ら抜き言葉はある程度致し方のないことだと思います。言葉は変化するものです。
「していない」を口語で「してない」と省略して言うのと似たようなものです。
言葉の意味も変わります。姑息が卑怯だという意味を獲得してしまうのも仕方のないことです。
この調査で述べられていない、「さ入れ」言葉はどうでしょうか。こちら方が問題です。
最近「しないだろう」という推量の意味で「しなさそう」という人がいます。虫唾が走るほど気になります。本来は、「しなそう」です。
これは「ある⇔ない」の「ない」と「する⇔しない」の「ない」とを混同することから起こります。
「ある⇔ない」は「あり⇔なし」となり、推量すると「あり・そう⇔なさ・そう」となります。「し」が「さ」に変化するから「さ」が入ります。
一方、「する⇔しない」は「しそう⇔しなそう」になります。「る」と「い」が省略されるだけで「さ」が入る余地はありません。
「ある⇔ない」の「ない」と「する⇔しない」の「ない」は意味も違います。「ある⇔ない」は有無のことであり、「ない」は「無」です。一方、「する⇔しない」は是非のことなので、「ない」は「非」です。「不」であることもあります。
「なにげに」も問題です。なぜ問題なのかと言えば、意味が反対だからです。
「なにげに」は「なにげなく」が変化したものと考えられていますが、「なく」という否定語がついているため「なにげ」を無くする状態を表すのに対し、「なにげに」では「なにげ」にしているわけですから、意味が反対です。