業後[3]、同年4月、ニッポン放送に入社。同期は、元アナウンサーの村上まゆこ[4]。
入社以後、制作部のアナウンサーとして主に中継コーナーリポーターや番組アシスタントを担当。
その後、1995年4月付け人事にて報道部に異動となり[5]、警視庁[6]、都庁記者クラブ記者、国会担当記者を歴任している。2018年時点で地震レポーターも担当するほか、気象予報士資格を活かして集中豪雨などの気象に関する解説として出演することもある。
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のニュースコラム。今回は、ウクライナ情勢に関するさまざまな視点について---
ウクライナ情勢はロシア軍による残虐行為が明らかになるなど、日々、状況を新たにしています。今回は2人の専門家の見方をお伝えします。
「ロシアに対し5つの柱からなる追加制裁を科し、外交的、経済的圧力を強化する」……岸田総理大臣は4月8日の記者会見で、ロシアへの新たな追加制裁を発表しました。
「
(1)石炭の段階的な輸入禁止
(2)機械類、ウオッカなどの輸入禁止措置
(3)新たな投資の禁止
(4)ロシア最大手の銀行などの資産凍結
(5)個人や団体への資産凍結の拡大
」
あわせて岸田総理は、ロシア軍の残虐行為に対し「戦争犯罪である」と強調しました。
さて、このような制裁というのは「される側」……ロシアにとっては当然、厳しいものですが、“空証文”にならないためには、取り締まりが両輪となります。そういう意味で制裁する側にも覚悟が必要です。
特に、アメリカでは違反した場合の厳しさは半端ではないようです。
アメリカの法律事務所「クイン・エマニュエル」東京オフィスの代表で、アメリカ人弁護士のライアン・ゴールドスティンさん
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ライアン・ゴールドスティン(Ryan Goldstein、1971年- 51歳
)は米国人弁護士。
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン外国法事務弁護士事務所東京オフィス代表で、カリフォルニア州の弁護士資格を保持。
シカゴ生まれ。
ダートマス大学在学中に日本に関心を持って金沢にホームステイした。
1993年から2年間、早稲田大学大学院に留学。
1998年に修了したハーバード法科大学院では成績トップ5%に選ばれて、連邦判事補佐職「クラークシップ」に従事した。
1999年にクイン・エマニュエル・アークハート・サリバン法律事務所に入所し、2005年にパートナーに就任した。「日本の味方になりたい」という願いを叶えるために2007年に東京オフィスの開設を実現。2010年から本格的に日本在住。
専門は国際的ビジネス・知財訴訟、国際仲裁。 NTTドコモ、三菱電機、東レ、丸紅、NEC、セイコーエプソン、リコー、キヤノン、ニコン、円谷プロなど、主に日本企業の代理を務めている。
アップルvsサムスン訴訟なども担当。
東京大学大学院法学政治学研究科・法学部非常勤講師、早稲田大学大学院、慶應義塾大学法科大学院、成蹊大学法科大学院、同志社大学法学部の客員講師などを歴任。
日本経済新聞の「今年活躍した弁護士(2013年)」に選出、 CNNサタデーナイトのレギュラーコメンテーターも務めた経験がある。[1]
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は、「アメリカは本気だ」と語ります。
ライアンさんはアメリカの裁判で、日本企業を担当する弁護士の1人です。
アメリカの制裁措置は、ロシアの銀行や国有企業に対する取引制限、ロシアの富豪や上流階級に対する取引制限や資産凍結など。
これらは「ブロック制裁」と呼ばれます。
こうした制裁措置は大統領令に基づく指令も多くあります。
最高で100万ドル=日本円で1億円あまりの罰金刑、個人の場合は最高で20年の禁錮刑を科される可能性もあるということです。
ライアン弁護士は「アメリカではロシアに対し、戦争はしていないものの、そのマインドになっている」と話します。
オリガルヒに代表される、固有にリストアップされている人物や団体は最もわかりやすいものですが、リストになくても、海外でどういう仕事をやっているかについては確認が必要です。
最も注意が必要な業種は金融関係で、例えばヨーロッパへの投資先がロシアと関係がないかどうかも精査すべきでしょう。
そして、日本企業は現地法人、例えばアメリカにある子会社の動きには特に注意すべきと、ライアン弁護士は指摘します。
グローバルに展開する日本企業も多いだけに、各国のさまざまな法律と照らし合わせる必要も出てきます。
企業などが、気がつかないうちに禁を犯してしまう可能性はないとは言えません。
アメリカはすでにロシアの航空大手への罰則を発表しました。
いまのところ、違反の摘発はあまり表面化していませんが、日本もこれから目を光らせていくことになります。
そして、アメリカの姿勢は取り締まりをめぐる1つの試金石になっていくとみられます。
続いての疑問は「中国」です。これについては小欄でも一度取り上げましたが、日本を含む先進国を中心に制裁の動きを強めるなかで、中国はこうした流れと一線を画しているように見えます。
中国には、ロシアのウクライナ侵攻がどう映っているのでしょうか?
