米国の裁判所は、日本からの逮捕請求を蹴る気がします。
「犯罪人引渡と請求国の人権保障状況に対する評価(一)」(古谷修一)
にある通り、「人権面で難がある国」からの犯罪人引渡請求は近年、通りにくいからです。
日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/A-S55-1543.pdf
では、
第四条
1 この条約の規定に基づく引渡しは、次のいずれかに該当する場合には、行われない。
(1)引渡しの請求に係る犯罪が政治犯罪である場合又は引渡しの請求が引渡しを求められている者を政治犯罪について訴追し、審判し、若しくはその者に対し刑罰を執行する目的で行われたものと認められる場合。この規定の適用につき疑義が生じたときは、被請求国の決定による。(以下略)
に該当するとの判断がされる傾向。
「政治犯罪」の概念を柔軟に解釈することによって。
そもそも、ゴーンさんの出国は、
「刑罰ではない」長期間の身柄拘束によって人身の自由(日本国憲法18条)を侵害し、かつ、法曹三者による手続きの遅滞によって迅速な裁判を受ける権利(日本国憲法37条1項)を侵害し続けている「人権面で難がある国」からの脱出。
人権擁護のための正当防衛の範疇。
ここから先は専ら、日本法のマイナーな話。
ちなみに、
日本の裁判所は、
遺伝子スパイ事件決定(東京高決平成16年3月29日https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=20099 )で以て
米国からの逮捕請求を蹴っています。
そして、この決定に不服申し立ては一切できません(最決令和元年11月12日 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89036)。
東京高裁が決定する理由は、逃亡犯罪人引渡法が「東京高等裁判所」で審査する旨を定めているから。他の裁判所が一切関わらない手続きです。
そして、この手続きを請求する人は「東京高等検察庁の検察官」だけ。
それから、「東京高等検察庁検事長」が法務大臣との連絡役として関わっています。
そして、この手続きを請求する人は「東京高等検察庁の検察官」だけ。
それから、「東京高等検察庁検事長」が法務大臣との連絡役として関わっています。
上記最決令和元年11月12日の原審は、 東京高決令和元年10月28日。
つまり、令和元年1月に就任した黒川弘務東京高検検事長が(少し)関わってた事件の一つです。
もちろん、
遺伝子スパイ事件決定(東京高決平成16年3月29日)にあるように、請求国の提出した証拠から「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由が」ない、と判断する蹴り方もあり得ます。
同条約より
第三条
引渡しは、引渡しを求められている者が被請求国の法令上引渡しの請求に係る犯罪を行つたと疑うに足りる相当な理由があること又はその者が請求国の裁判所により有罪の判決を受けた者であることを証明する十分な証拠がある場合に限り、行われる。
まぁ、、、
日本が米国の裁判所から請求を蹴られたところで、
お互い様なのです。
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