中国「捏造南京大虐殺問題」大炎上から見えてきた“反習近平派”の勢力拡大
1/7(金) 7:02配信
21
この記事についてツイート
この記事についてシェア
現代ビジネス
文化大革命を彷彿とさせる事態に
〔PHOTO〕Gettyimages
12月13日はいわゆる「南京大虐殺」があったとされる日である。この追悼式典は習近平体制になってからの2014年に国家レベルに格上げされ、日本に対する敵愾心をさらに強化する形となった。こうしたこともあって、この12月13日頃には中国の学校ではこの事件について授業中に取り上げられることが一般的である。
【写真】非民主国家中国が自画自賛する『中国の民主』白書、その驚きの中身
そんな中で、昨年末、ちょっとした事件が勃発し、中国全土に拡散した。
「南京大虐殺」では30万人の中国人が虐殺されたとされているが、この数字には裏付けできる証拠がないということを、上海震旦職業学院東方電影学院の女性教諭である宋庚一先生が授業中に述べたのである。彼女は、私たちは永遠に恨み続けるべきではなく、むしろ戦争がどのように起きるのかを反省することが最も大切だと指摘した。
まずは主観を傍に置いて事実を厳密に追う科学的態度の必要性を説き、いたずらに敵意を煽らず本質的な解決を目指すべきだという発言は、中国国内ということを考えると非常に勇気のいるものであり、大変立派な先生だと敬服する。
だがこの授業の様子は学生によって盗撮され、約5分の動画として中国のSNS「微博」に投稿された。そしてこの投稿を人民日報がわざわざ取り上げて宋先生を間違った中国人だと批判したのである。
学校はこの問題の調査チームを立ち上げ、彼女をすぐさま解雇した。ネットでも彼女への非難が殺到した。まさに紅衛兵が暴れ回った文化大革命を彷彿とさせる事態である。
そこへ、こうした動きに対して異論を唱える別の女性教師が現れた。湖南省湘西永順県郷村小学校の李田田先生である。李先生は密告的な行動を行った学生や宋先生を解雇した学校を非難する投稿を微博にアップした。さらにこの問題に声を上げようとしないメディアや知識階層に対しても批判の矛先を向けた。
彼女はこの一件で当局から脅迫され、妊娠中であるにもかかわらず精神病院に強制的に収容させられた。その後、世論の高まりによって釈放されたとはいえ、彼女は現在も厳しい監視下に置かれているという。
意外な展開をどう捉えるべきか
Gettyimages
そもそも事件の発端となった宋先生ですら拘束されていないのに、道理が通らないと声を上げただけの李先生をどうして精神病院送りにしなければならないのか、妊娠中の女性を強制的に精神病院送りにするなどというのは大変な人権侵害ではないか、とネットは炎上した。
宋先生も李先生も南京大虐殺があったこと自体は否定しておらず、共産党を攻撃しているわけでも中国政府を否定しているわけでもない。にもかかわらず、大問題だとして扱われ、学校を解雇されたり精神病院送りにされるわけである。このことに中国国内でも大きな反発があるのは当然だろう。
李先生にいたっては宋先生をめぐる状況がおかしいと声を上げただけでしかない。それなのに、体制側は過剰な反応を見せている。このことに対して違和感を覚えるというのは極めて常識的な反応だ。
そしておそらく中国国内で密告制度がどんどん強化されていることへの警戒感が広がっていることも影響しているのだろう。
習近平体制になってからというもの、この密告制度が大学内にまで広がり、自由な学問研究を阻害するようになってきている。北京大学の夏業良、重慶師範大学の唐雲副、北京師範大学の史傑鵬など、学生の密告によってその立場を追われた教員も数多い。習近平体制になってからどんどん強化されている言論空間の息苦しさへの反発があるのは当然である。
そして意外にも、体制派と見られている知識人たちからも李田田先生の擁護に回る人たちが出てきた。例えば、中国共産党の世界向けのプロパガンダ紙として知られる『環球時報』の名物編集長を長年務めてきた胡錫進氏が、李田田先生のこの事件について、県に対して状況を説明するように求めたのである。
このことは中国共産党内部が必ずしも習近平の完全支配となっていないことを意味する。習近平が進めようとしている毛沢東回帰路線に対して反旗を翻す勢力が一定数おり、それなりに力を盛り返していると見るべきだろう。
司法界も習近平派の圧力に屈しない
Gettyimages
さて、12月14日に中国最高人民法院(最高裁判所)は先に開かれた六中全会(中国共産党中央委員会第六回全体会議)の精神の研究と実施に関する報告会を開催した。
ここに呼ばれたのは中央党史・文献研究院の曲青山院長であるが、これには私は驚いた。というのは、曲青山氏は12月9日の人民日報に「改革開放は党の素晴らしい大覚醒である」という論文を発表しているからだ。
