
EPOさん 母親からの虐待~急性ストレス障害…母のウソで壊れた自分
1/5(土) 7:11配信
読売新聞(ヨミドクター)
EPOさん 母親からの虐待~急性ストレス障害…母のウソで壊れた自分
EPOさん(写真・安斎晃)
19歳でデビューし、「土曜の夜はパラダイス」「う、ふ、ふ、ふ、」など、時代の空気をすくい上げたようなポップな楽曲で、大ヒットを連発した。
毎日がめまぐるしく過ぎていた1987年。その日はサザンオールスターズ・桑田佳祐さんのラジオ番組にゲスト出演の予定だった。
外出の準備をしていたら、玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けると母親が立っていた。幼児期から、自分への虐待を重ねてきた手には、包丁が握られていた。
「やめて――」。大声を上げたものの、母親は真顔で自分に切りつけてきた。
「本当に死を覚悟しました」と振り返る。
なんとか母親を振り切って、タクシーで所属レコード会社に逃げ込んだ。そこに、今度は父親から電話がかかってきた。
「そちらの所属アーティスト、EPOの父親だが、娘から自分の妻が暴行を受け、けがをした。警察に連絡すると本人に伝えてくれ」
加害者が被害者から暴行されたと、正反対のウソをつく――。しかも、母親と娘の間柄で。
「それを聞いた瞬間、自分自身が壊れました。過呼吸になり、意識を失っちゃったんです」
救急車で運ばれ、そのまま病院のベッドで眠り続けた。急性ストレス障害だった。
EPOさん 母親からの虐待~急性ストレス障害…母のウソで壊れた自分
EPOさん(写真・安斎晃)
恐怖におびえた日々、自分を責め続けて大人に
救急搬送された病院で意識が戻ったのは2日後。
「急性ストレス障害は一過性のもの。今は心を休めなさい」との医師の言葉に従い、短い休養を取った。
症状は回復し、仕事に復帰したが、心の傷は癒えない。娘が暴力を振るったという母親の虚言を妄信し、当初は自分を責めた父親への絶望感も残った。
母親のうそ、被害妄想、言葉の暴力などの虐待は、子どもの頃から日常的だった。恐怖におびえて、気が休まる時がなかった。
「母は精神疾患の境界性パーソナリティー障害でした。同性が大嫌い。女で生まれた私が脅威だったようでした」
鏡を見て、身なりを直した瞬間に激しく殴られた。小学生までは、男子のように髪の毛を刈り上げられた。
境界性パーソナリティー障害を持つ人は、感情や行動が不安定になりがちだが、誰もが攻撃的なわけではない。母親の場合、幻覚、幻聴、思い込みなどが高じて、娘への虐待という形で表れた。
このような環境で育つと、「怒られるのは私が悪かったから」と常に自分を責める子どもが多い。「自分の存在を肯定できないまま、私は大人になったのです」
一方、高校生で活動を始めた音楽では、周囲の人間関係に恵まれ、気がつくと人気歌手になっていた。
明るくポップな音楽、過酷な半生とは真逆…癒やしの曲作りへ転換
母親の異様な行動は、20代になっても続いた。留守のマンションに忍び込み、私物をチェックしたり、著名人である実の娘のありもしない作り話や、うわさを近所で流したりした。
当時の作風は、毎日を前向きに楽しむ女の子の姿を、ポップなメロディーに乗せた明るい曲ばかり。本人の過酷な半生とは真逆のイメージだ。
「母に受け入れてもらいたい気持ちと同様に、周囲の期待に応えたいとの思いだけで歌を作っていましたね」
急性ストレス障害から回復した頃、仕事に大きな転機がやって来た。英国の大手レコード会社との契約がまとまり、日本の音楽界を飛び出す決意をした。
現地のプロデューサーからは「あなたの声質は、人の心を癒やす方に使うべきだ」と進言された。やりたかった音楽の方向を示唆され、やっと自分の居場所がはっきりわかった気がした。
「明るくポップな音楽は好き。でも、当時の私を表現したものではなかった」
英国でアルバム、シングル2曲を発売し、新しい音楽作りへの確信を深めた。
帰国後、活動を再開した。かつての売れ線から離れ、人の心に寄り添うような深みのある旋律や歌詞の作品が増えた。ヒットは出にくいジャンルだが、支えてくれるファンは多かった。
EPOさん 母親からの虐待~急性ストレス障害…母のウソで壊れた自分
EPOさん(写真・安斎晃)
母と絶縁…44歳にして、生まれて初めての幸せな日々へ
音楽家として大きく成長したものの、母親からの嫌がらせが続いていた。それでも突き放しはしなかった。
「つながりを切ることに罪悪感と葛藤がありました。やはり親ですから」
転機になったのは、たまたま受けた催眠療法。施術の間、子どもの頃から心の中に凍結されていた悲しみが一気にあふれ出してきた。
