駒澤大学「情報言語学研究室」

URL https://www.komazawa-u.ac.jp/~hagi/

かなきりごゑ【金切聲】―川端康成『雪国抄』―

2023-05-01 12:30:04 | 日日昰記録

かなきりごゑ【金切聲】川端康成著『雪国抄』
 『伊豆の踊子』〔一九二六(昭和元)年刊〕第二章で、「女の金切声(カナキリゴヱ)が時々稲妻のやうに闇夜に鋭く通った」と稲妻の音のようにと比喩し用いている。そして、ここでも女の声であった。

○しかし宿屋中に響き渡るにちがひない金切聲だつたから、當惑して立ち上ると、女は障子紙に指をつつこんで棧をつかみ、そのまま島村の體へぐらりと倒れた。
  
 「金切り声」の語用例の文探し
○ざわめき、饒舌り、罵りあい、大げさな表情と三角の髯がフェルトの上履きのままおもてを歩き、灯の明るい酒場から呶鳴るバリトンが洩れ、それに縋って金切り声のソプラノが絡み〔谷譲次(著)『踊る地平線』:06「ノウトルダムの妖怪」 (新字新仮名)〕

《補助資料》
小学館『日本国語大辞典』第二版
かなきり-ごえ[‥ごゑ]【金切声】〔名〕(「かなぎりごえ」とも)金属を切るとき出る音のように鋭くかん高い声。黄色い声。*洒落本・郭中掃除雑編〔一七七七(安永六)〕「百会から出るやうな金ぎり声でいけぬめりやす」*人情本・恩愛二葉草〔一八三四(天保五)〕初・二章「折柄長松が金切り声、『ハイ、若旦那様え、お駕籠が参りました』」*伊豆の踊子〔一九二六(昭和元)〕〈川端康成〉二「女の金切声(カナキリゴヱ)が時々稲妻のやうに闇夜に鋭く通った」【発音】カナキリゴエ〈標ア〉[コ゜]〈京ア〉[ゴ]【辞書】

『言海』
[親見出し]きいろ-・い【黄色】→「きいろい 声(こえ)」甲(かん)高い声。甲ばしった声。黄色な声。きいな声。*安愚楽鍋〔一八七一(明治四)〜七二〕〈仮名垣魯文〉初「つれとふたりさしつおさへつのみかけ目のふちをあかくして、きいろいこゑをたかてうし」*坊っちゃん〔一九〇六(明治三九)〕〈夏目漱石〉八「野だでなくては、あんな黄色い声を出して、こんな芸人じみた下駄を穿くものはない」

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