



空気を原料に肉を作り出す…代替肉競争の最前線
11/24(日) 8:10配信
BUSINESS INSIDER JAPAN
空気を原料に肉を作り出す…代替肉競争の最前線
エア・プロテイン社のプロテインパウダーで作られた代替肉のタコス。
サンフランシスコのベイエリアを拠点とするスタートアップが、植物のように二酸化炭素をたんぱく質に変える微生物を利用して代替肉を製造している。
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この微生物を利用することで、他の植物由来の代替肉を製造するより、自然環境への悪影響を抑えられる可能性がある。
二酸化炭素をたんぱく質に変換するプロセスは、1960年代に宇宙飛行士のための食料開発をしていたNASAが発見した。
代替肉は、ジューシーで血の滴るようなバーガーやカリカリのベーコンを模倣することができる。その原料には、大豆やエンドウ豆のたんぱく質を用いることが多い。
10月、サンフランシスコのベイエリアを拠点とする新興企業が、さらなる代替手段となるような製品を発表した。空気から作り出したたんぱく質だ。
エア・プロテイン(Air Protein)という名の会社では、NASAが発見した、植物のように二酸化炭素をたんぱく質に変える技術を用いている。この方法であれば、他の植物由来の代替肉を製造する方法より、自然環境への悪影響を抑えられると、同社のリサ・ダイソン(Lisa Dyson)CEOは考えている。彼女はサンフランシスコ・クロニクルに、たんぱく質を製造するのに必要な土地と水が、大豆の場合の1000分の1で済むと語った。
だからこそ、このプロジェクトは畑ではなく実験室で始まった。
ダイソン氏は、NASAが1960年代に宇宙での食料生産を試みたことにインスピレーションを受けた。当時、研究者たちは、1年に及ぶミッションの間、宇宙飛行士にどうすれば食料を供給できるのかについて検討を重ねていた。現在のように植物工場もなく、3Dプリンターでの代替肉製造もできない時代だ。そこで、宇宙飛行士たちが日頃から産出している天然資源に目を向けた。二酸化炭素だ。
研究者らは、ハイドロゲノトロフ(hydrogenotrophs)という微生物が、二酸化炭素を無臭の粉末状たんぱく質に変質させることを発見した。この粉末からパスタ、シリアル、シェイクなど、あらゆる種類の食品を作ることができる。
現在、エア・プロテインではこの粉末を用いて代替肉を作ることに集中して取り組んでおり、2020年には製品の販売について発表したい考えだ。ただし、どのような形態の代替肉になるのかは、まだ明らかにしていない。
エア・プロテインのライバル企業も存在する。フィンランドのソーラーフーズ(Solar Foods)も、似たような粉末を製造する実験を行っている。微生物に水素と二酸化炭素に与えると、たんぱく質、炭水化物、脂肪の混合物を吐き出す。それを用いて製造した粉末で、プロテインのサプリメントやベジバーガーを作ることができる。
もう1つのスタートアップ、カリスタ(Calysta)は、天然ガスに含まれる炭素からたんぱく質を製造し、魚、家畜、家庭のペット用の飼料として供給することに取り組んでいる。
企業間の競争はさておき、これらの企業は「肉ではない肉」の市場における最大の難関に直面している。それは、味で消費者の支持を得ることだ。
[原文:A Bay Area startup is working to make 'air meat' using protein-producing microbes discovered by NASA]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

代替肉が食品革命をリード?日本市場での課題は
11/21(木) 17:01配信
日本食糧新聞
世界的なSDGs(持続可能な開発目標)理念に賛同する食品企業を中心にプラントベースフードの開発が活発化し、2020年は日本において“食品革命”の幕開けになり得る。それをリードする代表格となりそうなのが、代替肉(フェイクミート・ベジミート)だ。
代替肉が食品革命をリード?日本市場での課題は
台湾モスバーガーでは、ビヨンド・ミートを採用したバーガーを展開中
代替肉の開発は米国が先行
ビーガンやベジタリアンといった“食”に関する主義は、思想や宗教上のタブー、あるいは地球環境保全、天然資源消費の抑制、動物愛護など、多面的な理由が背景となっている。菜食主義は欧米に多いが、アジアでもインドや台湾などでは信仰的な理由からかなり自然な形で食習慣として根付いている。
一方、日本社会ではまだ浸透していないのが現状。だが高まる健康志向の中で、ヘルシーな食事としての代替肉の認知度は徐々に広がりつつある。
代替肉が食品革命をリード?日本市場での課題は
「ゼロミート 〈チーズインデミグラスタイプハンバーグ〉」は、中にチーズのような豆乳クリームを使用
巨大マーケットを持つ現在の米国では、代替肉の加工食品の開発に余念がない。マクドナルドやデニーズとも契約を結ぶビヨンド・ミート、「Impossible Burger」を完成させたインポッシブル・フーズ、米国ネスレが買収したスウィートアースなどが市場をリード。
そして、これら企業はアジア市場にも目を向けている。「Impossible Burger」は香港でも提供し、台湾のモスバーガーはビヨンド・ミートのソイパティを使ったハンバーガー「MOS Burger with Beyond Meat」を発売した。
しかし、いずれも現時点で日本進出や素材の輸出といった話は聞かない。ビヨンド・ミートに出資していた三井物産の発表で、日本でのビヨンド・ミート製品販売計画の取りやめも今年8月に明らかになった。理由はさまざま推測されるが、世界から一歩出遅れた感も否めない日本市場で、代替肉がどのようにブレークしていくかは、やはり味づくりの完成度とイメージ戦略による部分が大きい。
日本人の場合はヘルシー志向による代替肉の選択が多い。また残念ながら「どうせおいしくない」といった思い込みが一般的に払拭(ふっしょく)し切れておらず、このマイナスイメージを打ち砕くほどの“おいしさ”が必須となる。
ただし、おいしさと一言でいっても、食感・香り・見た目を含む複雑な要素が絡み合うため、製造技術がこの“食品革命”を左右する大きな鍵の一つとなる。さらに購入しやすい価格帯、幅広い選択肢といった点もクリアすべき課題だ。
日本の市販品で代替肉を採用した新製品は、ハンバーグやソーセージの展開をする「ゼロミート」シリーズ(大塚食品)、レトルトパスタソース「大豆のお肉のボロネーゼ」(マルコメ)、大豆肉の具以外も動物性食材不使用とした「ニュータッチ ヴィーガンヌードル〈担担麺〉」(ヤマダイ)、独自のチーズ代替品と大豆肉をトッピングした「家庭用ヴィーガンピザ〈新大陸の勇者〉」(マリンフード)など、調理済み、あるいはすぐに食べられる簡便さが特徴的だ。
さらにパッケージでいかに“本物の肉”に近づけたかを強調する商品がある半面、代替肉を大きくうたわないものもある。あるいは“大豆”でヘルシー感を訴求する商品もあり、一概に“代替肉”そのものを強調しているわけではないことも見えてきた。
日本の消費者に向けては、肉の代わりという意識から離れ、植物由来というポイントやそのさまざまな背景価値に重きを置き、日々の生活に自然に取り入れる導引が必要と考えられる。
10年後には世界で15兆円規模も
海外のアナリストや金融機関の予想によると、世界の代替肉市場は10年後に15兆円規模、食肉市場のシェア1割程度へ拡大するとみられている。
国連で採択されたSDGsの広がりを受け、飢餓の撲滅や海洋・陸上資源保全といった17項目の目標に取り組む機運が世界的に高まっていることから、こうした動きが代替肉の開発や需要拡大の追い風になってきそうだ。
日本でも来年の東京五輪大会の開催へ向け、かねて一部の食品メーカーがインバウンド需要対応などで代替肉の商品化に着手してきた。長期的な健康志向も背景に、国内で今後どのような市場が形成されていくのか。関連企業の取組みに注目が集まる局面だ。
日本食糧新聞社

