世間をちょっとだけ騒がせた「支持政党なし」という党について。
私はこの代表者の佐野氏の言いたいことは分からなくもない。
支持する政党もないのに、投票率が低いとか言われても、
では投票に行って「白票」を出すしかないじゃないかと思う。
だから、この佐野氏は法案をWeb投票で我々にYes、Noを問うのだと言って、
こういう方法の党を立ち上げたのだろう。
しかし、通常国会がいつ開かれたかにも興味が無く、
どんな法案がまさに「今日」議決されるかも分からず、
その結果がどのように「可決」「否決」されたのかにも関心がない人が、
「支持政党がない」という人たちなのだということを根本的に忘れている。
ひょっとして、関心はあるけれど・・・という、
佐野氏の主張の通りの人もいるかもしれない。
その党の代表者は国民のネットでのYes、Noをそのまま反映して、
国会で意思表示をするのだそうだが、
では、国会で「今日」どのような採決が行われるかを、
我々は毎日「支持政党なしHP」を見にいって情報を得なければならなくなる。
我々の個人情報であるメールアドレスをこの党が収集して、
プッシュ情報を送ってくれるわけにもいかないからだ。
佐野氏の言いたいことは本当によく分かる。
毎回の政策に対して国民投票のようなことができれば、
それは本当に民意の高い政策が出来上がるかもしれない。
ではイギリスで行われた国民投票でEU脱退が決まったあとに、
すぐに100万人からの反対署名が集まったとか、
ロンドンだけでも独立してEUに残ろうという意見が出てくるのは何故なのだ?
やはり餅は餅屋というじゃないか。
我々はその政策に対して目先だけの評価を下してしまわないか?
例えば消費税の10%への増税は延期されたが、
それは景気情勢が世界全体的に悪化しているからだ。
本当は安部さんも増税して財源を確保したかったに違いないと思う。
でもその延期はこの景気悪化が酷すぎるからであって、
これから増える福祉財源や、保育園の問題、高齢化社会の老齢年金問題など、
もっともっと先を見据えて、
心苦しいと思いつつも増税に踏み切らねばならないときもある。
「消費税が10%なんて〜〜〜嫌だ!」
もちろん普通の家庭でも、富裕層でも嫌なものは嫌だと思う。
それを政治家は承知の上で、未来を見越して決断を下しているのだ。
日本は今、巨額の赤字国なのに、
世界の多くの国に援助金を出しているのも、国民が知らない事情があるのだろう。
北朝鮮の問題にしても、アメリカの基地問題にしても、
水面下で行われていることはものすごく多いのだと思う。
それを「○○法案に反対ですか、賛成ですか?」と、
18才以上の「支持政党のない」国民にWebで投票させて、
そのままそれを国会で意思表示として現すというのは、あまりにも安直だ。
政治家が汚職をしたりすることはもちろん罰して欲しいと思う。
そんな政治家に税金を給与として与えることはない。
けれど、彼らのしていること、○○省の事務次官たちが日夜思案していること、
それは日頃「夕食は何にしようかしら?」と考える主婦や、
大学受験に追われる18才の有権者たちとは、
全く次元の違う「専門的な見地」から出ることなのだろうと思っている。
彼らは日本の世界での立ち位置とか、未来の日本の責任を負っているのだ。
私は麻生さんという大臣が嫌いだ。
あの人の話し方とか、人を小馬鹿にしたような笑顔が嫌いなのだ。
しかし彼は政治家としてはとても有能な人だと思う。
彼が閣僚にいなければ、日本はもっと困っていると思うと、
嫌いな彼にでも感謝したい。
くぅ