小池都知事の告発状郵送 学歴詐称疑惑で
6/9(火) 19:06配信
共同通信
東京都の小池百合子知事がカイロ大を卒業したとするのは学歴詐称の疑いがあり、偽造有印私文書行使罪に当たる可能性があるとして、東京都の男性が9日、告発状を東京地検に郵送した。
都のホームページには、小池氏は1976年10月にカイロ大文学部社会学科を卒業したと記載されている。
告発状によると、小池氏は2016年6月、学歴詐称疑惑を扱ったテレビ番組用の資料として、偽造された卒業証書と卒業証明書を担当者に送った、としている。
18年に学歴詐称を指摘する雑誌報道があった際、小池氏は記者会見で「卒業証書もあり、大学側も認めている」と反論している。
カイロ大学の深い闇…小池百合子が卒業証書を「出せない」理由
5/30(土) 18:35配信
現代ビジネス
「学歴詐称大国」エジプト
カイロ大学
小池百合子東京都知事は、自身の学歴詐称疑惑に関して、ほとんど説明らしい説明をしたことがない。常に言うことは「卒業証書も卒業証明書もある。カイロ大学も卒業を認めている」だけだ。しかし前回の記事で指摘したとおり、その肝心の卒業証明書と卒業証書の提出を頑なに拒否しているというのであるから、お話にならない。
【写真】再燃する小池百合子の「学歴詐称」疑惑…首席も、卒業すらも嘘なのか
そしてカイロ大学が認めているというのも、きわめて怪しげな話である。
カイロ大学を含むエジプトの国立大学では、小池氏が卒業したと称しているサダト大統領の時代(1970~81年)から現在に至るまで、不正な卒業証書の発行が行われてきた。
エジプトは、「腐敗認識指数」で世界180ヶ国中105位(ランキングが低いほど腐敗度が高い)という汚職や不正が横行する国である。大学の卒業証書など、カネとコネでなんとでもなる。このことは、カイロ大学の学長も2015年にテレビで認めている。
エジプトにおける不正卒業証書の発行は、大学ぐるみのもの、教授や職員が関与して行うもの、外部の業者が大学の職員に手伝わせて行うものなどいくつかのパターンがある。
エジプトでは有力政治家が「この人間を卒業したことにしろ」と言えば、そうなるのは当然のことと受け取られている。筆者は5回の現地調査で、数多くのエジプト人に会ったが、このことを否定する者は誰一人おらず、現地では “社会常識” だ。国立大学の偽卒業証書で医者をやっている人間が複数いることも確認されている。エジプトとはそういう国なのだ。
成績表も学内の記録も完璧に偽造
サダト、ムバラク(在位1981~2011年)時代に横行していたのは、有力政治家の依頼による、不正な卒業証書の発行だ。
エジプトの国立大学の複数の職員は「大学で勉強したこともない多数の国内外の政治家、有力者、その関係者に学士の卒業証書が不正に与えられた」と証言している(証言記録やメールのやり取りは手元に保管してある)。
また、ベテランのエジプト人ジャーナリストは「エジプトの有力政治家が『この人物を卒業生にしろ』と命じれば、学長は職員に命じて卒業証明書や卒業証書を作らせる。職員は入学記録や初年度の成績などを参考に成績表も偽造し、大学内の記録も含めて形式的に完璧にする。したがって書類だけを見れば瑕疵がない、これはエジプトでは当たり前のことで、事務的に処理される」と述べる。
エジプトの国立大学による不正な卒業証書の発行は現在も続いており、2015年にはカイロ大学のガーベル・ガード・ナッサール学長がエジプトの民放に出演し、7、8年前(すなわち2007、8年)から大学教授、職員、政治家などが関与して、不正に卒業証書が発行されており、ナッサール学長自身、卒業証書発行業者がカイロ大学の職員の手引きにより、大学内の講堂を使用し、資格取得のための講習をしているのを番組の2週間前に偶然目撃したと話している。
2017年には、エジプト人女性ジャーナリスト、ダリヤ・シェブル氏がFacebookなどのSNS上で卒業証書を販売している複数の業者に接触し、実態を記事にしている。ある業者は、「大学内部の記録まで捏造して卒業証書を発行する場合は40日、そうでない場合は20日で納品できる」と言ったという。別の業者は「自分にはカイロ大学、アイン・シャムス大学、ファイユーム大学、ザガジグ大学内に協力者がいる」と話したという。
シェブル氏が業者に依頼したところ、業者が実際に彼女の名前でカイロ大学のメディア・サイエンスの博士号の証書を発行し、ヨルダン人の知人にカイロ大学の医学士(外科)の証書を発行した。さらに、アイン・シャムス大学の偽卒業証書で検査部門の医師として働いている人物に会い、アイン・シャムス大学医学部の偽卒業証書で実際にクリニックを開業し、整形外科医として患者を治療している人物が存在することも突き止めている。