この論文は「六中全会の精神の詳細な学習と貫徹」のためのものとはされているが、実は改革開放を推し進めた鄧小平、江沢民、胡錦濤を讃えるものである。習近平が現在進めている鄧小平路線からの離脱に対する強烈な反発を示した文であり、この論文の中には習近平の名前が一度も出てこないことでも注目されている。
習近平が絶対的権力を持っているのであれば、習近平が党の核心であることを公然と無視している曲青山院長は失脚させられて然るべきだとも言えるが、そうはなっていない。それどころか、最高人民法院という司法界のトップまでが曲青山擁護の側に回っているとさえ言えるのである。
ちなみに12月15日に中国の財政部(財務省)も同様の報告会を開き、この場にもやはり曲青山院長を招いている。ここにも現在習近平が推し進める路線への強烈な反発が表れており、こういう勢力が習近平派の圧力に屈しないでいられるほど力を強めていることが見て取れるわけである。
なおこの報告会のことが財政部のウェブページ上にアップされたのは報告会が開かれてから1週間後の12月22日のことで、すんなりとは公開できない事情があったことが窺える。
気になる次期党大会の行方
Gettyimages
さて以前の記事でも書いたように、中国共産党の「中央経済工作会議」では中国経済が1)需要の収縮に直面し、2)供給に対する打撃に見舞われ、3)先行きも不透明だという「三重圧力」に直面していることが認められた。
これは中国経済が需要もダメなら供給もダメであり、さらに先行きも厳しいと習近平の経済政策が全否定されたものである。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/90669
習近平の進める政策に対する露骨な不満がこのような形で表出できるようになってきた動きを、現在の中国の大きな変化として見逃してはならないだろう。
ところで李田田先生が強制的に精神病院に入院させられたことについては、娘を心配した家族が決めたことだと母親が釈明した。李先生の姉も言論を理由に妹が強制的に精神病院送りになったというのは誤解であり、叔父などに説得されて精神病院に行ったのだと説明した。
だが、李先生の友人は、県の教育局と公安局から大勢の人たちが李先生の自宅にやってきて、発言が過ちであったと認めろと門の前で騒いでおり、精神病院に入院させられそうになっていると李先生から助けを求められたことを明らかにしている。
このことは張高麗・元副首相から性暴力を受けたことを告発した女子テニスプレイヤーの彭帥選手をめぐる話と似た構図になっている。
今のところは宋先生と李先生のこの事件が彭帥選手をめぐる事件と似ていることがクローズアップされる事態には全くなっていないが、今後はひょっとしたらわからない。この事件を利用しながら彭帥選手をめぐる事情について本人などの証言が信頼できないという言論が国外で高まることも可能性としては考えられる。
そしてそのように北京オリンピックに味噌がつくことは、習近平に失点を加えたい反習近平派にとっては歓迎すべき事態だとも言えるだろう。
中国政府に対して慎重に配慮した外交を日本政府は進めているが、一枚岩とはなっていない中国国内の勢力図も考えた上で対応を考えるべきではないか。日本が反中的に見える動きをすることで習近平の脚を引っ張るような形になることを歓迎する勢力も中国共産党内部では大きくなっているのだ。
いずれにせよ、習近平が次期党大会で異例の三期目に突入するのは確実だとの見通しが崩れつつあることだけは間違いない。
朝香 豊(経済評論家)
ぽんすぅ | 42分前
非表示・報告
弾圧政治の行き着く先は、打倒による崩壊か失脚になるのは歴史が証明している。
民衆への圧政が強ければ強い程、民衆の反発エネルギーは大きくなる。
返信2
139
6
t63***** | 31分前
非表示・報告
危ないのは国内を結束させようとしてあからさまに海外の国を敵視し、戦争を仕掛ける可能性がある。五輪以降にやる可能性はあるだろう。
あるいは国内が内戦状態に陥る可能性もある。どちらも国際的に経済の大混乱となるだろう。
静かに民主政治に切り替わればよいがそういった例は少ない。
返信0
44
2
fal***** | 20分前
非表示・報告
中国が一党独裁である限り権力闘争は常にあり権力を握った者は必ず仮想であっても敵国を作り上げる。政治力を高めるには敵を作ること。そうすれば強力な政治が生まれる。残念ながらカール・シュミットの言った友敵論は現在にも通用するように思う。韓国も政権が弱体化すると反日を強め日本を敵国扱いする。(民主主義の国のはずが)中国が歴史を盾に日本を敵国扱いすることは今後も変わらないと思う。
