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ロシア製ミサイル配備を決めたインドの深刻な事情2022年2月21日長尾 賢

2022-06-10 17:11:10 | 連絡
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長尾賢氏による論稿「中国と本気で戦うインド 日本はどれだけ理解しているか」はWedge Online Premiumにてご購入することができます。
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長尾 賢 (ながお・さとる)
米ハドソン研究所 研究員
学習院大学大学院にて博士号(政治学)取得。米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員などを経て2017年から現職。日本戦略研究フォーラム上席研究員、スリランカ国家安全保障研究所上級研究員、未来工学研究所特別研究員なども兼任。著書に『検証 インドの軍事戦略』(ミネルヴァ書房)
 
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米国とロシアの関係が悪化する中、インドをめぐって1つのミサイルの取引が問題視された。
インドがロシアからS-400地対空ミサイルを購入したことである。
米国は、トルコがS-400地対空ミサイルを購入した際には制裁を課しており、インドに対しても制裁を課すのではないか、それが米国とインドの関係に大きく影響するのではないか、と危惧された。
そして、2021年12月には最初のS-400地対空ミサイルがインドに到着し、22年2月にはインドのパンジャブ州で最初のS-400地対空ミサイルの部隊が創設される予定だ。
実際には、米国はまだインドに制裁を課していない。
しかし、制裁を課すのではないかという危惧はかなり以前から議論されていた。
 ここで疑問がわくのは、インドと米国が中国対策で協力するようになる中、なぜインドは、米国から制裁をかけられるかもしれない状態でも、S-400地対空ミサイルの購入を強行したのか、である。
そこで本稿では、このミサイルが、インドにとってどのような位置づけの武器なのか、そして、それが日本にとってどのような示唆を与えるのか、検証する。
〇インド軍の武器の60%はソ連・ロシア製
なぜインドがS-400 地対空ミサイルの取引を強行したのか。
最初に思い当たるのは、インドにとってロシアからの武器供給が重要だから、ロシアとの関係が痛まないように配慮した、というものである。
 たしかにインド軍の武器の60%が旧ソ連およびロシア製の武器で占められている。
武器は高度で精密なのに乱暴に扱うものだから、常に整備・修理して使うものだ。
弾薬も消費する。
そうすると、修理部品や弾薬を供給してくれるロシアの重要性は、インドにとって大きい。
 ただ、インドの武器輸入に関して近年の傾向を見てみると、ロシアの重要性は低下している。
下記URL