中国情勢に詳しい、拓殖大学教授でジャーナリストの富坂聰さん
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富坂 聰(とみさか さとし、1964年 - 58歳)は、日本のジャーナリスト、ノンフィクション作家。拓殖大学教授。国家基本問題研究所企画委員。中日ドラゴンズファン[1]。
1964年、愛知県出身。1980年に単身台湾に渡る。中国語を勉強した後に、中国留学。北京語言学院を経て、北京大学中文系に進む。1988年に北京大学中退後、週刊ポスト記者、週刊文春記者を経て、2002年にフリージャーナリストとして独立。中国情勢、中国問題に関する取材を中心にインサイドレポートを発表している。
1994年、『龍の伝人たち』(小学館)により21世紀国際ノンフィクション大賞(現・小学館ノンフィクション大賞)優秀賞受賞。
文藝春秋、週刊文春、週刊ポストなどさまざまな雑誌メディアへの執筆活動のほか、テレビ番組のコメンテーターも務める。
2014年4月、拓殖大学海外事情研究所教授に就任[2][3]。
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は、まず、中国のニュースの報じ方に注目します。
「ロシアとウクライナの戦い、ロシアとNATOの戦いを明確に分けて報じている。
中国はロシアのウクライナ侵攻をもう少し俯瞰して見ている感じがある。
日本は“どちらが悪いか”ということを視点として持つが、中国は情勢が今後どのように向いていくのか、そのとき自分たちにはどういうマイナス、プラスがあるのかという視点が中心になっている」
冷徹に国益を見極めている姿勢が見てとれます。
こうした現状の上で、今回の状況は「アメリカとロシアの代理戦争」というのが中国の見方です。
また、あいまいとされている中国のウクライナ侵攻へのスタンスについては、2月24日の侵攻直後に習近平国家主席がプーチン大統領と電話会談し、「ウクライナと話し合って問題を解決しろ」と述べたことを指摘しました。
中国はロシアが感じている安全保障上の危機感に賛同しているものの、侵攻には反対しており、その意味でスタンスは明確であると富坂さんは分析します。
その上でロシアと中国が一致しているのは、唯一の国際秩序は国連であり、アメリカ中心の国際秩序ではないということ。
つまり、アメリカがやっていることは「ノー」であるとして両国は手を組んでおり、逆に一致しているのはそこだけだとしています。
中国の「ロシア寄り」という見方についても、「中国は一方的にロシアにのることはそもそもできない」と話します。
ウクライナと中国は農産品を中心とする貿易関係があることがその理由ですが、一方で、ロシアの貿易も大きく、「両方捨てたくない」というのが中国の本音のようです。
一方、このウクライナ情勢を中国はわが事として観察しているという見方もあります。
これは日本もしかり、巷間言われているのが、台湾問題や東シナ海問題との関連性です。
事態によっては中国の台湾侵攻につながっていくのか……富坂さんはウクライナ問題とは関係なく、台湾侵攻の可能性があると指摘した上で、次のように解説します。
「中国が主導的に台湾に軍を差し向けるかというと、ハードルは高い。
現実的ではない。
人口2000万人の台湾を無理やり配下に治めても、きちんと治めていけない。できれば抱えたくないと思っている。
ただし、完全に台湾が自分たちから離れていくという状況は受け入れられない。
そのときには何らかのアクションをする。もちろん武力行使も入っている。
手を出さざるを得ない状況はある。
国土を分裂させるようなことをやったら、平和統一という基準から外れる」
これまでの話で言えることは、ウクライナ情勢もそれぞれの国の視点によって、全く違う景色に見えているということです。
先の国連総会では、国連人権理事会でのロシアの資格停止決議が採択されました。
決議は賛否を示した国のうち、3分の2以上の賛成で採択と規定されていますが、その結果は賛成93、反対24、棄権58というものでした。
この結果は解釈が分かれるところです。
賛否を示した117ヵ国の3分の2は確かに超えていますが、反対・棄権が82ヵ国に上っています。
ちなみに中国は反対、インドは棄権でした。
中国とインドを合わせた人口はおよそ28億人、世界のおよそ3分の1を占める2つの国が賛成しなかったことは、ウクライナ問題が1つの価値観だけで論ずることは難しい、それぞれの利害が絡んだいかに複雑なものであるか、その象徴だと言えるでしょう。
ウクライナの惨状は、もちろん人道的に決して許されることではありません。一方で、こうした現実があるということも頭に入れておく必要があると思います。(了)