このとき決意した。
「母に振り回される人生は終わり。自分が幸せになることを自分に許す、と」
二度と会わないことを母親に通告。一切の関係を断った。44歳にして、生まれて初めての穏やかで幸せな日々が始まった。
同時に「同じ苦しみを持つ人に体験を役立てたい」と、自分を救ってくれた催眠療法やカウンセリングを学ぶため、米国の専門大学に入学。日米を往復しながら、フロリダ州認定セラピスト、補完医療施術師の資格を取得した。
現在は、沖縄と神奈川県葉山でカウンセリングスタジオ「ミュージック&ドラマ」を運営する。
2015年には、アルバム「愛を~LOVE IS ON~」を発表した。自身が1980年代に置き去りにしてきた明るさが戻ったような、元気な作品になった。
「これが今の私の等身大のポップミュージック。ずっと自分に正直な歌を作っていきたいです」
(文・染谷一)

Daddy・Yoshi | 2時間前
昔の軽快な曲からは、想像もできないような人生を歩まれてこられたのですね。私も経験しましたが、身近に精神疾患を抱えた家族がいると、相当に振り回されます。家族内で留まっているうちは、まだ堪えられますが、外に対して攻撃されると対応に追われ、いわれなき誹謗中傷に怯えながら、それまでの生活が破壊されてしまいます。
しかし、自分が辛い目に遭った分だけ、人に優しく接することができるようになるという良い面もありました。EPOさんは辛い経験のすべてを優しさや癒しに変えて、曲作りをされているのでしょうね!素晴らしい!今後益々のご活躍を、心からお祈りします。
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tul***** | 2時間前
自分は悪くない子どもが悪いと作り話を人にして虐待する母親だったけどどこかで受け入れてもらいたかったと話すEPOさんに胸がつまった。これからEPOさんに幸せなことがたくさんあるようにと思った。
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返信4
御国 論 | 2時間前
こういう記事を読むと、嫁と義母(姑)より娘と実母の方が深刻な状況になりやすいのかな?と思うことがある。
嫁姑なら適当な距離感があるし逃げられるけど娘と実母は距離が近すぎる上に血が繋がっているからこそ逃げられない。
だから昔の人は娘を嫁に出して実家の父親や母親から解放したのかなと思えてくる。そうしなければ父親母親の歪んだ愛から逃れられない。
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muk***** | 1時間前
お父さんの理解がないのは更に追い込まれた原因だと思う。
縁を切ったのが遅いくらいですが、それはEPOさんがほんとに真面目で優しい人だったからでしょう。読んでて胸が苦しくなりました。
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返信4
coc***** | 2時間前
私も母に苦しめられてきました。
EPOさんほどではありませんが、対女としか私を見なかった母。
暴言や宗教で、押さえつけられてきて、自己肯定ができなくなっていました。
私が40代後半になって、70代の母が弱り、やっと解き放たれつつあります。
毒親は、本当に恐ろしいです。
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kat***** |22分前
私も同じです。こんな言い方残酷ですが、母親も歳をとり年々弱ってきました。ようやく少し解放された気もしますが、ただ、自分の人生あっという間に過ぎて、遅過ぎたなという実感はあります。
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ajt |8分前
毒親だったから、よけいに離れられず…そういう方が結構いる。
例えば介護。
夫や子より親を優先。激しい怒りを持ちながら介護している。壮絶な虐待…暴力、無視、兄弟格差を徹底して付ける、人格否定などで、長年の悲しみや辛い思いからか、我が身や我が家庭を犠牲にして。
報われることはない。すでに認知症で徘徊、排泄の始末に追われ、感情を爆発させる。フラッシュバックに病むことはあっても満足は得られず。
毒親とは縁を切る。自分が幸せになることを許しましょう!この一言!
未成年の子供の扶養義務は絶対だが、
親の扶養義務は絶対ではない。
自分の家庭を壊し、病んでまで見る必要はない!