カイロ大学側の奇妙な回答
小池百合子東京都知事
小池氏は、従来から「カイロ大学は何度も自分の卒業を認めている」と主張しており、先の都議会でも同様の答弁をした。
しかし、筆者が知る限り、同大学文学部日本語学科長のアーデル・アミン・サーレハ教授が、最近、ジャーナリストの山田敏弘氏の取材に対し「(小池氏は)1年時にアラビア語を落としているようだが補習でクリアしている」と回答したり、同じく石井妙子氏の質問に対して「確かに小池氏は1976年に卒業している。1972年、1年生の時にアラビア語を落としているが、4年生のときに同科目をパスしている」と回答した程度だ(なぜ学部長や学生部長や社会学科長ではなく、担当外の日本語学科長が回答するのか不思議ではある)。
サーレハ教授の回答も奇妙だ。山田氏には小池氏がアラビア語を補習でクリアしたと言っているが、補習であるなら1年次にクリアしたということだろう。しかし石井氏に対しては、4年のときにパスしていると回答している。
もっと奇妙なのは、回答内容が、小池氏自身の著書の記述と違っている点だ。小池氏は『振り袖、ピラミッドを登る』(1982年)の58ページに、1年目に落第し、次の学年に進級できなかったとはっきり書いている。エジプトの国立大学では、科目を3科目以上落とすと、次の学年に進級できない。したがって小池氏の場合、卒業に最低で5年かかり、早くても1977年となる。
当たり前の話だが、エジプトも日本同様、1年落第すれば、卒業は1年延びる。この点は複数のエジプトの国立大学の卒業生にメールで確認をとったので、間違いはない。
サーレハ教授は、「1976年に卒業した」という小池氏の主張に沿った回答をしたつもりなのだろうが、小池氏が日本で書いたことは知らなかったようで、ずいぶんと間が抜けた話である。そもそも『振り袖、ピラミッドを登る』自体、1年目で落第したが4年で卒業したと、まったくあり得ないことが書いてある。
エジプトの国立大学は軍によって完全に支配されている。エジプトは1953年に王政から共和制に移行して以来、2012年6月から2014年6月までの2年間を除いて軍が支配してきた国だ。カイロ大学をはじめとする国立大学は、軍出身のシシ大統領が、日本との経済援助交渉などを有利にするため、小池氏をカイロ大学の卒業生にしておけといえば、忠実にそれを実行する。
ただサーレハ教授が、軍事政権の命令で、前述のような回答をしたのかどうかは定かではない。すでに述べた通り、エジプトではカネやコネで、大学内部の記録を書き換えたり、卒業証書を発行することはいくらでも可能だ。もしかすると、1976年から現在までの間のどこかの時点で、何者かによって小池氏の記録が書き換えられ、サーレハ教授は単純にそれを見て言っているだけなのかもしれない。
エジプト副首相との強力なコネ
小池氏は留学当時、父親をつうじてエジプト副首相だったアブデル・カーデル・ハーテム氏と強力なコネを持っていた。したがって、やろうと思えば、不正に卒業証書を手に入れることはいくらでも可能だった。もしそうしていれば、本物の卒業証書類を持っているはずだ。
しかし、その提出をひたすら拒んでいるのは、もしかするとハーテム氏のルートで「卒業」したのではないのかもしれない。
石井妙子氏による『小池百合子「虚飾の履歴書」』(文藝春秋2018年7月号)の中で、同居人女性は、「(カイロ大学に)入学した時は、ドクター・ハーテムの名前をさかんに聞いていたのですが、この時(小池氏が1976年5月の進級試験に失敗し、最終学年でなかったので追試も受けられなかった時)彼女の口からは一度もハーテムに頼んでみる、といった言葉は出てこなかった。入学はともかく、あとは自分で努力しなさい、ということだったのか、疎遠になっていたのか」と証言している。
その場合、別ルートで小池氏は卒業証書類を入手したことになる。カネで大学の内部記録を書き換え、本物同様の卒業証書類を手に入れたか、あるいは、どこかで偽造したかだ。いずれにせよ、都議会に現物を提出できないというのは、自分が持っている証書類が本物ではない(あるいはその可能性がある)と認識しているからだろう。違うと言うのなら、現物を出せば済む話だ。
日付や消印がある手紙やメモにもとづいた同居女性の証言、卒業証書類の提出を頑なに拒む態度、1年目に落第しながら4年で卒業したという自著の矛盾した記述、「お使い」レベルのアラビア語、卒論に関する事実に反する議会答弁、当時を知る複数の日本人の証言と矛盾する入学年などに照らせば、小池氏がカイロ大学を正規のルートで卒業したと信じるのは到底無理な話である。
黒木 亮
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