私の住むこの一帯は阪神大震災のあと埋め立てられて作られたと聞いている。
西日本最大級のヨットハーバーに面した綺麗なところだ。
市内からは大きな橋を渡ってここに入らなければいけないので、
車を持っている人がとても多い。
ここのマンション群は1棟が70軒くらいで、
我が家のある「海のまち」と名付けられているところは、
その規模のマンションが7棟建っていて一角をなしている。
そんなマンションのコミュニティが、
「杜のまち」「桜のまち」「丘のまち」「花のまち」「港のまち」と続いていて、
あとは県営と市営の住宅、一戸建てもある。
だから選挙になると選挙カーが2台も3台も一緒に走ったりもする。
このマンション地帯を一回りすると、何千人もの有権者に聞いてもらえるからだ。
この市は南北の文化格差が大きい。
北に行くにしたがって、すぐに山がせまっていて、住んでいる人もまばらになり、
地価も途端にグッと下がる。
しかし中間部から南部は人口が多く、
実は「阪神間で最も住みたい街」と言われている。
私はこの出島のようなマンションが100%望みの住みかではない。
なんだか人が住んでいないような錯覚に陥るときもあり、
少し淋しすぎるような気がするからだ。
でも夜はこれでもかというくらい静かだし、
街は電線が地下に埋められていて景観がよいし、
道路の街路樹もよく手入れされていて、桜のトンネルもあってすごく綺麗だ。
晴れた日にはキラキラと耀く蒼い海を見ることができるし、
潮風を深く吸い込んで季節を感じることもできる。
そして今日は雨。
雨が降るとこの街の匂いがする。
この広さにしては多い木々の緑の匂いや、海の匂いが混ざって、
何とも言えない良い薫りがする。
さっき雨が強くなって風がサーッと通り過ぎたとき、
その薫りを胸いっぱいに深呼吸して、この街の良さを感じ取った。
雨は出掛けるには面倒だけど、
私は雨に濡れた木々の匂いが大好きだ。
こんな街に住んでいて「森林浴」をしているような気分になれる。
くぅ