すすが立ちこめるお堂にゆらめく灯明の炎。高く低く響く声明(しょうみょう)。カロロロン、と鈴の音。大板にひざを打ち付ける「五体投地」の音、震動。東大寺二月堂の修二会では、11人のこもりの僧が日夜祈りを続けている。5日夜には「実忠(じっちゅう)忌」の法要、過去帳奉読などがあり、多くの人が格子の向こうを見つめた。

 僧侶の祈りは「内陣」と呼ばれる二月堂中心部で営まれる。参拝者はお堂の東西南北にある「局(つぼね)」という部屋などで聴聞する。つぶさには見られないが、朗々と、時に引きずるように、時に力強く響く声明を聴き、張り詰めた行法に触れられる。

 5日の聞きどころは、過去帳。聖武天皇と光明皇后、東大寺建立や修理に尽くした人々、歴代の別当、伝説の「青衣(しょうえ)の女人」……。九州の末寺から参籠(さんろう)している尾上徳峰さんが、文字を時折指でたどりつつ、抑揚を効かせて読み上げた。752年に修二会を始めたという実忠の忌日の法要もあった。

 ログイン前の続き奈良署によると、5日のお松明(たいまつ)参拝者は約1万人。二月堂下が混み合ったため、入場が規制された。大仏殿の北東側に第2拝観所がある。

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 局での聴聞は12日を除き誰でもできるが、撮影や携帯電話の使用は厳禁。汚れてもよい服装で、マスクや布の靴袋があるとよい。