参照

は、スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータベースを用いて、インドが1950年から2020年にかけて輸入した武器における、供給国のシェアを、ソ連およびロシアについては赤色、米英仏イスラエルの4か国に関しては青色にし、それ以外の国は灰色にして比較したものである。
こうしてみると、1961年まではインドの武器購入額のほぼ100%を青色の国々が供給していたのに対し、それ以降は、ソ連やロシアが圧倒的なシェアを占めてきたことがわかる。
しかし、過去10年くらいを見ると、ソ連やロシアが占めるシェアが急速に落ち、米英仏イスラエル各国からの武器輸入額がロシアを上回るようになっていることがわかる
 だから、依然として武器供給国としてのロシアの存在は、現在でも一定程度重要であるものの、将来を見据えると、ロシアよりも米国やその同盟国との関係の方が、インドにとってより重要になっていく傾向にある。
だからS-400地対空ミサイルの購入に際し、インドがロシアに一定の配慮を示した側面はあるだろうが、それだけで説明できるほど、強い要因とはいえないだろう。
では、インドは、なぜS-400地対空ミサイル購入を強行したのだろうか。
〇パキスタン対策に必要
インドがS-400地対空ミサイル購入を強行した背景には、外国(この場合は米国)の圧力に屈したようにみせるわけにはいかない、といった主権国家としての威信に関わる問題があるものと思われる。
ただ、それだけではない。そもそもS-400地対空ミサイルが、インドにとって魅力的だったからである。 
どれほど魅力的だったのか。
インドがS-400地対空ミサイルの部隊を創設した位置から、その意図が読み取れる。
インドがS-400地対空ミサイルをパンジャブ州に配備しようとしていることは、パキスタン対策に必要だったことを意味しているからだ
パキスタン対策にとってどの程度有用なのだろうか。
パキスタンは、1971年の第3次印パ戦争でインドに敗れて以後、インドに対抗するためにいくつかの戦略を考えた。
その
①一つは核兵器を保有することであり、
➁もう一つは、テロリストを支援してインドの国力を削ぐ、「千の傷戦略(どのような大きな国も、テロによって小さな傷をたくさんつければ力を削がれる、という戦略)」であった。
インドは対応を迫られたのである。
実際、2001年12月、パキスタンが訓練したテロリストがインド国会を襲撃すると、インドは対応を迫られた。
インドは70万人の軍を戦闘配置につけ、パキスタン攻撃の体制をとったのである。
しかし、実際にパキスタン攻撃の体制をとってみたところ、当時のインド戦略であった「スンダルジー・ドクトリン」には問題が多いことが露呈してしまった。
その作戦は、大規模な戦車部隊でパキスタンを南北真っ二つにし、全土を占領するものであった。
しかし、パキスタンが核兵器を保有している状況下で、実施できるとは思えなかった。
さらに、そのような大規模な攻撃を実施する体制になるには3週間もかかった。
 だから、パキスタン側の防衛も強化されてしまい、30万人も配置についてしまった。
その上、戦闘配置に3週間もかかると、国際社会が、インドに対して、パキスタン攻撃をしないよう、強い外交的圧力をかけてきた。
結果、インドは「スンダルジー・ドクトリン」では、パキスタンが支援するテロ攻撃に対応するには、不十分であることが分かったのである
 〇限定的な攻撃を加える新作戦
そこで、インドは新しい戦略を考え始めた。方法は4つ。
パキスタン国内にある①テロリストの訓練キャンプだけを特殊部隊で襲撃する方法(16年実施)、➁空爆する方法(19年実施)、➂海上封鎖してパキスタンに反省を促す方法、そして、④戦車部隊でより限定的な攻撃をかける方法であった。
この最後の④戦車部隊で、より限定的な攻撃をかける方法は「コールド・スタート・ドクトリン」と呼ばれた。これがS-400地対空ミサイルと関係してくるのである。
 この「コールド・スタート・ドクトリン」
(注)「スンダルジー・ドクトリン」のスンダルジーは、この考え方を確立した当時の陸軍参謀長の名前。「コールド・スタート・ドクトリン」の「コールド・スタート」とは、冷えたミサイルを暖機運転なしに発射できる技術を指す。つまり、テロ事件が発生してから即応することを指しているものとみられる。
では、あらかじめ戦車部隊を国境近くに配置しておく。
そして、パキスタンが支援するテロ攻撃が起きた場合、即攻撃に着手する。
攻撃は限定的で、パキスタンのテロの拠点などを対象とし、そこで攻撃をやめる。
 パキスタンは核兵器を使うほどではない程度なので、核戦争にはならない。国際社会がインドを止めに入るとしても、そのような外交的な動きには、だいたい1週間程度の準備期間が必要な傾向がある。
また、国連常任理事国には、インドに味方する国もおり(冷戦時代はソ連、今は米国やフランスなど)、インドに攻撃をやめさせようとする決議がでそうになれば、それらの国々が拒否権を使うことができる。
1週間から2週間くらいであれば、そういった国々がインドのために拒否権を使い続けてくれるだろう(その後は我慢できなくなり、インドに早く決着をつけるよう要求してくる)。
 そう考えるとだいたい2~3週間くらいあれば、パキスタンに対して、テロ支援の反省を促すような攻撃が可能だ。
だから、「コールド・スタート・ドクトリン」は現実味があるように思われたのである。
〇小型の戦術核でインドに対抗
ところが、パキスタンは、この「コールド・スタート・ドクトリン」に素早く反応してきた。
インドが、パキスタンが核兵器の使用を考えないような限定的な攻撃をしてくるなら、それに対応した、限定的な核兵器を保有すればいい、ということになった。
具体的には、侵入してくるインド軍に対して使う、威力の低い小型の核兵器(戦術核)である。
より小型の弾道ミサイルや巡航ミサイルを開発し、それに、その威力の低い核弾頭を搭載して、パキスタン国内に侵入したインド軍に向けて使うのである
これはインドの「コールド・スタート・ドクトリン」にとっては、深刻な脅威であった。
パキスタンの核兵器の使用を思いとどまらせるには、もしパキスタンが核兵器を使ったら、インドも核兵器を使うぞ、という脅しが必要である。
ところが、パキスタン国内に侵入したインド軍に対して、威力の低い核兵器が落とされた場合、パキスタンがパキスタン国内に核兵器を落としたことになるから、インドの核兵器はどこに報復したらいいだろうか。
「一発殴られたら一発だけ返す」程度の比例的な対応を考えると、インドには報復する場所がないのである。
〇だからインドはS-400が欲しくなった
 つまり、「コールド・スタート・ドクトリン」を実効性あるものにするとしたら、パキスタンの核弾頭を搭載した弾道ミサイルないし巡航ミサイルを、ミサイル防衛システムで迎撃しなければならないのである。
そこで、インドはS-400地対空ミサイルが欲しくなったのである
 インドには弾道ミサイルを迎撃するミサイル防衛システムはあるが、巡航ミサイルを迎撃するミサイル防衛システムはない。
S-400地対空ミサイルは、巡航ミサイルの迎撃に優れる。
射程も長いから、パンジャブ州に配備すれば、インドの戦車部隊がパキスタン領内に侵入したときでも、その上空を守ることができるのである
 米国製のミサイルではだめか。
米国製のミサイルでは、例えば高高度防衛ミサイル(THAAD)や地対空誘導弾パトリオット(PAC-3)、イージスアショアのようなミサイルがあるが、射程が短かったり、必要な場所に移動できなかったり、高価であったり、する。そのため、インドのニーズに合わない。S-400地対空ミサイルは、適切な選択で、インドはパキスタン対策として、とても欲しかったのである。
〇実は中国が握る主導権
ただ、このようなインドの思惑は、今は、有用だとしても、近い将来、崩されてしまうかもしれない。
それは、中国がS-400地対空ミサイルを突破できる極超音速ミサイル、例えばDF-17ミサイルをパキスタンに提供する可能性があるからだ。
 実は中国は過去、パキスタンのミサイル開発を継続的に支援してきた。
下記URL

参照
はパキスタンが保有・開発中のミサイルの一覧である。これをみると、ガズナビ、ナスル、シャヒーンといったミサイルは、中国が開発を支援しているミサイルとみられている。
中国はパキスタンのミサイル開発に深く関与しているのだ。
そのため、インドのS-400地対空ミサイル対策についても、中国が関与する可能性が高い。 
中国は自国でS-400地対空ミサイルを保有しており、突破する方法についても熟知しているものとみられる。
具体的には、中国が現在保有するDF-17極超音速ミサイルをパキスタンに提供する可能性があることが指摘されている(Sakshi Tiwari, “China Could Equip Pakistan With Hypersonic DF-17 Missiles To Neutralize India’s ‘Game-Changing’ S-400 Defense System – Experts”, The EurAsia Times, January 27, 2022)。
〇日本にとっての示唆 中国が日本向けにミサイル配備を減らす?
印パ間のミサイル競争は、一見すると日本と直接つながっていないように見える。
しかし、実際には大いに関係がある。
もし、インドが十分な数のミサイルを中国向けに配備していると、中国もインド向けにミサイルを配備する。
その場合、中国は日本向けに配備しているミサイルの数を減らす可能性があるからだ。
 しかし、もし中国がパキスタンにミサイル技術を提供し、パキスタンが中国のDF-17のようなミサイルを配備した場合、インドは、パキスタン向けにより多くのミサイルを配備し、中国向けに配備したミサイルの数を減らすかもしれない。
 インドが中国向けに配備したミサイルの数を減らすと、中国もインド向けに配備したミサイルの数を減らす。
そして、中国のミサイル戦力に余裕が出て、中国はその余裕が出た分を、日本向けに配備する可能性が出てくるのである。
つまり、パキスタンのミサイルが増えると、中国が日本攻撃のために使えるミサイルが増える可能性が出てくるというわけである。
 実際には、もっと複雑な計算が必要なのであるが、印パのミサイル戦力のバランスが日中のミサイル戦力のバランスに影響を与えることは間違いないところであろう。
だから、日本としては、印パのミサイル戦力のバランスは、インドが少し優位になるくらいがいい。
今、日米の間でも、インド太平洋に何発のミサイルが必要か、といった議論が活発になっている。
新たに米国の中距離弾道ミサイルを、インド太平洋地域に、配備することも計画されている。
そうした議論に、印中間のミサイル戦力バランスは影響を与えるから、つまり、印パ間のミサイル戦力のバランスも、一定の影響力を与えるのである。
注目である。


大反乱とインド帝国の成立2019-08-27世界の歴史まっぷ

2022-06-10 16:04:05 | 連絡
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イギリス東インド会社のインド人傭兵がおこした反乱を機にいっきに爆発した。シパーヒーはこれまで会社のインド侵略の先頭にたたされてきたが、白人の将兵との間の差別は大きく、これが不満の種となっていた。
そして1857年、彼らが宗教上嫌う獣脂が弾薬包に塗られているという噂をひとつのきっかけとして、大反乱をおこすにいたった(インド大反乱)。 
 反乱軍はデリーを占領して、すでに名のみの存在となっていた老齢のムガル皇帝を擁立した。
反乱のニュースが伝わると、イギリスによって地位や権利を奪われた旧王侯とその部下、旧地主、生活に苦しむ農民・職人・小商人など広い層のインド人が、カーストや宗教の区別なくこれに加わり、反乱は中部・北部インドに波及した。
 しかし、反乱軍には統一がなく、さらに上層部の妥協などもあり、2年後には鎮圧された。
この反乱の結果、ムガル皇帝は廃位され3世紀以上にわたって存続してきたムガル朝は滅亡した(1858)。
セポイの反乱」と呼ばれてきたこの大反乱には、旧支配者による旧体制復帰をめざす運動としての面が強かったが、各階層のインド人が広く参加したこの反英蜂起を民族運動の第一歩とみることもできる。
大反乱に動揺したイギリスは、いっそう強力な支配体制を確立する必要に迫られた。
そして1858年にインド統治改善法を定め、それまでインド統治にあたってきた東インド会社を解散させ、インドをイギリス政府の直接の支配下においた。
さらに1877年にヴィクトリア女王がインド皇帝(女帝)を兼ねることを宣言し、ここに正式にインド帝国が成立して、名実ともにインドの植民地化は完成をみた。
帝国はイギリスの直轄地と藩王国 Indian State ❶ 
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❶ 藩王国:イギリスの統治下に内政権を与えられていた旧王侯(藩王、マハーラージャ)の国。大小550をこえ、全体でインドの面積の45%、人口の24%を占める
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とから構成されていた。
イギリスは保守的な旧王侯の国を残すという分断策により、インド人が団結して反抗することを防いだのである。
 植民地政策を進めるイギリスは、フランスのインドシナ経営に対抗してミャンマー(ビルマ)領有をくわだて、1824年以降3回にわたる戦争(イギリス=ビルマ戦争 によってコンバウン朝を倒し、全ミャンマーを併合してインド帝国の1州とした。 
 またロシアの南下に備えるためアフガニスタンに出兵し、さらにチベットに出兵してラサ条約を結びこれを従属下においた。
スリランカ(セイロン)には16世紀にポルトガル、17世紀にオランダが進出したが、18世紀にイギリスがオランダを駆逐して、1815年以後、全島がイギリス領となった。
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インドは木綿の原産地であり、綿布は古代からインドの輸出品として知られていた。ヨーロッパ勢力の来航後は西方向けの主要な輸出品となり、キャラコ(初期の輸出港カリカットの名にちなむ)、モスリンといった薄地の上質綿布が、ヨーロッパの人々に愛好された。
イギリスでは東インド会社によるインド綿布の輸入が急増したため、18世紀初めに国内の毛織物産業を保護する必要から、その輸入と使用が制限されたり禁止されたりしている。
イギリスの産業革命 と、その結果としての機械織綿布の大量生産は、インドの都市の綿工業に破滅的打撃を与えたが、インドの農村では、農民の日常の衣類となる厚手の素朴な手織り綿布が、都市におけるこうした変化とは関係なく生産され続けた。
なお、都市においても、富裕層が儀式などに用いる最高級の手織物の生産は維持された。
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欧米や日本とは違う「インドから見る」ロシアのウクライナ侵攻4月12日奥山真司

2022-06-10 14:46:15 | 連絡
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奥山)しかし、一方で「冷めた目で見ている人たちがたくさんいる」という事実も忘れてはいけない。
その代表がインドのモディ首相です。(注1)
インドはロシアから石油などを輸入していますが、その量は、ヨーロッパが輸入している原油や石油の1日分くらいなのです。
データを使ってそのことを検証しているインドの識者もいます。
奥山)減っていましたね。
最初の即時撤退を求める決議では141ヵ国が賛成だったのですけれども、資格停止の決議では賛成が93ヵ国に減っていました。
やはり人権に関しては、「欧米が俺たちに指図するな」という気持ちが彼らのなかにあるのではないでしょうか。
「君たちは差別している割に人権などと言うではないか」と。
「偽善ではないか」と言われてしまうのは、歴史的な事情もありますが、仕方ない部分もあるのではないでしょうか。(注1)
(注1)
大反乱とインド帝国の成立2019-08-27世界の歴史まっぷ
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/08166d71c5f9d91f9f271bfcdd5ae388
(注ア) ロシア製ミサイル配備を決めたインドの深刻な事情2022年2月21日長尾 賢
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/098e11e6d790fc8cd750ad35205f3318





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By - NEWS ONLINE 編集部 公開:2022-04-12 更新:2022-04-12
地政学・戦略学者の奥山真司が4月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。4月11に行われた米バイデン大統領とインドのモディ首相の首脳会談について解説した。
〇アメリカとインドが首脳会談を開催
アメリカのバイデン大統領とインドのモディ首相は4月11日、オンライン会談を開催した。
バイデン大統領は会談の冒頭で「アメリカとインドの関係は深く強く発展する」と強調。
モディ首相はウクライナで起きている市民殺害を「憂慮している」と述べた。
飯田)米印首脳のオンライン会談が行われましたが、テーマはどの辺りになりますか?
奥山)インドは非同盟という形でどの国にも属さず、自主独立の機運がとても強い国です。
 〇インドから見るロシアのウクライナ侵攻
奥山)彼らが今回のロシアによるウクライナ侵攻をどのように見ているかというと、シャシ・タルールさんという国連の広報担当の方がツイートしています。
飯田)シャシ・タルールさん。
奥山)「欧州大陸は2つの世界大戦、無数の内戦、ホロコースト、そして冷戦を生み出した。彼らはいつになったら『欧州では殺戮が当たり前で、平和が例外であった』という事実に気付くのか」と言っているのです。
〇ヨーロッパのなかの内戦であり、外の人間が関与すべきではない
奥山)「ウクライナを助けよう」などと言っているけれども、実はヨーロッパの内戦ではないかと。
それに「我々のような外の人間は関与すべきではない」と、冷めた立場の意見を言っているのです。
飯田)外の人間は関与すべきではないと。
奥山)中東やアフリカのように、欧州から植民地としての扱いを受けてきた人間としては、「そのようなことは奴らがやっているだけではないか」という意識が根強いのです。
〇中東やアフリカなども同じように見ている ~欧米社会は偽善だと思っている
 奥山)もちろん、ウクライナを助けなければいけないという見解は当然だと思いますが、一方で、中東やアフリカなどは、このように冷めた目で見ているというところも意識しなければいけない。
〇「冷めた目で見ている人たちがたくさんいる」という事実も忘れてはいけない
 
奥山)彼らは「欧米社会は偽善だ」と思っている。
彼らは日本に対しても「そういう態度を取れよ」と働きかけはしてきません。働きかけはしませんが、同じ有色人種として、「虐げられてきた人間として同じような立場を取らなければいけない」ということを匂わせてくるような側面が、アフリカや中東などから見えてくるところがあるのです
飯田)ヨーロッパはこのようなことを言っているけれど、「日本はわかるよね」という感じの。
奥山)その部分はあると思います。我々も先進国ですので、完全に同調するのではなく、ウクライナに対するロシアの蛮行はもちろん糾弾しなくてはいけません。
飯田)先進国として。
奥山)しかし、一方で「冷めた目で見ている人たちがたくさんいる」という事実も忘れてはいけない。
その代表がインドのモディ首相です。(注1)
インドはロシアから石油などを輸入していますが、その量は、ヨーロッパが輸入している原油や石油の1日分くらいなのです。
データを使ってそのことを検証しているインドの識者もいます。
飯田)インドはロシアから兵器も入れているのですよね。
奥山)武器の供給は相当されていまして、一時期、西側だということで供給先をフランスに変えたときもあったのですが、やはり安くて質もそれなりにいいということで、続けているのです。(注ア)
〇「偽善ではないか」と言われても仕方ない部分もある
飯田)今回、ロシアの蛮行に対する非難決議は、国連総会では140ヵ国を超える国々が賛成を示しましたが、国連人権理事会でも、ロシアの国連人権理事会の理事国としての資格停止を求める決議がありました。
しかし、ここでは賛成の数が相当少なくなりました。
奥山)減っていましたね。
最初の即時撤退を求める決議では141ヵ国が賛成だったのですけれども、資格停止の決議では賛成が93ヵ国に減っていました。
やはり人権に関しては、「欧米が俺たちに指図するな」という気持ちが彼らのなかにあるのではないでしょうか。
「君たちは差別している割に人権などと言うではないか」と。
「偽善ではないか」と言われてしまうのは、歴史的な事情もありますが、仕方ない部分もあるのではないでしょうか。(注1)
〇国連改革が叫ばれているなかでの日本の役割
飯田)「人種差別はやめましょう」ということを世界に対していちばん最初に提起したのは、実は我が日本です。
奥山)G7のなかで有色人種として入っているのは、日本だけです。逆に中東やアフリカの方から期待されている部分は、「我々の声を代弁してくれ」ということだと思います。
飯田)常任理事国であるロシアが蛮行をした。
国連改革も叫ばれていますが、日本への役割は相当求められますよね?
奥山)そうなのですが、残念ながら日本自身には政治力が少なく、そこでいつも頓挫してしまうという悲しい現実があります。
もっと日本に「前に出ていってやろうぜ」と言える国民性があれば、変わっているとは思うのですが。


【図解】ロシアの侵攻を受けたウクライナの主な都市4/16(土) Yahoo!ニュース

2022-06-10 13:53:20 | 連絡
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ロシアがウクライナに侵攻して、5月24日で3カ月となります。
ロシアは、軍事作戦の第2段階として、東部ドンバス地方に加え、クリミアにつながる南部も「完全支配」することを目指すと伝えられ、戦闘の長期化が懸念されます。  
ロシアの侵攻を受けたウクライナの主な都市を地図にまとめました。


ロシアとウクライナ「停戦交渉」から遠い現在の状況  その「意外な理由」4月12日奥山真司

2022-06-10 13:31:07 | 連絡


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(注1)【図解】ロシアの侵攻を受けたウクライナの主な都市4/16(土) Yahoo!ニュース
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/d8c9f40a0c15cc201357a77868460ad1

4/16(土)ー>6/10(金)