加工わさび市場が縮小傾向 家庭用の徳用サイズは伸びが続く
11/21(木) 12:02配信
日本食糧新聞
加工わさび業界はこれまで堅調な推移を続けてきたが、今上期は家庭用、業務用ともに厳しい状況となった。ゴールデンウイーク前までは駆け込み需要があり、前年を上回って推移していたが、ゴールデンウイーク明け以降はその反動と7月の台風や冷夏などの影響で数字は伸び悩んだ。しかし秋以降は家庭用では回復傾向が見られる。業務用の国内は厳しさが残るものの、本格的な需要期である年末に向け需要回復が期待される。
加工わさび市場が縮小傾向 家庭用の徳用サイズは伸びが続く
わさびは着実に肉類に浸透している
年末需要の回復に期待
チューブタイプと粉わさびを含む家庭用加工わさび全体は、今年9月までの直近1年間の市場を見ると売上高は前年比0.8%減となった。チューブタイプが同0.3%減、粉わさびが同10.3%減となり市場は前年を割り込んで推移している。
チューブタイプの内訳を見ると、廉価品が同0.9%減、「本生」や「特選」などの主力品が同3.3%減、高級品が同0.8%増となっている。徳用サイズは好調を持続し同13.9%増の実績。これまで家庭用の加工わさび市場は堅調な推移を続けてきたが、今年度に入り市場は縮小傾向が鮮明となっている。
加工わさび市場が縮小傾向 家庭用の徳用サイズは伸びが続く
家庭用全国年間シェア(2018年10月~2019年9月)
この傾向はゴールデンウイーク明け以降から表れはじめ、特に台風と冷夏の影響が大きかった7月が大きく数字を下げた。7月単月で見ると、全体で同14.8%減となり、徳用サイズ以外のすべてのジャンルで2桁以上数字を落としている。
この傾向は加工わさびの業務用とも共通している。ただし、8月以降は徐々に回復傾向にあるとの話もあり、今後年末の本格的な需要期を控え、市場の伸びが期待されるところだ。
KSP-POSデータの2018年10月から今年9月までの1年間を見ると、トータルの金額は前年比2.4%減となっている。ベスト10のうち、前年を上回ったのは5位のエスビー食品の「お徳用おろし生わさび」と7位のエスビー食品「本生きざみわさび」の2品のみとなる。ほかはすべて前年を下回っている。
エスビー食品の9月までの1年間を見ると、加工わさび類トータルでほぼ前年並み、「本生」と高級タイプの「名匠」が前年を上回った。廉価品が前年を割り込んだが、徳用サイズは好調を持続している。「本生きざみわさび」は堅調に推移している。
ハウス食品は今上期でチューブタイプのトータルで前年比5.1%増と好調に推移している。同社は徳用サイズを2月から発売している。今後はこの伸びが期待される。
エスビー食品は家庭用チューブタイプや即席製品を製造する上田工場に新棟を建設し12月から稼働を開始する。最新鋭の設備を導入することで、安全・安心や生産体制の強化を図っていく。
家庭用の加工わさび類はこれまで堅調な推移を続けながら、肉類に合うきざみわさび類の発売などで需要の底上げを図ってきた。5月以降の市場は縮小傾向にあるが、本格的な需要期である年末を控え徐々に市場は回復傾向にあるともいわれている。徳用サイズや年末に需要が増加する「ホースラディッシュ」の動きに期待は高まっている。
※日本食糧新聞の2019年11月18日号の「加工わさび特集」から一部抜粋しました。
日本食糧新聞社
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