空き缶の分別で小学生が特許――。愛知県安城市立丈山小学校6年の神谷明日香さん(12)は、磁石の性質を利用して、スチール缶とアルミ缶を分別する仕組みの特許を、8月14日付で取得した。特許庁によると小学生の特許取得は全国的にも珍しいという。7日、神谷学市長に報告する。

 分別箱には、缶の投入口の少し下に、磁石2枚を貼り付けたプラスチック板をぶら下げた。分別箱の中は二つに分かれており、アルミ缶はそのまま下に、磁石に引き寄せられたスチール缶はもう一方の箱に収まるという仕組みだ。

 3年生で磁石の性質を学んだ。家で遊んでいたときに、鉄が磁石の方に大きく引きつけられるのを体験し、「これは」と思い立ったという。

 ログイン前の続き神谷さんの自宅兼商店前には自動販売機が設置されている。多くの缶が分別されずに捨てられる。祖父がそれを苦労して仕分ける姿を目にしてきた。登校途中、目にするゴミステーションでも分別されないごみを見た。「大変な缶の分別作業が簡単にできないか」と考えて、夏休みの研究作品として取り組んだのが、今回の出発点だった。

 磁石などはホームセンターで買える一般的なもの。だが、プラスチックの大きさが、分別の成否に大きく左右する。「何回か試行錯誤した結果、最適な大きさが分かった」という。また、缶を入れた際、磁石側に落ちるよう、入れ口に斜めの紙をつけるといった工夫もした。

 昨年度の第51回市小中学生科学賞作品展「かがくのひろば」(発明工夫の部)に、「落とすだけ!分別ゴミ箱」として出品し、優秀賞を受賞。昨年末、この仕組みを「低コストで分別できる空き缶分別箱」として申請し、特許を取得した。 神谷さんは、笑顔で「取れると思っていなかったのでうれしかった。発明は好きです」。今年の夏休みの研究作品は、本棚の本が斜めに倒れないよう、木の棒で本を固定する装置だという。