商業施設・エキスポシティが開業、徹夜組も 大阪・吹田
2015年11月19日14時53分
レジャーと買い物を楽しめる複合施設「EXPOCITY(エキスポシティ)」が、大阪府吹田市の万博記念公園に19日開業した。関西では近年、大型の商業施設が続々とオープンし、消費者を引きつける競争が激しくなっている。
■体験型サービスが売り
「万博の熱気をよびさますような施設にしていきたい」。エキスポシティの代表者が開業式でこう宣言した後、カウントダウンが始まった。午前9時半にオープンすると、徹夜組も含めた約4千人が、めざすお店などへ流れ込んだ。
「1日楽しみたい」。兵庫県姫路市の田中絵理さん(31)は職場の友人と3人で午前5時半に姫路駅に集合し、午前7時ごろ並んだ。お目当ては限定ポップコーンで、友人は洋服店やガンダムの限定品が楽しみという。
開発した三井不動産は、店での買い物とともに、様々な施設で遊んだり、学んだりできる「体験」を売りにする。レジャー施設に加え、商業施設「ららぽーと」内も独自の体験型サービスを提供する店が多い。洋菓子店などで、クッキーづくりやケーキづくりを体験できる。
体験型を打ち出す背景にあるのは、消費の変化だ。
服や雑貨を買うだけならば、ネットで事足りる。その場ならではの楽しみの提供が、ネットやほかの店との競争に勝つ方策だ。利用客が長く滞在すれば、食事などの売り上げも膨らむ。
三井不動産はエキスポシティを、新たな商業施設のあり方を探る「挑戦の場」と位置づける。小島浩史・リージョナル事業部長は「娯楽と買い物を両方楽しむ流れをつくりたい」と話す。
■関西の商業施設、競争激化
関西では近年、大型商業施設の開店や改装が相次ぐ。関西初の店をテナントに入れたり、レジャー施設との複合施設にしたり。様々な特徴を競っている。
東急不動産が大阪市内で4月に開いた「もりのみやキューズモールBASE」は、屋上に1周約300メートルのトラックがある。隣にある大阪城公園を眺めながら、無料で緑の人工芝の上をランニングできる。スポーツも買い物も楽しめる。
イオンモールは10月に「四條畷」(大阪府)の店を、昨年10月に「京都桂川」(京都市)の店をそれぞれ開いた。「四條畷」には、座席が動く体感型のシアターを備えたシネコンも入る。阪急電鉄は昨年、西宮北口駅前の「阪急西宮ガーデンズ」の店舗の約3割をリニューアルした。
一方で、施設間の競争が激しく、限られた市場を奪い合う姿になっている。日本ショッピングセンター(SC)協会によると、昨年のSCの既存店売上高は、関東が前年比1・1%増に対し、近畿は0・9%減。村田公昭専務理事は近畿の現状について、「店は過剰ともいえる状態で、消費の変化に対応できた施設が生き残れる」と話す。(溝呂木佐季、田幸香純)
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〈EXPOCITY(エキスポシティ)〉 八つのレジャー施設と、305の店が入った商業施設「ららぽーと」がある。大阪モノレールの万博記念公園駅から徒歩2分で、年間の来場者を1700万人、売り上げを600億円と見込む。延べ床面積22万3千平方メートル、店舗面積7万1千平方メートル。閉園した遊園地「エキスポランド」の跡地に、三井不動産が建設した。
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