行政は放ってはおけない。生活保護、入院時の署名すら市町村長の名前で可能。何とかする。
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cloudy |4分前
cocさん
解る様に思います。経験の無い人は、「毒親から離れて自立すりゃ良いじゃないか」と言うけれど、そんな単純な事ではないです。
私は母から逃げる為に20代から独立していましたけれど、本当に呪縛から解放されたのは、母が急性的に痴呆発症し暴れ狂ったその日でした。母の人格崩壊が解放につながるなんて、皮肉なものですね。今は、投薬で穏やかになった母ですが、憐れみしか感じません
よ。せめてあと10年早かったらな…とも。
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m+***** |2分前
パーソナリティ障害は加齢でエネルギーがなくなってくるのを待つしかない。普通はそれまで待てない。早めに距離を置くことが重要
返信4
sis***** | 1時間前
自分も、人生を振り回されて絶縁した家族がいます。
母親という家族に振り回され、自分の人生を脅かされた事って、聞くだけでも辛いです…。
今は自分自身の好きな音楽をやって、生きていけることは大抵の事じゃないと思うけれども、そこに来るまで大変だったと思います。
EPOさんの歌って、今でもカバーされたりしているけど、明るくポップな曲の裏側を知って、ショックでした。
でも、EPOさんの曲は、間違いなく時代を彩ったことは事実ですし、今なおカバーされていたりするのは、時代を超えて愛されている理由だと思います。
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kat***** | 23分前
いくら家族であっても、心を傷つけられるような人となら離れてたほうが自分の為にはいいのかもと思います。簡単に出来ないけどね。
自分も同じような感じで、大人になってやっと母親が普通ではないんだと知ったけど遅過ぎましたね。
お前はダメな人間だと育てられたので、自己肯定出来なくて自信がない。よって社会に出ても他人との関係がうまく築けない。いつも孤独。母親にはもう恨むとかそういう気持ちはないけれど、ただ母親によって人生ってかなり作られる部分てあるんだなあと思う。
あと愛された記憶がないので、自分も人を愛することができない。虐待されたことよりも今はこっちのほうが辛い。
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- | 30分前
包丁を持ち出す時点でとっくに入院するべき状態だと思うのだが…。
もっと日本は精神病の回復や対処の仕方に対して向き合うべきだと思う。
家族任せでは家族も精神病になってしまう。
早い時点で回復出来れば元気になりやすいし、家族も助かるのに。
でも精神病と言うと偏見が強すぎて受診すら遅れてしまう。そうなると回復も難しくなるし、深刻な状況に陥りやすい。
それは誰も得しないし、辛くなるだけ。
風邪を引いたら内科に行くように、少し眠れなくて辛い程度からでも受診できるような感覚になれば、だいぶ楽になる。
虐待、ブラック企業の過酷労働、持病などへの偏見、犯罪被害の後遺症…精神病になるきっかけはいくらでもある。目を背けるだけでは何の解決にもならない。
精神病患者だけでなく家族などの周囲も生きやすい世の中にするために、精神病に対する価値観を変えていく事から始めていくべきではないだろうか。
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返信1
samu%%% | 52分前
赤の他人からの迷惑行為ではなく身内からの、虐待。かわいそうでたまらない。
子供のうちは自分の家が唯一の家族で比べたりも出来ず自分が悪いからとすり込まれて悲惨な幼少期を過ごす。
そんな中でヒット曲を出し、明るいキャラクターで元気を与えていた事、尊敬します。
話す事で楽になれたらいいなとおもいます。
程度な差こそあれ、おかしな家庭で育ったことを老いが近付いてきた頃気がつく人もいると思う。
過去の傷をもつ人の心が安らぐ方法、知恵はあれば知りたい。
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返信1
San**nov***a | 2分前
親が子に注ぐのは無償の愛というけど、一歩間違えると自分の所有物、サンドバッグになってしまう恐ろしさ。もっと恐ろしいのは、親からの愛情を確認できないと大人になれない子供にとって、どんな目にあっても親を断ち切ることはできないということだろう。自分が無条件に受け入れられる場所、守ってくれる存在が親であり、それを認識しながら子供は世界に立ち向かって行く勇気や、自分の新たな世界を作る喜びを得ることができる。
軽妙な音楽で楽しませてくれたEPOがまさかこんな境遇だったとは全く知りませんでしたが、母親と縁を切るまでの道のりは簡単なものではなかったろうし、本当は身を切られる思いや一抹の寂しさはそれでもなおあったかもしれない。理性や理屈で割り切れるほど簡単なものではなかったであろうと思います。
rgx***** | 39分前
実の母と絶縁するのは、確かにためらいを感じるものがあると思います。が、事情が事情だから。