返信0
20
3
momohara | 12分前
非表示・報告
権力闘争は中国共産党のお家芸ではあるが、誰もが認める「国民的英雄」の履歴もなしにここまでの独裁制を敷いたのだから、これまで習氏に潰されてきた反対勢力のエネルギーはマグマの様にくすぶって一気に噴き出す機会をうかがっているのは間違いない。
返信0
9
0
bea***** | 40分前
非表示・報告
14億を統率するには独裁政治なのは理解できるけど、それを真っ当な方向へ導いて欲しいんですけど。ゲーム時間制限とかじゃなくて。
返信0
24
3
yak***** | たった今
非表示・報告
この記事を読んで思い出したのがルーマニア。そうならないように中国共産党は手段は取るでしょうけど。その先に待っている状況次第ではどうなるか。それは中国の歴史が教えてくれるのではと思います。
返信0
0
0
whi***** | 48分前
非表示・報告
習氏が交代することは相当困難だろうし、血が流れることになるの
ではないだろうか。
たとえ交代することになったとしても、次なる独裁者が誕生するだ
けの気がする。大国ほど独裁者による強力なリーダーシップに扇動
されやすいのではないか。耳障りの良いナショナリズムを掻き立て
て国民の心を高揚させ、冷静な判断を奪うのはヒットラーの時代と
何ら変わらないと思う。この習氏にしても、米国前大統領にしても
一定の支持者がいて、洗脳に近い原動力を有しているため抑止力が
正常に機能しないのではないだろうか。
何でもかんでもナチスに例えるのは愚かな思考停止だと思うけれど、
今の時代には存在し得ないかのように考慮から外してしまうことも
同様に歴史に学ばない愚かな思考停止だと思う。
返信0
49
2
tpq***** | 34分前
非表示・報告
今の指導部は、文革を経験した世代もいるし、鄧小平の改革開放路線による豊かさも経験してるから、習近平の毛沢東回帰路線には心底嫌悪しているはず
第一、習近平の親は文革で叩かれて僻地で亡くなったはず、自身も苦い経験をしたそう
自分の親がされたことを、今自分がしている
頭がおかしいんだろうな
返信0
25
0
ama***** | 38分前
非表示・報告
言論統制のある国は恐ろしい。
これで天安門事件を発言したらどないなるやら。
共産圏諸国は何時も主導権争いばかり。
昔から全然変わってませんね。
その点、共産主義を讃えながら日和みり政治を行おうとしている日本共産党を見習って下さい。
返信0
27
0
旅人 | 9分前
非表示・報告
行きすぎた言論統制は事実を曲げてしまうので、絶対に破綻はするでしょう。
ただ、張高麗が性的暴行を加えたというのはどこから出てきたのか?
こちらも正しく記載しないと物を書く資格はない。
my_***** | 37分前
非表示・報告
南京大虐殺は数字は常軌を逸しているが、それほど半日を煽って日本に実害をもたらしているとは思えない。中国が自ら矛盾を抱えていって、長期的に不安定要因の1つにしているだけだ。
返信0
4
5
函館内閣 | 49分前
非表示・報告
社会主義国家の末路が始まり始めたのかな。
空想的社会主義。
返信0
42
3
bun***** | 17分前
非表示・報告
公明党さん。この記事を読んでいますか?まだこれでも中国共産党を礼讃し続けるのですか?汚職に象徴される利権のみの宗教団体政党は次回の選挙で崩壊するでしょう。
返信0
5
0
jin***** | 12分前
非表示・報告
不確実の事をあたかも事実におきかえるのは習政権の常套手段です。
その罪に中国国民は末代まで被ることになります。
返信0
1
0
sqq***** | 48分前
非表示・報告
皆、もう分かってんじゃないの?
キンさんはじめ、中共がヒステリックに反応するのは、都合が悪い「真実」だよ。
返信0
44
1
k12***** | 15分前
非表示・報告
南京で全人口の20万人が殺されたと信じる人がいるとは思えないがまだ訂正しないのか!話10倍以上だよね。
返信0
1
0
oom***** | たった今
非表示・報告
まぁ中国は独裁国家なのだから、仕方ないだろうな。
もし自分が独裁者ならば同じ事をするだろう…
返信0
0
0
mar***** | 37分前
非表示・報告
習同志が目指す世界。
尊敬する毛沢東の偉業を模しているだけ。
返信0
5
1
知らんて | 4分前
非表示・報告
オリンピックあとの
台湾侵攻は決定的ってことすな
返信0
0
0
ang***** | 20分前
非表示・報告
李克強は秀才だけど、キンペーは頭悪すぎ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます