



ハーバード大教授 中国から資金供給受け訴追、月給540万円
2/12(水) 7:00配信
NEWS ポストセブン
ハーバード大教授 中国から資金供給受け訴追、月給540万円
ハーバード大学の教授が中国政府から資金を受け取っていた
米ハーバード大学教授が中国政府からの学術・研究協力の名目で多額の研究資金などを受け取っていたことを報告していなかったとして、米司法省は1月下旬、教授を「重大な虚偽、架空請求、詐欺」の容疑で訴追していたことが分かった。米紙『ニューヨーク・タイムズ』によると、米捜査当局はこれまで米国の71機関で、中国当局によって180件もの米国の知的財産権が盗用された疑いがあるとして捜査を行っているという。
この教授はハーバード大学化学・化学生物学部のチャールズ・リーバー学部長で、ナノサイエンス・ナノテクノロジーの分野で世界最先端の研究を行っている化学者とされる。
リーバー氏は2008年にノーベル化学賞候補と取り上げられたほか、ロイター通信は2010年に教授を「世界をリードする化学者」として報道。国際的に権威ある科学誌に400以上の論文を発表、ロバート・A・ウェルチ化学賞など多数の賞を受賞しているのに加え、50を超える米国の特許を保有している。
リーバー氏に目を付けたのが中国だ。海外の優れた研究者に資金的な支援を行い、中国の研究水準を高め、研究成果を中国経済の発展などのために活かすという「1000人計画」を主導している中国共産党中央組織部が同氏に計画への参入を呼び掛けた。
米司法省によると、リーバー氏は中国の武漢理工大学の「戦略科学者」として2011~2016年までの雇用契約を結ぶとともに、2012~2017年まで1000人計画にも参加。この5年間で、教授は毎月5万ドル(約540万円)の給料と年間15万ドル(約1620万円)の生活費を支給されていた。1年間で計約8100万円となる。
「武漢理工大・ハーバード大共同ナノテクノロジー研究所」の設立費として150万ドル(約1億6200万円)以上の資金に加えて、米中間を往復するビジネスクラス航空券代金も中国側が負担していることも明らかになっている。
しかし、ハーバード大側は武漢理工大学との共同研究所の設立について、リーバー氏から何の報告も受けていなかった。そのため、事の重大性に鑑み、リーバー氏を休職扱いにし、米捜査当局と協議。米司法省はリーバー氏が中国側と契約を結んでいた時期と、米国国防総省と米国立衛生研究所から研究資金を受け取っていた期間が重なっていることを問題視。米連邦捜査局(FBI)がリーバー氏を尋問した際、リーバー氏は中国側と関係を否定するなど、明らかに虚偽の受け答えをしたという。
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そんな場合か、WHO会合に台湾の出席を拒む中国
2/11(火) 6:00配信
JBpress
そんな場合か、WHO会合に台湾の出席を拒む中国
2020年2月8日、台湾の基隆港に停泊中のクルーズ船「スーパースター・アクエリアス」に乗り込もうとしている防護服を着た防疫作業員。台湾から那覇に向かった同クルーズ船は、日本での寄港を拒否され、台湾に引き返していた(写真:AP/アフロ)
(譚 璐美:作家)
NHKニュース速報(2月9日付)によると、WHO(世界保健機関)は、新型コロナウイルスをめぐって今月11日からスイス・ジュネーブで開かれる緊急会合に、台湾からの専門家の参加を認めることを明らかにした。
今回の緊急会合には、世界各地の専門家400人が参加する予定だが、台湾の参加を認めたのは異例の措置だ。
このニュースに接して、私が真っ先に思い浮かべたのは、2日前に見た台湾人留学生たちの悲哀に満ちた表情だった。
■ 「中国の圧力でWHOから排除されている」と留学生が訴え
2日前の2月7日、アメリカ・ニューヨーク市のターミナル駅・グランド・セントラル駅では、大勢の通勤客が行き交う中で、台湾人留学生数十人がボードを手にして、背中合わせで円形に立つ姿があった。ボードには、「TAIWAN into WHO」などと書かれ、新型コロナウイルスが中国で感染拡大するなか、台湾がWHOから排除され続けている現状を訴えていた。
留学生のひとり、郭秀芳さん(仮名)は、
「中国から最も至近距離にある台湾では、今、新型コロナウイルスの感染拡大の危機にさらされています。しかし中国の政治的圧力により、WHOから締め出されて必要な情報が得られていません。その現状をアメリカの人たちにも知ってほしいのです」
と、声を震わせた。
アメリカの国際教育協会(IIE)によると、2018年~2019年度のアメリカの大学・大学院に在籍する留学生総数は109万5299人。そのうちアジアからの留学生総数は76万8260人で、全留学生数の70.1%を占めている。
留学生の出身国別では、1. 中国、2. インド、3. 韓国、4. サウジアラビア、5. カナダ、6. ベトナム、7. 台湾、 8. 日本、9. ブラジル、10. メキシコである。
トップの中国は32万8547人と際立っているが、7位の台湾は2万1127人で、8位の日本の1万9060人よりも多い(2017年調べ)。日頃からおとなしく目立たない台湾人留学生たちが、今回ばかりはやむにやまれず立ち上がったのだろう。アメリカ人の通勤客に向けて、寡黙にメッセージを送り続ける姿からは、並々ならぬ危機感と悲壮感が漂っていた。
■ 多額の分担金を拠出する中国にWHOも忖度
中国の武漢で新型コロナウイルスが発生したのは昨年12月末。それから急速に世界へと感染が拡大する中で、WHOと台湾の間でどのような事態が展開されてきたのか。各種情報をまとめて、これまでの経緯を振り返ってみたい。
WHOは1月30日、新型コロナウイルスに関する2回目の緊急委員会を開き、公衆衛生上の「緊急事態」を宣言した。しかし30日の緊急委員会だけでなく、1回目の1月22~23日に開かれた緊急委員会にも、台湾を招待しなかった。
1971年に中国が国連に加盟するのと同時に脱退した台湾は、その後、国連常任理事国となった中国の反対により、WHOなど多くの国際専門機関から排除されてきた。国連の活動資金となる各国の分担金拠出金をみると、中国がアメリカに次いで2番目に多く、そのことが国連における中国の発言権の大きさに影響している。
今回、台湾の蔡英文総統は「WHOには政治的要因で台湾を排除せず、台湾が参加できるようにしてもらいたい」と表明した。
というのも、台湾はWHOに加盟できないばかりか、国際民間航空機関(ICAO)にも未加盟のため、新型コロナウイルスの空路による感染防止に関する情報提供が受けられず、空港などでの水際対策に多大な費用負担を強いられているからだ。ICAOの事務局長は2015年8月から中国人が務めている。
台湾では1月21日に武漢で働いていた50代の女性が感染していたことが確認され、2月9日までに18人の感染者が出ている。こうした世界各地での感染者数をWHOは随時発表しているが、国別の統計では、台湾の感染者数を中国に含めて発表している。また3日付の報告では、実際には10人であった台湾の感染者数を13人として発表。台湾の異議申し立てにより、WHOが訂正する一幕もあった。
■ 露骨な台湾排除に加盟国から疑義が
新型肺炎への対応が世界的な優先課題になっている中でも続けられる、中国に配慮したかのようなこうした台湾軽視の姿勢に対し、さすがに他の加盟国からも懐疑的な声が上がり出した。
1月29日、カナダのトルドー首相は、「台湾がWHOの会議にオブザーバーとして参加することは国際衛生上、最大の利益をもたらす」と議会で答弁し、1月30日、EUも台湾のWHO参加を支持する立場を示した。
日本の安倍晋三首相も1月30日の参議院予算委員会で、「政治的な立場で、この地域を排除するということを行うと感染防止は難しい」と発言し、台湾がWHOに参加することの必要性を強調した。
そして2月6日、スイス・ジュネーブで開催されたWHO執行理事会で、新型コロナウイルスへの対応が話し合われた際、台湾がWHOに参加していないことを疑問視する声が相次いだ。
米国のアンドリュー・ブレンバーグ在ジュネーブ国連大使は、「WHOは感染地域である台湾の公衆衛生データをはっきり目に見える形で公開し、台湾の公衆衛生当局と直接連携して対応にあたることが技術的に急務だ」と述べて、WHOに対して台湾との連携を呼びかけた。
日本の岡庭健ジュネーブ国際機関政府代表部大使も、「特定の地域がオブザーバーとしてでさえもWHOに参加できない状況を作り出すことにより、地理的な空白を作るべきではない」として、米国の主張に賛同する意向を示した。
その他、カナダ、ドイツ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、ベルギーなども台湾のWHO参加に支持を表明。これに対して、中国はなおも「おおいに不満」だとして激しく反対した。
台湾では2002年、SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際にWHOから診断方法などの重要情報を得られず、SARS封じ込めに出遅れた感がある。感染が確認された346人のうち、73人が死亡。最終的に、感染疑い例を含めると死者は180人にのぼり、SARSの終息が世界でもっとも遅れたことが、前例としてあった。
■ 中国による「台湾締め出し」は今後も続く
WHOでは、今回の新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるためには、再び同じ過ちを繰り返してはならないという参加国の多数意見が勝り、中国の強硬な反対を押し切る形で、ようやく台湾のWHO参加が認められたのである。グランド・セントラル駅で見た台湾人留学生たちも、今頃はさぞかし安堵していることだろう。 もっとも、これは異例中の異例だと言っても良い。今後も中国政府はことあるごとに、国連の各種専門機関から台湾を締め出すよう圧力をかけ続けるにちがいない。
しかしながら、人類の未来は多難の時代を迎えている。温暖化による海面上昇、干ばつと水害、巨大地震の多発、火山の大規模爆発など、地球のあちこちで異常事態の発生が予測される中、世界が協力して迅速に取り組まねばならない課題はますます増えるだろう。そのとき世界の指導的役割を担うべき国連は、まだ中国の意向ばかり気にして、無駄な時間を費やすつもりなのだろうか。
譚 璐美

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