民平的幸せ体感記3【40代編】

かつて世界一周一人旅をした「みんぺ~」のユルくてどうでもいいブログ。ちょっとハッピーな気持ちになれるとかなれないとか。

児童養護施設職員と宿題のお手伝い

2021年04月11日 | 児童養護施設の仕事
家庭的役割である児童養護施設の仕事の一つに家庭学習フォローがある。

まぁ宿題や受験勉強のお手伝いだ。

元々教育学部だったボクにとっては別に苦ではない。

でも、ボクたちは「先生」ではないので、スタンスには臨機応変さが求められる。

時に正しく全て解く以外を求められるコトも。

子ども達の学力や意識、状況も様々、宿題の量や内容がマッチしていない時は担任の先生に相談する必要もある。

そりゃ一人で集中してきちんとやれた方が良いんだけどさ。

そうもいかない様々な背景がある。

さて、先日、小学生Aくんが宿題の音読をやるというので聞いてあげるコトに。

週末三日分をやるそうだ。

ん?

三日分を一気にやるの?

まぁいっか。
選んだのは短い詩のページ。

今習ってる所を読むべきなんだろうなーと思いつつ…

まぁいっか…

読むよー聞いててねー

はいよー
さわってみようかなあ

さわってみようかなあ

さわってみようかなあ

つるつる

つるつる

つるつる



ん!?

そういう読み方!?

斬新(笑)

20年この仕事してきて初めての音読パターンに感心してしまった(^-^;)

まぁいっか(^-^)

児童養護施設の仕事は正しさばかりが正解じゃない時もある。

いや、そんなコトばかりかも(笑)

そういう仕事です(^-^;)

児童養護施設職員と巣立ちの春

2021年03月27日 | 児童養護施設の仕事
送別会を終え、一人、また一人と施設を巣立っていく児童養護施設の春だ。

今日はAさんとのお別れの日。

半月くらい前から、毎日泣き続けてきた彼女。

勤務の度に彼女のすすり泣く声が聞こえてきた。

脱水状態にならないか心配なほど。

そんなAさん、今日は泣かずに挨拶できた。

顔を上げて立派な挨拶だった。

不安で不安で一杯なはずなのに。

強くなったなぁ。

施設には様々な事情を抱えた子どもがやってくる。

最近は虐待を受けた子が多いけれど、そうじゃない子も。

保護者だって同じ。

育てたいけど、色んな事情で育てられず、施設に預けざるを得ない保護者も。

一人ひとり、家族ごと、それぞれの事情がある。

長い間、お世話になりました。

天国みたいな施設で生活できてAは幸せだったと思います。

Aさんの保護者の方は、涙と共にそんな感謝の気持ちを伝えて下さった。

この仕事を続けてきたコト、この職場で働き続けてきたコトに誇りを感じる。

そんな過分なお言葉だった。施設を出て初めての夜、Aさん、泣いてないかなぁ。

Aさんのこれからの人生が、今日の天気のように明るく穏やかでありますように。心からそう願うばかりだ。

児童養護施設職員が子どもへの対応で意識してるコト

2021年03月09日 | 児童養護施設の仕事
先日、施設の子を連れて、とある病院に通院した。

まだまだ出会って間もない子だ。

待合室に入ると、あちこち触り出す。

まぁ想定内である。

病院が苦手なようで少し不安そうな表情を浮かべながら、とにかく落ち着きがない。

そのうちに長椅子の上に寝転がり始めた。他の患者さんがいなかったのでまぁいっかと思いつつ、それでもなぁーと声をかける。

そこはベッドじゃないから座った方がおりこうだよー。

するとその子が一言。

この人と同じ格好してるだけだしなー。

指差したその先には…(笑)

そっか…まぁ神様がそうしてるのならいっかー(^^;)

ボクは公私共に、時と場合と相手によって、しつけの「べき」ラインを変化させている。

きちんと座る「べき」

静かにす「べき」

残さず食べる「べき」

などなど

要は注意ばかりにならないようにしている。

我が子ならともかく、施設の子についてはボクとの関係性、その子の特性、家庭背景、その日の心身の状態など考慮する必要がある。

どうすれば必要最小限に、伝えたいコトを感情的にならず伝えられるか。

ダメ!だけでなく、正しい行動を落ち着いて、分かりやすく伝えられるか。

大人だって感情的にグチグチ言われたら嫌なもの。

子育てのプロの腕の見せ所だ。

しかし、今回は壁の写真の中の神様(仏様?)に着目したその子の勝ちである(笑)

時に自分の負けを認めるのもそれはそれでテクニックだ。

子育てってメリハリが大切。

ふざける時はふざける。

真剣に伝えたい時は真剣に。

理屈抜きにダメなものはダメだって時もある。

何が正しいか分からないけれど、結果的に子どもが自然な笑顔を浮かべていたら、たぶん間違ってはないのかと。

ちなみにその子は不安そうにしながらも、ボクの手を握りながらおりこうに診察を受けられた(^_^)

児童養護施設の職員は親に代わって通院したりと医療機関との連携は必須である。

施設の子たちって何か不安なコトがあると身体のどこかが痛くなりがち。

逆に言うと、どこか痛みを訴えた時は何かが不安だっていうサインなのである。

時には身体的には意味のないバンソーコを貼るコトも。

心や身体の痛みを否定せず、そうかそうかと共感するコトにはきっと意味がある。

いや、絶対に。

血の繋がりのないボクたちに出来るコトは限られている。

でもボクたちだからこそ出来るコトもある。

傷ついた子ども達が心身ともに健康で、安心できる人生を歩めますように。

児童養護施設の朝

2020年12月04日 | 児童養護施設の仕事
気がつけばあんなに連日飛び交っていた暴言が、不器用で無愛想な、でもどこか憎めないつぶやきに変わっている。

朝日に照らされた味噌汁から上がる湯気をボーっと眺めながら、そんな最近を思い返した。

相変わらず挨拶に反応なかったし、バタバタな朝だったけど、全員登校したし、まぁ悪くない朝である。

ふぅ。

子どもに、後輩に、注いだ心身のエネルギーが無駄じゃなかった。

みんなそれぞれ成長してる。

どんなに忙しくても、ふと、そんなコトを気付ける余裕は大切にしたい。

時に壁にならないといけない父ちゃん的存在として、何をすべきか、何が出来るか、何をしないべきか。

考えて、行動して、考えて、そして行動して。

児童養護施設の仕事に就いて20年目、長く勤めると、手の抜き方、楽な仕事の仕方が分かる。

良くも悪くも。

でも、愛着に課題を持った子どもと本気で向き合おうとすると、無限のエネルギーが必要になる。

見返りなんて求めてられない。

まぁ子育てなんてそんなもんだ。

そんなコトを改めて感じる今日この頃。
子どもも大人もみんなハッピーになれますように。

児童養護施設職員と「最初の日」

2020年09月02日 | 児童養護施設の仕事
あなたにとって大切なものってなんですか?

人でも物でも場所でも時間でも何でも良いです。

3つくらい、頭に思い浮かべてみて下さい。

これはいつかどこかで受けた研修で講師に聞かれた問いだ。

この問いは、児童養護施設へ入所するコが抱く喪失感をイメージする時のヒントになる。

どんな事情にせよ家族と離れる体験は傷になる。

友達関係、よく行くお店、よく遊ぶ公園、ペット、当たり前の日常…

そんな大切なコトやモノとのサヨナラ。

ある日、住んでいた家庭や地域を離れて児童養護施設での生活を始めるコは、それだけの喪失感を抱えてやってくる。

一昔よりは、事前に施設見学してもらえるし、可能な範囲で意思を確認した上で入所に至る様にはなった。

それでも子ども達は、大小様々な喪失感を抱え、心に傷を負ってやってくる。

それが児童養護施設だ。

だからこそ、そんなコたちが施設で生活を始める「最初の日」を、出来る限り大切にしようと思っている。

長く施設で生活したコも、そんな「最初の日」のコトをよく覚えているもので、時々話題にあがる。

どんな風に迎え入れてくれた。

○○さんが話しかけてくれた。

○○を食べた。

○○さんが優しくしてくれた。

…でも不安だった。

…寂しかった。

だからこそ「最初の日」は丁寧でなければならない。
掃除はもちろん、寝具はしっかり天日干しして良い匂いの部屋にする。
好きなキャラクターなんかを事前に聞いておいて、ウエルカムボードを用意する。

好きな食べ物や嫌いな食べ物を事前に聞いておいて、可能な範囲で用意する。

不安で堪らない「最初の日」に、少しでも「安心」や「嬉しい」を感じてもらえるように。

キミが来るのを待っていたよ。

そんなに頑張らなくて大丈夫だよ。

そんなに良い子にしなくて大丈夫だよ。

安心できる居場所になりますように。

焦らずゆっくり見守っていくよ。

そんなメッセージを様々な形で伝える。

児童養護施設に新たにやってきた子どもが生活を始める「最初の日」はそんな感じ。

いつか思い返した時に暖かな気持ちになれる。
大切な「最初の日」が、そんな一日になりますように。