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By - NEWS ONLINE 編集部 公開:2022-04-12 更新:2022-04-12
地政学・戦略学者の奥山真司が4月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ情勢の今後について解説した。  
〇今後、ウクライナ東部で重大な戦闘が起こる
ウクライナに侵攻したロシア軍は4月11日、南東部最大の要衝マリウポリの制圧に向け攻勢をかけた。
マリウポリが陥落すれば東部ドネツク州の南部は完全にロシアの支配下に入り、ロシア軍は同州北西部への攻撃に全力を傾けるとみられる。
飯田)「今後2週間にわたり東部で重大な戦闘が起こる」という見解を、ウクライナ高官が示しているという報道もありますが。
奥山)その2週間の意味するところは、「弾薬的なもの、兵站的なものも含めて」ということだと思います。
プーチン大統領は今回、新たな軍の司令官を指名して、戦略の仕切り直しを行っています。
首都キーウの攻防戦から、東部と南部の方に比重を置くやり方に変えてきています。
〇現在の状況では停戦交渉を行うことは難しい 
~キーウを獲り戻したウクライナは実は「勝っている状況」でもある
奥山)いまも停戦交渉を行おうとしています。
日本の元外交官の方なども、「停戦させなければいけない。外交で停戦させるのだ」と言っていますが、停戦には程遠い状況にきていると思います。
飯田)程遠い。
奥山)むしろ停戦は遠のいていると思います。
ウクライナは現在、勝っていますよね。
首都にボリス・ジョンソン首相が訪問し、防弾チョッキなしで普通に街を歩く。
そういうことができるとアピールしているということは、世界の認識として、「プーチンさんは追い詰められている」と受け止めるはずです。
飯田)なるほど。あの画は「撃てるものなら撃ってみな」という。
奥山)そういうことですよね。
「ミサイルの脅威が」などと言われていましたけれども、実際はそのようなことはなく、それをわかっていてジョンソン首相も入っている。
つまり、現状はロシアが負けて守りに入っているということになるのです。
〇状況的に負けているロシアが狙うのは「一発逆転」であり、停戦交渉ではない
奥山)ギャンブルをする人であればわかると思いますが、「いま数万円負けている」となったら、儲けるまでやろうとするではないですか。
飯田)これで帰るという選択肢はなく、「種銭を倍にして絶対取り返すぞ」ということになりますね。
奥山)戦争は基本的にギャンブルですので、どうなるのかわからないところがありますが、自分の負けが込んでいる場合、普通のギャンブラーでしたら「取り返さないといけない」という気持ちになりますよね。
飯田)そうなります。
奥山)一発逆転だということになる。
通常、「ここで負けたから停戦だ」とはなりにくいわけです。
極めて大事なのは、「ウクライナが勝ってしまっているという事実が、実は停戦する状況を遠のけている」ということです。
〇ウクライナが攻めるための兵器を西側がどれだけ供給できるか
 ~勝負の分かれ目
奥山)もう1つは具体的な戦争の話になりますが、これまでは「ジャベリン」などを使って、守る側の歩兵が入ってきた戦車を撃つというような攻撃をウクライナはしてきました。
そのための兵器をアメリカなどから供給されて、それが成功している。
飯田)これまではそうですね。
奥山)しかし、今度はウクライナ側が攻め込まないといけないわけです。
そうなると、反抗するためには装甲車両、戦車が必要になります。
問題は、そういうものが西側から供給されるのかどうか。
「まったく足りないのではないか」ということが危惧されています。
飯田)戦力的に。
奥山)現在、我々が認識しなくてはいけないのは、ウクライナには人が大量にいます。
しかし武器が足りない。
反対にロシアの場合は、大量に兵器はあるのだけれども、戦う人数が足りない。
飯田人がいない、あるいは士気が低い。
奥山)この2つのコントラストがいま見えてきてしまっている。
「西側が早急に兵力を出せるか」ということが勝負になると思います。
飯田)チェコから旧ソ連製の戦車が出て、ポーランドとの国境に集結しているというような報道がありますけれども、実際にウクライナ側へ渡ったかどうかはわかりません。
奥山)そこは隠すと思いますが、それにしてもあの数だけではまだ足りないのではないでしょうか。
その部分をどれだけ西側が供給できるかが勝負の分かれどころだと思います。