大変な人生を歩んでこられましたね、これからはご自分の人生を大事に過ごして頂きたいです。
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*bi***** | 1時間前
明るいエネルギッシュなイメージがあったので実母からの執拗な嫌がらせを受けていたなんて思いも知りませんでした。親の呪縛から解き放たれて良かったなと思います。これだけ嫌な目にあっていても親の存在をゆるせる心は私にはとてもでは持ち合わす事が出来ないと思います。
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kar***** | 23分前
肉親だろうが親だろうが縁を切る必要があれば切るべきだと思う。
悪影響に甘んじる必要はないし、人として生まれたからには幸せになる権利がある。
産んでもらった事には感謝ですが、親は子どもの足かせになってはいけない。
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Pipop | 15分前
同じ経験を持つ人間です。親の世代も一緒ですね。一体、あの世代に潜む鬼のような人々はなんだったんだろうかと、今になって思います。でも、今でも続いていますよね。周りが助けてあげないといけませんが、なかなか、わかってもらえないです。カウンセリングをなさっているとか、、素晴らしい事ですね。頑張ってください。
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hit***** | 51分前
「つながりを切ることに罪悪感と葛藤がありました。やはり親ですから」それでも断ち切らなければならないって壮絶ですね、ここまでではないけど娘が受ける母親からの言葉や待遇の暴力って結構あると思う、ずいぶん大人になってから気が付いた時には自尊心が失われていてつらい思いを抱えていて、親がおかしいと気づいた時から自分との戦いが始まる気がする。
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pop***o | 32分前
包丁で切りつけるというのは
ちょっと過激だけれど、
虚言や 何でも子供のせいにする親で、
真面目に相手をしていたら
精神を病むか
怒りで血管が切れそうになるケースは、
世間体よりも 自分の身を守ることを
優先した方が良いと思う。
身内の恥をさらすような話なので
公言をはばかられると思うけれど、
勇気を持って語ってくれたことで
助けられる人は多いと思う。
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yag***** | 1時間前
こんなつらい背景があったなんて想像つきませんでした。春の軽快なポップスを作るエポさん。化粧品のCMソングまでなりましたしね。
こんな簡単な言葉ではいい表せないですけど、その原動力が仕事に向かったんですね。人の心を掴むメロディ―、軽快なリズムで気持ちを楽しくさせてくれる。これからもまたいい歌を書いてほしいと思います。人の心、気持ちは変化していくもので、エポさんの才能がこれからまた新しい歌を作りだされると信じています。
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hir***** | 18分前
たぶん、EPOさん以外にも世の中に人には言えないで同様な似たケースがあると思います。
母親の方が心の病、それを子供のせいにし親子という密室で言葉や体罰によるパワハラ(虐待)で子供も精神を病んでしまいトラウマに。
大人になってもなかなかそのトラウマから抜け出せず、忘れている時はいいが何かをきっかけで嫌なフラッシュバック。
私(小学2年生も頃)は実の母親ではなく後妻に来た母親から父親のいないところで主に言葉の虐待と親戚に私の悪口を言われ嫌な思いをしました。
父親に言っても聞き入れてもらえず、私が悪いからだと逆に責められました。
高校生まで辛い人生でした。
今でもふいに思いだし、心があの頃に戻る時がときどきあります。
そういう母親は母親自身が心の病なのだと思います。
EPOさん、また素敵な歌を作って下さいね。
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fat***** | 2分前
親から受けた心の傷はなかなか乗り越えられるものではないと思う。他人から受ける傷よりも根が深い。増してや絶縁するって言葉では簡単だけど相当な葛藤があったと思う。大変な思いをされたんだな。
EPOさん、ひょうきん族の主題歌とか好きでした。頑張って欲しいです。
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alohawaikiki | たった今
EPOの明るい歌と張りのある元気な歌声、好きでした。今聞いてもよい曲がたくさんありますし。そんな裏で母親とその病気との葛藤、大変だったのですね。母親の呪縛から解放されて好きに暮らしたらいいと思います。自分が青春時代好きだった、元気をもらったアーティストですので幸せでありますよう。
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